比較優位とは・機会費用と絶対優位
30秒でわかる比較優位
ある財を1単位多くつくるためにあきらめる、もう一方の財の量を機会費用と呼びます。2つの国で比べて、ある財の機会費用が小さい国が、その財に比較優位を持ちます。各国が比較優位を持つ財をつくって輸出し合うと、両国とも得をします。
X財の機会費用
絶対優位
貿易が成り立つ範囲
このページでは、次の2国を「基本の2国」と呼び、各タイプの例で使います。A国とB国は、労働だけを使ってX財とY財をつくります。表の数は、各財を1単位つくるのに要る労働量(労働投入係数)です。
| X財 | Y財 | |
|---|---|---|
| A国 | 3 | 1 |
| B国 | 5 | 10 |
A国はどちらの財も少ない労働でつくれます(両財に絶対優位)。それでもX財の機会費用は、A国が 、B国が でB国のほうが小さいので、B国がX財に、A国がY財に比較優位を持ちます。このように、生産の技術(1単位に要る労働量)の差から貿易を説明する考え方を、リカードの比較生産費説と呼びます。
どのタイプも、生産に使うのは労働だけ、1単位に要る労働量は生産量によらず一定、労働は国の中では自由に動き国の間では動かない、市場は完全競争、と考えます。
試験での出方
| 地方上級 | ★★ | 特別区Ⅰ類 | ★★ |
|---|---|---|---|
| 市役所 | ★★ | 国家総合職 | — |
| 国家一般職 | ★ | 国家専門職 | ★★ |
表や図から貿易が成り立つ価格の範囲を求める問題と、比較優位・特化・貿易の利益を述べた文の正誤の問題が中心です。どのタイプも、機会費用を正しい向きで出せるかで決まります。
よく出るタイプ
比較優位の問題は、次の4つのタイプに分けられます。カードを押すと、そのタイプの解き方に切り替わります。
基本の図生産可能性フロンティアと貿易
生産可能性フロンティアの読み方と貿易の利益
持っている労働をすべて使ってつくれる、X財とY財の組合せの限界を表す線を生産可能性フロンティアと呼びます。1単位に要る労働量が一定なので、線は直線です。基本の2国は、どちらも労働を90持っているとします。
- A国の線:A国は労働90をすべて使うと、X財だけなら30単位、Y財だけなら90単位つくれるわかること線の上の点は、労働を使い切るX財とY財の組合せ
- 傾き:右下へ動くと、X財が1単位増えるごとにY財が3単位減るわかること傾きの大きさ3(90÷30)が、A国のX財の機会費用
- B国の線:B国はX財だけなら18単位、Y財だけなら9単位で、傾きは0.5(9÷18)わかることX財の機会費用はB国のほうが小さく、B国がX財に、A国がY財に比較優位を持つ
- 交易条件:X財1単位がY財2単位と交換されるとするわかることA国はY財だけを90単位つくり(点S)、そこから傾き2の線の上の組合せを交換で手に入れられる
- 届く所:Y財30単位を出してX財15単位を受け取ると、点C(X財15・Y財60)わかることA国だけでX財を15単位つくると、Y財は45単位まで(点H)。交換すれば15単位多い
図の見方
- 横軸はX財の量、縦軸はY財の量で、右へ行くほどX財が、上へ行くほどY財が多い組合せです。線が軸と交わる所の値(切片)は、その財だけをつくったときの量です。
- 線の傾きの大きさ(縦軸の切片 ÷ 横軸の切片)は、X財を1単位増やすときに減るY財の量、つまりX財の機会費用です。A国は 、B国は です。
- 2国の間で財が交換される比率を交易条件と呼びます。どちらの財を1単位にとるかで数が逆数になるので、このページではいつも「X財1単位がY財何単位と交換されるか」で書きます(基本の図では、X財1単位=Y財2単位)。X財1単位を売ると 円が入り、それでY財は 単位買えるので、この数はX財の価格 とY財の価格 の比 に等しく、X財の相対価格とも呼びます。Y財を輸出する国から見た交易条件(輸出する財1単位で輸入する財が何単位手に入るか)は、この逆数です。
