寡占とは・反応関数とクールノー均衡
30秒でわかる寡占
寡占は、少数の企業が市場の大部分を供給している状態です(2社だけなら複占)。1社が生産量を増やすと価格が下がり、相手の利潤まで変わるので、各社は相手の出方を読んで量や価格を決めます。
反応関数
クールノー均衡
シュタッケルベルク均衡
カルテル
先に読む論点独占
このページの「基本の市場」は、需要曲線が で、A社・B社とも限界費用(MC。1個多くつくると増える費用)が60円で一定の市場です。 は価格〔円〕、 は2社の生産量の合計〔個〕で、価格を量の式で表したこの形を、問題文では逆需要関数と呼びます。A社の量を 、B社の量を と書き、 です。
試験での出方
| 地方上級 | — | 特別区Ⅰ類 | ★★ |
|---|---|---|---|
| 市役所 | ★ | 国家総合職 | ★★ |
| 国家一般職 | ★★ | 国家専門職 | ★★★ |
国家公務員(とくに専門職)と特別区で出ていて、計算・図の読み取り・文の正誤の3つの形があります。
よく出るタイプ
寡占の問題は、次の5つのタイプに分けられます。カードを押すと、そのタイプの解き方に切り替わります。
基本の図反応曲線とクールノー均衡
反応曲線の読み方(クールノー均衡のグラフ)
- A社の線:A社の反応曲線。B社の量を決めたときの、A社の利潤が最大になる量を結んだ線わかること横軸がA社の量なので、縦の高さ(B社の量)から横へ読む。B社が0個ならA社は15個、B社が30個ならA社は0個
- 読み方:B社が6個なら、縦の6の高さから右へ進み、A社の線に当たる点XわかることA社は15から6の半分を引いた12個
- B社の線:B社の反応曲線。こんどは横(A社の量)から縦へ読むわかることA社が0個ならB社は15個、A社が30個ならB社は0個。A社の線の縦と横を入れ替えた形
- 交点E:2本が交わる点E(10個、10個)わかることどちらの会社も、相手の量に対して利潤が最大になる量を選んでいて、量を変える理由がない。これがクールノー均衡
図の見方
- 横軸がA社の量、縦軸がB社の量で、1つの点が2社の量の組です。
- A社の反応曲線は、縦の高さ(B社の量)を1つ決め、そこから横へ進んで線に当たった所の横の値がA社の最適な量です。A社の線は「縦から横へ」、B社の線は「横から縦へ」読みます。
- 2本とも右下がりです。相手が多くつくるほど価格が下がり、自社は控えめにつくるほうが得だからです(相手が増やすと自社は減らす関係を戦略的代替と呼びます)。
反応関数の出し方:A社の利潤は「価格 × A社の量 − 費用」で、 です。かっこを外すと です。B社の量 は定数とみて、 で微分します。微分はべき乗の微分( を微分すると )だけを使い、 は180、 は 、 は 、 は になります。利潤の山の頂上では傾きが0なので、これを0とおきます。
左辺の は限界収入(MR。1個多く売ると増える収入)、右辺の60は限界費用です。独占と同じ条件で、相手の量が式に残るだけが違います。A社の式を縦軸のB社の量について書き直すと なので、A社の線は縦軸の30と横軸の15を結ぶ急な線です。B社は で、2本を連立すると 、価格は 円です。
タイプ1クールノー均衡
クールノー均衡の求め方(計算)
見分け方:問題文に「相手企業の生産量を所与として」「同時に生産量を決める」「クールノー」と書かれています。問題では企業1・企業2、生産量は ・ と書かれることが多いです。
なぜそうなるか反応曲線の交点で落ち着く理由
クールノー均衡は「互いに相手の量に対して最適な量になっている組」、つまり2本の反応曲線の交点です(2社が同時に1回だけ量を決めるモデル)。思い描く補助として、相手は今の量を続けると考えて交互に量を直すと、この市場では反応曲線の傾きが なので、動く幅が半分ずつになってEに近づき、Eではどちらも量を変えません。
- 出発:B社が0個なら、A社の利潤が最大になる量は15個(点F)
- B社:A社が15個なら、B社は15から15の半分を引いた7.5個わかることB社の線まで上へ
