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規制権限の不行使を理由とする国家賠償請求に関する次のア〜エの記述のうち、判例に照らし、妥当なもののみを全て挙げているのはどれか。
ア水俣病の健康被害について、判例は、熊本県の漁業調整規則は「水産動植物の繁殖保護等を直接の目的とする」ものであって、水産動植物を摂取する者の健康の保持までも目的とするものではないと解されるから、熊本県知事が同規則に基づく規制権限を行使しなかったことについて、熊本県は、国家賠償法1条1項による損害賠償責任を負わないとした。
イ石綿工場の労働者の健康被害について、判例は、労働大臣の規制権限は、労働者の生命、身体に対する危害を防止し、健康を確保することを主要な目的として適時にかつ適切に行使されるべきものであるとしたうえで、旧労働基準法に基づく省令制定権限を行使して石綿工場に局所排気装置の設置を義務付けなかったことは、国家賠償法1条1項の適用上違法であるとした。
ウ建設現場で石綿粉じんにばく露した者の被害について、判例は、労働安全衛生法57条の表示の義務付けは物の危険性に着目した規制であり、「その物を取り扱う者であって労働者に該当しない者も保護する趣旨のもの」と解されるとして、労働大臣が表示に関する規制権限を行使しなかったことは、労働者に該当しない者との関係においても違法であるとした。
エ原子力発電所の津波による事故について、判例は、国が規制権限の不行使を理由として損害賠償責任を負うためには、権限を行使していれば「被害を受けることはなかったであろうという関係が認められなければならない」とし、本件ではそのような関係を認めることはできないから、国は国家賠償法1条1項に基づく損害賠償責任を負わないとした。

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