比較優位を持つ財だけをつくることを特化と呼びます。A国はY財に特化し、点Sから交易条件の線の上の組合せを手に入れます。B国もX財に特化して18単位つくり、そのうち16単位をY財32単位と交換すると、X財2・Y財32になります。B国だけでX財2単位をつくると労働10を使い、残りの労働80でつくれるY財は 単位なので、交換したほうがY財が24単位多く手に入ります。交易条件が2国の機会費用の間(0.5と3の間)にあれば、A国の線のように外側にある国(両財に絶対優位を持つ国)も、内側の国も、どちらも得をします。
タイプ1比較優位と絶対優位の判定
比較優位と絶対優位の見分け方(機会費用の求め方)
見分け方:各国で各財をつくる労働量(または労働1単位でつくれる量)の表があり、「A国におけるX財の機会費用は」「B国はY財に比較優位を持つ」のような文が5つ並びます。
なぜそうなるか機会費用が労働量の比になる理由
X財を増やすには、Y財をつくっていた労働をX財へ移すしかありません。A国では、X財1単位のために労働3を移すと、労働3でつくれたY財3単位をあきらめます。逆に、Y財を15単位増やせばX財は5単位減るので、Y財1単位の機会費用はX財 単位で、X財の機会費用3の逆数です。そのため、X財の機会費用が相手より大きい国は、Y財の機会費用が相手より小さくなり、2国2財では比較優位は必ず1財ずつに分かれます(2国の機会費用が違う場合)。
- A国の線:労働90をすべて使うと、X財だけなら30単位、Y財だけなら90単位わかること線の上を右下へ動くと、X財が増えてY財が減る
- 労働を移す:点Pから点Qへ、X財を5単位増やすわかることX財5単位に要る労働15(1単位に3ずつ)をY財から移すので、Y財は15単位減る
- 1単位あたり:15÷5=3わかることX財1単位の機会費用はY財3単位。逆に、Y財を15単位増やせばX財は5単位減るので、Y財1単位の機会費用はX財1/3単位(5÷15)
労働1単位でつくれる量を生産性と呼びます。生産性は労働量の逆数なので、割る向きが逆になります。
使える条件:労働だけでつくり、1単位に要る労働量が生産量によらず一定のとき。Y財の機会費用は、この逆数です。
判定のしかた
- 1
表が何の数かを見る
「1単位をつくるのに要る労働量」なら少ないほど有利、「労働1単位でつくれる量」(生産性)なら多いほど有利です。 - 2
機会費用の表をつくる
国ごとに、X財の機会費用 = X財の労働量 ÷ Y財の労働量。Y財の機会費用はその逆数です。 - 3
比較優位は国の中の比で比べる
機会費用の小さい国が、その財に比較優位を持ち、その財を輸出します。 - 4
絶対優位は同じ財の数だけで比べる
労働量なら少ない国、生産性なら多い国が絶対優位です。両財に絶対優位を持つ国も、輸出するのは比較優位の財だけです。 - 5
選択肢の値の向きを確かめる
「X財の機会費用」に、逆数(Y財の機会費用)の値が書かれていないかを見ます。
例で確かめる基本の2国の機会費用を出す
A国でX財を1単位多くつくるには、Y財をつくっていた労働を3だけX財へ移します。Y財は1単位に労働1なので、あきらめるY財は 単位です。B国では労働5を移し、Y財は1単位に労働10なので、あきらめるのは 単位です。
| 国 | X財の機会費用(Y財で測る) | Y財の機会費用(X財で測る) |
|---|---|---|
| A国 | 3 | |
| B国 | 0.5 | 2 |
X財はB国、Y財はA国の値が小さいので、B国がX財に、A国がY財に比較優位を持ちます。労働量はX財(3と5)もY財(1と10)もA国が少なく、A国は両財に絶対優位を持ちますが、輸出するのはY財だけです。
比較優位の例題(比較優位と絶対優位の判定)
自分で解いてみる比較優位の例題1(比較優位と絶対優位の判定)
選択肢を押すと、正解と解説が出ます。
A国とB国の2国が、労働だけを用いてX財とY財を生産している。次の表は、各国で労働1単位を投入したときに生産できる各財の量を示したものである。労働1単位あたりの生産量は生産量にかかわらず一定であり、労働は国の間を移動しないものとする。この2国に関する記述として、妥当なのはどれか。ただし、ある財の機会費用とは、その財を1単位多く生産するためにあきらめなければならない他方の財の量をいう。
| X財 | Y財 | |
|---|---|---|