- A社:B社が7.5個なら、A社は15から7.5の半分を引いた11.25個わかることA社の線まで左へ
- B社:A社が11.25個なら、B社は約9.4個わかることまた上へ。この市場では反応曲線の傾きが2分の1なので、直すたびに動く幅は半分になる
- 交点E:直し合いは点E(10個、10個)に近づくわかることEでは両社とも相手の量に対して最適な量を選んでいるので、どちらも量を変えない
矢印は、縦向きがB社の直し、横向きがA社の直しです。
使える条件:1本目は需要が直線 のとき(相手の量は一定とみて、自社の項だけ傾きを2倍。相手が2社以上なら、相手の量は他社の量の合計)。2本目は、さらに全社の限界費用が同じ 円で一定のときだけで、 は会社の数に1を足した数です。基本の市場(2社)なら 個です。
解き方の手順
- 1
各社の利潤を書く
価格 × 自社の量 − 自社の費用。価格には需要曲線の式を入れます。 - 2
自社の量で微分して0とおく
相手の量は定数とみます。これが反応関数です。費用が なら限界費用は です。生産量に関係なくかかる費用(固定費用。費用の式の定数)は、微分すると消えます。 - 3
反応関数を連立する
費用が同じなら、微分した後で各社の量を等しいとおけます。微分の前におくと、相手の量まで一緒に動かす計算(2社の合計の最大化)になり、カルテルの答えになります。 - 4
聞かれているものに直す
1社の量か合計か、どの会社か、価格かを確かめます。価格は合計を需要曲線に戻します。
例で確かめる費用の違う2社のクールノー均衡
基本の市場で、B社の限界費用だけが90円に上がったとします(A社は60円のまま)。
- A社の線:A社の限界費用は60円わかることA社の量=15−(B社の量の半分)。基本の図と同じ線
- B社の線:B社の限界費用は90円わかることB社の量=11.25−(A社の量の半分)。費用が高い分だけ、基本の図より原点の側に寄る
- 交点E:2本が交わる点E(12.5個、5個)わかること費用の低いA社が多くつくる。合計17.5個、価格は110円
A社は より 、B社は より です。連立すると 、 で、価格は 円です。
クールノー均衡の例題
自分で解いてみるクールノー均衡の例題(費用が同じ3社)
選択肢を押すと、正解と解説が出ます。
正解は 3
企業1の限界収入は自社の項だけ傾きを2倍にして で、これを38とおき、微分した後で3社の量を とおくと 、 個です(早解きの式でも )。合計は90個、価格は 円で、正解は3です。
| 誤りの選択肢 | どの間違いから出るか |
|---|---|
| 98円 | 微分の前に3社の量を とおく(カルテルの合計60個) |
| 78円 | 2社として解く(各社40個・合計80個) |
| 39.5円 | 費用を無視して収入だけを最大にする(各社39.5個) |
| 38円 | 価格=限界費用とおく(完全競争の価格) |
タイプ2シュタッケルベルク均衡
シュタッケルベルク均衡の求め方(リーダーとフォロワー)
見分け方:問題文に「先に生産量を決め」「それを見てから」「リーダー(先導者)」「フォロワー(追随者)」と書かれています。先に決める会社をリーダー、後から決める会社をフォロワーと呼びます。
なぜそうなるか先に決める会社が多くつくる理由
フォロワーは自分の反応曲線の上で量を決めるので、リーダーはその線の上で自分の利潤がいちばん高い点を選べます。等利潤曲線(利潤が同じになる2社の量の組を結んだ線)は、B社の量が少ないほど価格が高いので、下にある線ほどA社の利潤が高くなります。B社の線の上でできるだけ下の線に乗ろうとすると、ちょうど1点で接する点Sに行き着きます。
- クールノー:同時に決めると、2本の反応曲線の交点E(10個、10個)
- B社の動き:B社はA社の量を見てから、自分の反応曲線の上で量を決めるわかることA社が先に決めると、行き着く先はB社の線の上のどこか
- 等利潤曲線:A社の利潤が400円になる点を結んだ線(点Eを通る)わかることB社の量が少ないほど価格が高いので、下にある線ほどA社の利潤は高い