| A国 | 8 | 2 |
| B国 | 12 | 9 |
正解は 3
表は生産性なので、X財の機会費用は「Y財の生産性 ÷ X財の生産性」です。A国は 、B国は で、Y財の機会費用はその逆数(A国4、B国 )です。
| 国 | X財の機会費用 | Y財の機会費用 |
|---|---|---|
| A国 | 4 | |
| B国 |
X財はA国、Y財はB国の値が小さいので、A国がX財に、B国がY財に比較優位を持ちます。正しいのは3です。
- 1:4はA国のY財の機会費用です。生産性の表を労働量の表として読み、 とすると出る値です。
- 2:生産性はX財(12と8)もY財(9と2)もB国が高く、B国は両財に絶対優位を持ちますが、輸出するのは比較優位を持つY財だけです。
- 4:労働1単位でつくれるX財はB国のほうが多い(12>8)ので、X財の絶対優位はB国です。少ないほうを有利と読む、労働量の表との取り違えです。
- 5:A国が比較優位を持つのはX財です。生産性のまま「X財 ÷ Y財」で比べると(A国4、B国 )、向きが逆になります。
タイプ2交易条件の範囲(表から)
交易条件の範囲の求め方(労働投入係数の表から)
見分け方:労働量(または生産性)の表があり、「貿易が成立するX財の相対価格 の範囲」「Y財1単位と交換されるX財の数量 の範囲」を聞かれます。
貿易をしない国が両方の財をつくっているとき、労働はどちらの財の生産にも移れるので、労働1単位に払う賃金はどちらの財でも同じになります。市場が完全競争なら、財の価格はつくるのに払った賃金(1単位に要る労働量 × 賃金)になるので、価格は1単位に要る労働量に比例します。そのため貿易前の は「X財の労働量 ÷ Y財の労働量」になり、X財の機会費用と同じ値です。
なぜそうなるか交易条件が2国の機会費用の間に入る理由
X財を輸出する国は、国内であきらめる量より多くのY財と交換できなければ輸出しません。X財を輸入する国は、自分でつくるときにあきらめる量より少ないY財で買えなければ輸入しません。2つの条件が両方満たされるのは、2国の機会費用の間だけです。範囲の外では、両国が同じ財を売りたがり、相手がいません。
- B国:B国ではX財1単位をつくるとY財0.5単位をあきらめるわかることX財1単位がY財0.5単位より多くと交換されるなら、B国はX財をつくって売るほうが得
- A国:A国ではX財1単位をつくるとY財3単位をあきらめるわかることY財3単位より少なく払ってX財1単位が買えるなら、A国は自分でつくるより買うほうが得
- 両方:売りたい国と買いたい国がそろうのは、0.5より大きく3より小さい所だけわかること3より大きいと両国ともX財を売りたく、0.5より小さいと両国ともX財を買いたくなり、相手がいない
使える条件:労働だけでつくり、1単位に要る労働量が一定のとき。 の範囲は、両端を逆数にした範囲です(大小が入れ替わります)。
解き方の手順
- 1
表が労働量か生産性かを見る
生産性なら、逆数にして労働量に直します(または割る向きを逆にします)。 - 2
問われた比の分子の財を決める
「X財1単位と交換されるY財の量」は 、「Y財1単位と交換されるX財の量」は です。「〜1単位と交換される」の〜の財が分子です。 - 3
国ごとに比を出す
分子の財の労働量 ÷ 分母の財の労働量。必ず同じ国の2つの数で割ります。 - 4
2つの値の間をとる
小さいほうから大きいほうまでです。端を含むかは問題文の断り書きで決めます。
例で確かめる基本の2国で範囲を出す
基本の2国では、X財の相対価格の両端はタイプ1で出した機会費用の0.5(B国)と3(A国)です。
| 国 | (X財の労働量 ÷ Y財の労働量) | (Y財の労働量 ÷ X財の労働量) |
|---|---|---|
| A国 | 3 | |
| B国 | 2 |
範囲は です(両国が得をする範囲。端の0.5や3では、その値の国は貿易で得も損もしません)。Y財の相対価格で聞かれたら で、両端が逆数になり、大小が入れ替わります。基本の図の交易条件(X財1単位=Y財2単位)は、この範囲に入っています。
交易条件の範囲の例題
自分で解いてみる交易条件の範囲の例題(労働投入係数の表から)
選択肢を押すと、正解と解説が出ます。
A国とB国は、労働だけを用いてX財とY財を生産している。各国で各財を1単位生産するのに必要な労働量は、次の表のとおりである。両国が比較優位に基づいて貿易を行い、Y財1単位がX財 単位と交換されるとき、貿易が成立する の範囲として、妥当なのはどれか。ただし、範囲の端の値は考えないものとする。
| X財 | Y財 | |
|---|---|---|
| A国 | 7 | 8 |
| B国 | 6 | 11 |
正解は 4
は「Y財1単位と交換されるX財の量」なので で、国ごとに「Y財の労働量 ÷ X財の労働量」です。A国は 、B国は です。
| 国 | Y財の機会費用(=貿易前の ) | X財の機会費用(=貿易前の ) |
|---|---|---|
| A国 | ||
| B国 |
A国がY財を輸出し、Y財1単位で 単位より多くのX財を受け取れれば得をします。B国は 単位より少ないX財でY財が買えれば得をします。範囲は2つの値の間で、正解は4です。
1は を逆に読んだ の範囲、2はA国の条件だけを書いてB国の条件を落とした範囲、3は範囲を外側にとったもの、5は同じ財の労働量を国どうしで割った値(X財 、Y財 )で、絶対優位と取り違えたものです。
タイプ3交易条件の範囲(図から)
生産可能性フロンティアの図から交易条件の範囲を求める
見分け方:A国とB国の生産可能性フロンティアが2本の直線で描かれ、軸との交わる所に数が書いてあります。聞かれるのは、タイプ2と同じく相対価格や交換比率の範囲です。
なぜそうなるか切片の比が、表の労働量の比と同じになる理由
横軸の切片は「国が持つ労働の全部 ÷ X財1単位に要る労働量」、縦軸の切片は「国が持つ労働の全部 ÷ Y財1単位に要る労働量」です。縦軸の切片 ÷ 横軸の切片を計算すると、国が持つ労働の全部が割り算で消え、「X財1単位の労働量 ÷ Y財1単位の労働量」が残ります。図は、表を線にしただけです。
- A国:横軸の30は労働90÷3、縦軸の90は労働90÷1わかること90÷30=3は、表のX財の労働量÷Y財の労働量(3÷1)と同じ。国が持つ労働90は割り算で消える
- B国:横軸の18は90÷5、縦軸の9は90÷10わかること9÷18=0.5は、表の5÷10と同じ
- 比べる:傾きのゆるやかなB国のほうが、X財の機会費用が小さいわかること貿易が成り立つX財の相対価格は、0.5と3の間
使える条件:線が直線で、横軸がX財・縦軸がY財のとき。軸が逆の図では、割る向きも逆になります。貿易で決まる は、この2国の値の間に入ります。
解き方の手順
- 1
軸の財を確かめる
横軸と縦軸がそれぞれ何の財かを先に見ます。 - 2
国ごとに同じ線の切片で割る
傾きの大きさ(縦 ÷ 横)が、横軸の財の機会費用です。別々の国の切片を組み合わせません。 - 3
問われた比の向きに直す
縦軸の財の相対価格を聞かれたら、逆数(横 ÷ 縦)にします。 - 4
2つの値の間をとる
2国の値の小さいほうから大きいほうまでが範囲です。あわせて、傾きのゆるやかな国が横軸の財に、急な国が縦軸の財に比較優位を持ちます。
例で確かめる外側の線の国がいる図で範囲を読む
A国の線は横軸30・縦軸45、B国の線は横軸16・縦軸36で、A国の線が外側にあります。
- 2本の線:A国は横軸30・縦軸45、B国は横軸16・縦軸36わかることA国の線が外側にあり、A国はどちらの財も多くつくれる
- A国の傾き:同じA国の線の切片で、45÷30=1.5わかることA国のX財の機会費用
- B国の傾き:同じB国の線の切片で、36÷16=2.25わかることB国のX財の機会費用。小さいA国がX財に、B国がY財に比較優位を持つ
X財の機会費用は、A国が 、B国が です。範囲は です。A国の縦軸の切片をB国の横軸の切片で割る()ように、別々の国の数を組み合わせると、範囲からずれた値が出ます。A国がどちらの財も多くつくれても、輸出するのはX財だけです。
生産可能性フロンティアの例題
自分で解いてみる生産可能性フロンティアの例題(図から相対価格の範囲)
選択肢を押すと、正解と解説が出ます。