- 点S:B社の線に、A社の等利潤曲線が接する点S(15個、7.5個)わかることB社の線の上で、A社の利潤がいちばん高い点。A社の利潤は450円
- 比べる:EからSへわかること先に決めるA社は10個から15個に増え、後から決めるB社は10個から7.5個に減る
灰の破線がEを通る等利潤曲線、橙の破線がSで接する線です。
使える条件:需要が直線 で、2社の限界費用が同じ 円で一定のときだけです。リーダーの量は独占の量と同じで、フォロワーはその量を見て独占の半分をつくります。
解き方の手順
- 1
フォロワーの反応関数を出す
フォロワーの利潤を自分の量で微分して0とおきます。クールノーのときと同じ式です。 - 2
リーダーの利潤に代入する
需要曲線に入れて価格をリーダーの量だけの式にし、限界費用を引いて利潤を書きます。 - 3
リーダーの量で微分して0とおく
これでリーダーの量が決まります。 - 4
戻して残りを出す
フォロワーの量は反応関数に、価格は需要曲線に戻します。
例で確かめる基本の市場でA社がリーダーになる
B社の反応関数 を需要曲線に入れると、価格は です。A社の利潤は(価格−限界費用60円)× A社の量なので で、微分すると です。0とおいて 個、B社は 個、価格は 円です。
| 決め方 | 量(A社・B社) | 価格 | 利潤(A社・B社) |
|---|---|---|---|
| 同時(クールノー) | 10個・10個 | 100円 | 400円・400円 |
| A社が先(シュタッケルベルク) | 15個・7.5個 | 90円 | 450円・225円 |
先に決めるA社は量も利潤も増え、B社は減ります。
シュタッケルベルク均衡の例題
自分で解いてみるシュタッケルベルク均衡の例題(フォロワーの生産量)
選択肢を押すと、正解と解説が出ます。
正解は 1
企業Bの反応関数は より です。需要曲線に入れると価格は で、限界費用6円を引くと企業Aの利潤は です。微分すると なので 個、企業Bは 個です。正解は1です。
| 誤りの選択肢 | どの間違いから出るか |
|---|---|
| 84個 | リーダー(企業A)の量を答える |
| 33個 | リーダーとフォロワーを逆にして、企業Bをリーダーとして解く |
| 22個 | 両社とも反応関数で解く(クールノー均衡。企業Aは56個) |
| 16.5個 | 企業Aが独占の量67個を選び、企業Bがそれに反応する |
タイプ3反応曲線と寡占の均衡
反応曲線と等利潤曲線の読み方(数量競争・価格競争)
見分け方:反応曲線(問題の図では企業1・企業2の線が ・ と書かれることが多い)と破線の等利潤曲線が描かれた図があり、「同時に決めるとき」と「一方が先に決めるとき」の均衡点の組合せを選びます。生産量を決める(数量競争)か、価格を決める(価格競争)かを最初に確かめます。
なぜそうなるか価格競争では反応曲線が右上がりになる理由
少しずつ違う財(差別化された財)で価格を競うと、B社の値上げでA社の財に客が流れるので、A社も値上げします。だから反応曲線は右上がりです(相手が上げると自社も上げる関係を戦略的補完と呼びます)。等利潤曲線も、相手の価格が高いほど自社がもうかるので、数量競争と上下が逆で、上にあるものほど利潤が高くなります。A社が先に価格を決めると、B社はそれより少し低い価格をつけて客を集めるので、両社ともEより高い価格・利潤になり、利潤は後から決めるB社のほうが大きくなります(後手の有利。この図の数で先のA社は約4,276、後のB社は約5,319)。
- A社の線:B社の価格を決めたときの、A社の利潤が最大になる価格わかることB社が値上げするとA社の財が売れるので、A社も値上げする。右上がりの線
- B社の線:B社の利潤が最大になる価格わかることこれも右上がり
- 同時:2本の交点E(20円、20円)わかること両社が同時に価格を決めるときの均衡
- 等利潤曲線:A社の利潤が同じになる線。灰の線はEを通る線、橙の線はそれより上の線わかることB社の価格が高いほどA社の財が売れるので、上にある線ほどA社の利潤が高い(数量競争と上下が逆)