図は、A国とB国がそれぞれ持てる生産要素をすべて用いてX財とY財を生産するときの生産可能性フロンティアであり、どちらも直線である。両国が比較優位に基づいて貿易を行うとき、貿易が成立するY財の相対価格 の範囲として、妥当なのはどれか。ただし、、 はそれぞれX財、Y財の価格であり、範囲の端の値は考えないものとする。
正解は 3
各国の貿易前のY財の相対価格は、同じ国の線で「横軸の切片 ÷ 縦軸の切片」です。A国は 、B国は で、範囲は2つの値の間です。正解は3です。
1は傾き(縦 ÷ 横)のまま使った の範囲です。2は別々の国の切片を組み合わせた値(A国の横軸27 ÷ B国の縦軸21、B国の横軸39 ÷ A国の縦軸33)、4は範囲を外側にとったもの、5は同じ軸の切片を国どうしで割った値(、)です。
タイプ4特化と貿易の利益
完全特化・不完全特化と貿易の利益
見分け方:表と交易条件(「X財1単位がY財 単位と交換される」など)が与えられ、「完全に特化する」「消費の可能性が広がる」「貿易は成り立つ」のような文の正誤を聞かれます。消費の可能性は、その国が手に入れられる2財の組合せの範囲です。
なぜそうなるか交易条件が自国のX財の機会費用と同じだと得をしない理由
交易条件(X財1単位がY財何単位と交換されるか)が自国のX財の機会費用と同じなら、交換で手に入る量は、国内で労働を移してつくる量と同じです。そのため、どちらの財をつくっても得も損もなく、2財をつくり続けてもかまいません(不完全特化)。消費の可能性は貿易の前と変わりません。比較優位の財だけをつくる完全特化で得をするのは、交易条件が自国の機会費用と違うときだけです。
- B国の線:B国だけでつくれるのは、X財18単位とY財9単位を結ぶ線の内側わかること傾き0.5が、B国のX財の機会費用
- 間の値:X財1単位がY財2単位と交換されるなら、X財だけを18単位つくって(点S)交換するわかること傾き2の線の上まで手に入る。点CはX財2・Y財32で、B国だけならX財2のときY財8まで
- 端の値:X財1単位がY財0.5単位と交換されるなら、交換の線はB国の線と重なるわかること交換しても国内でつくり分けるのと同じなので、両方の財をつくってもよく、消費の可能性は広がらない
判定のしかた
- 1
2国のX財の機会費用を出す
タイプ1と同じ手順です。小さい国がX財に比較優位を持ちます。 - 2
交易条件を2つの値と並べる
X財1単位と交換されるY財の量で並べます。 - 3
間なら両国とも得をする
両国とも比較優位の財に完全特化し、両国とも消費の可能性が広がります。 - 4
端なら、その国だけ変わらない
交易条件と同じ値の国は不完全特化でよく、消費の可能性は変わりません。もう一方の国は完全特化して広がります。 - 5
外なら貿易は成り立たない
両国が同じ財を輸出したがり、相手がいません。
例で確かめる特化で両国の生産量の合計が増えることを確かめる
ここでは基本の図の「労働90」とは別に、表の労働量(A国はX財3・Y財1、B国はX財5・Y財10)はそのままで、持っている労働の量だけを変えます。貿易の前に各国がX財とY財を1単位ずつつくっているとすると、要る労働はA国が 、B国が です。この労働を持っているとして、2国の合計はX財2単位・Y財2単位です。
| 財 | 特化の前(2国の合計) | 比較優位の財に特化した後 |
|---|---|---|
| X財 | 2単位 | 3単位(B国が労働15 ÷ 5) |
| Y財 | 2単位 | 4単位(A国が労働4 ÷ 1) |
同じ労働で、X財は1単位、Y財は2単位増えます。この増えた分を交換で分け合えるので、交易条件が2国の機会費用の間にあれば両国とも得をします。
比較優位の例題(特化と貿易の利益)
自分で解いてみる比較優位の例題2(特化と貿易の利益)
選択肢を押すと、正解と解説が出ます。
A国とB国の2国が、労働だけを用いてX財とY財を生産している。各国で各財を1単位生産するのに必要な労働量は次の表のとおりであり、生産量にかかわらず一定である。いま、両国が貿易を行い、X財1単位がY財 単位と交換されるとする。このときの記述として、妥当なのはどれか。ただし、消費の可能性とは、その国が手に入れることのできるX財とY財の組合せの範囲をいう。
| X財 | Y財 | |
|---|---|---|
| A国 | 2 | 5 |
| B国 | 8 | 4 |
正解は 2
X財の機会費用は、A国が 、B国が です。A国がX財に、B国がY財に比較優位を持ちます。
| 交易条件の位置 | A国 | B国 |
|---|---|---|
| (A国の値と同じ) | 不完全特化でよい・消費の可能性は変わらない | Y財に完全特化・広がる |
B国は、国内ではX財1単位にY財2単位をあきらめますが、貿易ならY財 単位で手に入るので、Y財に完全に特化して得をします。正解は2です。
1と4は、交易条件がA国の値と同じなのに、A国も得をするとした文です。3は、交易条件の3が2国の値(0.4と2)の範囲の外なのに貿易が成り立つとした文で、両国ともX財を輸出したがります。5は機会費用を「Y財の労働量 ÷ X財の労働量」と逆向きに割った文です(A国 、B国 になり、B国がX財に見えます)。
まとめ覚えることと間違いやすい点
覚えることの表(機会費用の出し方と交易条件の位置)
労働だけでつくり、1単位に要る労働量が一定の2国2財(リカードのモデル)の場合です。横軸がX財、縦軸がY財の図で考えます。
| 与えられたもの | X財の機会費用(=各国の貿易前の ) | Y財の機会費用(=各国の貿易前の ) |
|---|---|---|
| 1単位に要る労働量 | X財の労働量 ÷ Y財の労働量 | Y財の労働量 ÷ X財の労働量 |
| 労働1単位でつくれる量 | Y財の生産性 ÷ X財の生産性 | X財の生産性 ÷ Y財の生産性 |
| 直線の生産可能性フロンティア | 縦軸の切片 ÷ 横軸の切片 | 横軸の切片 ÷ 縦軸の切片 |
| 交易条件(X財1単位=Y財何単位)の位置 | X財の機会費用が小さい国 | 大きい国 | 貿易 |
|---|---|---|---|
| 2国の値の間 | X財に完全特化・広がる | Y財に完全特化・広がる | 成り立つ |
| 小さい国の値と同じ | 不完全特化でよい・変わらない | Y財に完全特化・広がる | 成り立つ |
| 大きい国の値と同じ | X財に完全特化・広がる | 不完全特化でよい・変わらない | 成り立つ |
| 範囲の外 | 両国が同じ財を売りたがる | (左と同じ) | 成り立たない |
よくある間違い
| 誤りの文 | 正しくはこう |
|---|---|
| 同じ財の労働量を国どうしで割って範囲を出す | それは絶対優位の比。同じ国の2財の労働量で割る |
| を「Y財の労働量 ÷ X財の労働量」で出す | 分子の財(X財)の労働量を分子に置く |
| 生産性の表で「X財 ÷ Y財」をX財の機会費用とする | 生産性なら逆数にするか「Y財 ÷ X財」で割る |
| 範囲は2国の値の外側 | 2国の値の間。外側では相手がいない |
| 輸出国の条件だけで、基本の2国なら「 がB国の0.5より大きい」とする | 輸入国の条件も合わせて、両端のある区間にする |
| 図で別々の国の切片を組み合わせて傾きを出す | 傾きは同じ国の線の縦軸と横軸の切片で出す |
| 「Y財1単位と交換されるX財の量」を とする | 「〜1単位と」の〜が分子。これは |
| 両財に絶対優位を持つ国は、両財を輸出する | 輸出するのは比較優位の財だけ |
| 両財で劣る国は、貿易で得をしない | 交易条件が2国の機会費用の間(端でない)なら、比較優位の財を輸出して消費の可能性が広がる |
| 1つの国が両財に比較優位を持つことがある | 2国の機会費用が違えば、比較優位は1財ずつ |
| 交易条件が一方の国の値と同じでも、両国が得をする | その国の消費の可能性は変わらない(不完全特化でよい) |
| 比較優位は、資本や労働の量の差から生じる(リカードの理論) | リカードは生産の技術(労働投入係数)の差。資本と労働の豊富さ(要素賦存比率)の差から説明するのはヘクシャー=オリーンの定理 |
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