- A社が先:B社の線に、A社の等利潤曲線が接する点Sわかること両社ともEより高い価格になり、利潤は先のA社が約4,276、後のB社が約5,319。数量競争と逆で、後から決める会社が有利
図の見方:横軸がA社の価格、縦軸がB社の価格です。A社の反応曲線は縦から横へ読み、B社が20円ならA社も20円、B社が40円ならA社は29円です。灰と橙の破線はどちらもA社の等利潤曲線で、上の橙のほうが利潤の高い線です。
判定のしかた
- 1
同時に決めるとき
2本の反応曲線の交点です。等利潤曲線は使いません。 - 2
一方が先に決めるとき
先に決める会社の等利潤曲線が、後から決める会社の反応曲線に接する点です。どちらが先か、破線がどちらの会社の線かを確かめます。 - 3
どの等利潤曲線が高いか
数量競争では相手の量が少ない側(A社なら下、B社なら左)、価格競争では相手の価格が高い側(A社なら上、B社なら右)ほど高くなります。 - 4
接点と交点を区別する
後手の反応曲線と2点で交わる等利潤曲線なら、2点の間で後手の反応曲線がより利潤の高い線を通るので、まだ利潤を上げられます。いちばん高いのは接する点です。後手の反応曲線の上にない点(先手自身の線の上で相手が0個の点など)は、後の会社がそう応じないので実現しません。
例で確かめるB社が先に決めるときの点を図で読む
基本の市場で、こんどはB社が先に量を決めます(B社の等利潤曲線は左の線ほど利潤が高い)。
- 同時:交点E(10個、10個)。B社の利潤は400円
- 等利潤曲線:B社の利潤が400円になる線。B社にとっては左にある線ほど利潤が高いわかること横軸のA社の量が少ないほど、価格が高いから
- 交わる点:この線はA社の線と点U(5個、20個)でも交わるわかることUのB社の利潤はEと同じ400円。EとUの間ではA社の線がもっと左の線を通るので、まだ利潤を上げられる
- 接する点:A社の線に接するB社の等利潤曲線(450円)との接点T(7.5個、15個)わかることB社が先に決めるときの均衡
- 自分の線:B社の線の上の点M(0個、15個)はB社の利潤が900円わかることでも、B社が15個ならA社は0個ではなく7.5個を選ぶ(点T)。Mは実現しない
接点Tでは、A社は 個、価格は90円、B社の利潤は 円です。Eを通るB社の等利潤曲線(400円)がA社の線ともう一度交わる点U(A社5個・B社20個)では、価格は80円、B社の利潤は 円でEと同じです。
反応曲線の例題
自分で解いてみる反応曲線の例題(数量競争と価格競争)
選択肢を押すと、正解と解説が出ます。
正解は 2
正解は2です。
| 選択肢 | 正しくはこう |
|---|---|
| 1 | 相手が多くつくるほど価格が下がるので、自社の最適な量は減る。右下がり(価格競争の線と取り違えた文) |
| 3 | 相手の量が少ないほど価格が高いので、下にある線ほど利潤が高い(上ほど高いのは価格競争) |
| 4 | 後から決める企業の反応曲線に接する点 |
| 5 | 需要が直線で限界費用が同じ一定の2社なら、先に決める企業の量は多くなる(基本の市場では10個から15個) |
タイプ4カルテル
カルテルの価格と生産量の求め方
見分け方:問題文に「カルテルを結び」「共謀して」「利潤の合計(結合利潤)を最大にする」と書かれています。
なぜそうなるかカルテルの量が少なく、協定が破られやすい理由
クールノー均衡では、各社は自分の増産で価格が下がり相手の売上が減る分を気にしません。カルテルはその分まで数えて生産を絞るので、合計の量が減ります。ただし相手が協定を守るなら、自社だけ増やすと利潤が増えます。
- クールノー:交点E(10個、10個)。2社の合計は20個、価格は100円、利潤は1社400円
- カルテル:2社の利潤の合計が最大になるのは、合計が独占と同じ15個のときわかること15個をどう分けても、合計の利潤は900円
- 点K:半分ずつ7.5個にした点Kわかること価格は120円、利潤は1社450円。Eの400円より多い
- 抜け駆け:B社が7.5個のままなら、A社の最適な量は11.25個(A社の線の上)わかること10個に増やすだけでも価格は110円、A社の利潤は450円から500円に増える。だから協定は破られやすい
赤の破線が、2社の合計が15個になる量の組です。
使える条件:需要が直線 のとき( は全社の合計)。2社を1つの独占企業とみるので、限界収入は合計の量で決まる1つだけで、全社の量の項の傾きが2倍です(クールノーは自社の項だけ)。限界費用がこれより低い会社は増やすほうが得なので、生産する会社の限界費用はどれも限界収入に等しくなります。
解き方の手順
- 1
限界費用の形で分ける
限界費用が同じで一定なら、合計を独占と同じにします(どう分けても利潤の合計は同じなので、問題では等分とすることが多い)。一定で違うなら、限界費用が最も低い会社だけがつくります。費用に の項があるなら、「限界収入=各社の限界費用」を全社で立てます。 - 2
価格に直す
合計を需要曲線に戻します。限界収入の値を価格と取り違えないようにします。
例で確かめる限界費用の違う2社のカルテル
需要曲線が 、A社の限界費用が22円、B社が42円(どちらも一定)の市場です。
| 決め方 | 量(A社・B社) | 価格 | 利潤の合計 |
|---|---|---|---|
| クールノー | 30個・10個 | 52円 | 1,000円 |
| カルテル(A社だけがつくる) | 35個・0個 | 57円 | 1,225円 |
| カルテル(半分ずつ) | 17.5個・17.5個 | 57円 | 875円 |
クールノーは、A社の とB社の を連立した値です。カルテルの合計は より35個、価格は 円です。1個をB社からA社へ移すたびに費用が 円減るので、A社だけでつくるのがいちばん安く、利潤は 円です。
カルテルの例題
自分で解いてみるカルテルの例題(費用が二次の2社)
選択肢を押すと、正解と解説が出ます。
正解は 5
限界費用は企業1が 、企業2が で、これがどちらも限界収入 に等しいので です。 より 、 です。合計24個、価格は 円で、正解は5です。
| 誤りの選択肢 | どの間違いから出るか |
|---|---|
| 62円 | 限界収入の値 を価格と答える |
| 24円 | 合計の生産量を価格と答える |
| 80円 | の微分の2を落とし、限界費用を 、 とする(合計30個) |
| 55円 | 費用を無視して収入だけを最大にする(合計55個) |
タイプ5寡占の諸理論
屈折需要曲線・マークアップ原理・参入阻止価格
見分け方:「寡占市場の価格に関する記述として、妥当なのはどれか」のように、理論の名前を含む文が5つ並びます。
なぜそうなるか屈折需要曲線で価格が動きにくい理由
値下げするとライバルも追随し、値上げしても追随しない、と予想するのが屈折需要曲線です。現在の価格で需要曲線が折れるので、限界収入曲線は上の部分と下の部分で別々に引きます。下の図なら、上の部分()の限界収入は で20個のとき40円、下の部分()は で20円です。20個の所で縦の切れ目ができ、限界費用曲線がその中で上下する間は、価格も生産量も変わりません(価格の硬直性)。
- 需要曲線:現在の価格60円・20個の点Kで折れるわかること値上げしてもライバルは追随しないので客が大きく逃げ(上は緩やか)、値下げするとライバルも下げるので客はあまり増えない(下は急)
- 限界収入:上の部分と下の部分で別々に引くので、20個の所で40円から20円まで縦に切れる
- 限界費用:限界費用曲線が切れ目を通る(20個で30円)わかること20個より少ないと限界収入が上回り、多いと下回るので、20個・60円が利潤最大
- 費用が上昇:限界費用が8円上がっても、20個で38円は切れ目の中わかること生産量は20個、価格は60円のまま(価格の硬直性)
図の見方:点Kが現在の価格60円・20個、橙の線が限界収入曲線です。限界費用曲線が切れ目を通るかぎり、20個・60円のままです。
判定のしかた
- 1
屈折需要曲線
現在の価格より上の需要曲線は緩やか(客が大きく反応)、下は急です。切れるのは限界収入曲線で、需要曲線は折れるだけです。この理論は、今の価格がなぜその値になったのかは説明できないので、「価格の水準を説明する」選択肢は誤りです。 - 2
マークアップ原理
フルコスト原理とも呼びます。平均費用(単位当たりの費用)に一定の率を上乗せして価格を決めるので、費用が上がれば価格も上がります。 - 3
参入阻止価格
新しい企業に参入をあきらめさせる価格で、参入しても利潤が出ない水準なので、独占価格(利潤が最大になる価格)より低くなります。
例で確かめる費用が8円上がったときの価格を2つの理論で比べる
どちらも今の価格が60円の会社で、1個あたりの費用が8円上がったとします(屈折需要曲線では限界費用、マークアップ原理では平均費用を見ます)。
| 理論 | 費用 | 価格 |
|---|---|---|
| 屈折需要曲線 | 20個のときの限界費用 30円 → 38円 | 60円のまま |
| マークアップ原理(上乗せ50%) | 平均費用 40円 → 48円 | 60円 → 72円 |
マークアップ原理の価格は平均費用の1.5倍です()。
寡占の諸理論の例題
自分で解いてみる寡占の諸理論の例題
選択肢を押すと、正解と解説が出ます。
正解は 2
正解は2です。
| 選択肢 | 正しくはこう |
|---|---|
| 1 | 追随の向きが逆。値下げには追随し、値上げには追随しないと予想する |
| 3 | 参入をあきらめさせる価格なので、参入しても利潤が出ない水準。独占価格より低い |
| 4 | 相手が守るなら、自社だけ増やすと利潤が増える(基本の市場では450円から500円)。協定は破られやすい |
| 5 | 逆。需要が直線で限界費用が同じ一定の2社なら、先の企業は多く(10個から15個)、後の企業は少なく(10個から7.5個)なる |
まとめ覚えることと間違いやすい点
覚えることの表(独占・クールノー・完全競争の比較)
需要が直線 で、全社の限界費用が同じ 円で一定のときです(右の列は基本の市場:、、)。
| 市場の形 | 合計の量 | 価格 | 基本の市場 |
|---|---|---|---|
| 独占・カルテル | 15個・120円 | ||
| クールノー(2社) | 20個・100円 | ||
| シュタッケルベルク | 22.5個・90円 | ||
| 完全競争 | 30個・60円 |
下の行ほど量は多く、価格は低くなります。クールノーで会社の数 が増えると、合計の量 は完全競争の量に近づきます(基本の市場の9社なら27個)。
正誤問題で問われる、理論ごとの前提と結論です(量の大小は上の表と同じ条件のとき)。
| 理論 | 前提 | 結論 |
|---|---|---|
| シュタッケルベルク | リーダーがフォロワーの反応関数を読む | リーダーの量はクールノーより多く、フォロワーは少ない(価格競争では後手の利潤のほうが大きい) |
| カルテル | 利潤の合計を最大にする | 合計の量が減る。抜け駆けの誘因がある |
| 屈折需要曲線 | 値下げには追随し、値上げには追随しない | 限界収入の切れ目の中では価格が動かない(今の価格の水準は説明しない) |
| マークアップ原理 | 平均費用(自社の単位当たりの費用)に一定の率を上乗せ | 費用が上がれば価格も上がる |
| 参入阻止価格 | 新しい企業の参入を防ぐ | 独占価格より低い価格をつける(高いと参入を誘う) |
よくある間違い
| 誤りの文 | 正しくはこう |
|---|---|
| クールノーで、微分の前に各社の量を等しいとおく | 微分した後で等しいとおく。先におくとカルテルの答えになる |
| クールノーの限界収入で、全部の量の項の傾きを2倍にする | 2倍にするのは自社の量の項だけ(全部を2倍にするのはカルテル) |
| の費用の限界費用を とする | 。固定費用は微分すると消える |
| 価格競争の図でも、下の等利潤曲線ほど利潤が高い | 上(相手の価格が高い側)ほど高い。反応曲線も右上がり |
| 限界費用が一定で違うカルテルでも、両社が半分ずつつくる | 限界費用が最も低い会社だけがつくる |











