独占とは・独占企業の利潤最大化(MR=MC)
30秒でわかる独占
独占は、売り手が1社だけの市場です。独占企業は売る量を決めると、その量を売り切れる最も高い価格を需要曲線から付けられます。多く売るほど価格は下がります。
限界収入(MR)は1個多く売ったときの収入の増え方、限界費用(MC)は1個多くつくったときの費用の増え方です。
利潤最大の条件
限界収入(需要曲線が直線のとき)
価格
ラーナーの独占度
この図の市場(需要曲線 、総費用 。 は価格〔円〕、 は数量〔個〕)では、総収入 を数量で微分すると (べき乗の微分: を微分すると 、定数は0)、総費用 を微分すると限界費用40円です。 より40個を、価格 円で売ります。このページでは、この市場を「基本の市場」と呼びます。
試験での出方
| 地方上級 | ★★★ | 特別区Ⅰ類 | ★★★ |
|---|---|---|---|
| 市役所 | ★★★ | 国家総合職 | ★★ |
| 国家一般職 | ★★ | 国家専門職 | — |
地方上級・特別区・市役所でよく出ている論点です。
よく出るタイプ
独占の問題は、次の5つのタイプに分けられます。カードを押すと、そのタイプの解き方に切り替わります。
基本の図需要・限界収入・限界費用
独占の図の読み方(限界収入曲線の描き方)
- 需要曲線:右下がりの線 P=120−Q。高さは、その数量を売り切れる最も高い価格わかること独占企業は売る量を決めれば価格も決まる。多く売るほど価格は下がる
- 限界収入:1個多く売ったときの収入の増え方 MR=120−2Qわかること縦軸の同じ120円から出て、傾きは需要曲線の2倍。横軸とは、需要曲線(120個)の半分の60個で交わる
- 限界費用:1個多くつくるときの費用の増え方。ここでは40円で一定
- 生産量:限界収入と限界費用が等しい点Aわかること120−2Q=40 より40個。これより多くつくると、収入の増え方が費用の増え方を下回る
- 価格:40個の真上の需要曲線の点Mわかること120−40=80円。点Aの高さ40円は限界費用で、価格ではない
- 完全競争:需要曲線と限界費用が交わる点Cわかること価格=限界費用の40円で80個。独占は量が少なく価格が高い
- 余剰:80円より上の三角形が消費者余剰、80円と40円の間の長方形が独占企業の利潤わかること消費者余剰は40円の高さ(120−80)・40個の幅の半分の800円、利潤は40円が40個ぶんで1600円
- 死荷重:40個から80個までの三角形わかること40円の高さ(80−40)・40個の幅の半分の800円。完全競争なら生まれていた得が、独占では失われる
図の見方
- 需要曲線が右下がりで全員に同じ価格を付けるなら、限界収入曲線は需要曲線より下にあります(理由はタイプ1。縦軸の上の点だけは一致)。直線なら縦軸の同じ点から出て傾きが2倍、横軸と交わる位置は需要曲線の半分です。
- 生産量は限界収入と限界費用の交点Aの真下、価格はその真上の需要曲線の点Mで読みます(点Mをクールノー点と呼びます)。点Aの高さは限界費用で、価格ではありません。
- 完全競争なら、需要曲線と限界費用の交点Cまでつくります(価格=限界費用)。
面積は、次の境界で読みます(直線の図)。
| 面積 | 上の境界 | 下の境界 | 横の範囲 |
|---|---|---|---|
| 消費者余剰 | 需要曲線 | 独占の価格 | 0から独占の量 |
| 生産者余剰 | 独占の価格 | 限界費用曲線 | 0から独占の量 |
| 死荷重 | 需要曲線 | 限界費用曲線 | 独占の量から完全競争の量 |
固定費用が無いとき、生産者余剰は利潤と同じです。
タイプ1独占の利潤最大化
独占企業の利潤最大化の求め方(限界収入=限界費用)
見分け方:「独占的に供給する企業」の需要の式と費用の式から、利潤最大の生産量(価格・利潤)を聞かれます。需要の式は、数量=の形(。需要関数)か、価格=の形(。逆需要関数。「需要曲線 」も同じ)です。
なぜそうなるか限界収入が価格より低い理由
基本の市場()では、20個なら100円、40個なら80円まで下げないと売り切れません。20個から40個に増やすと、増えた20個で 円入りますが、前の20個も20円ずつ安くなり、 円減ります。差し引き1200円、増やした20個の平均で1個あたり60円で、価格80円より低くなります。独占企業はこの「値下げの損」まで数えます。
- 20個:点Sの100円で売るわかること売上は100円が20個ぶんで2000円
- 40個:売り切るには価格を80円(点T)に下げるわかること増えた20個で、80円が20個ぶんの1600円が入る
- 値下げ:前の20個も20円ずつ安くなるわかること20円が20個ぶんの400円が減る
- 差し引き:1600−400=1200円の増加わかること1個あたり60円で、価格80円より低い。だから限界収入の線は需要曲線より下にある
使える条件:傾きを2倍する早解きは、逆需要関数(価格=の形)が直線のときだけです。曲線なら、総収入 を作って微分します。
導き方:利潤が最大の点では、1個増やしても減らしても利潤はもう増えません。つまり利潤(総収入−総費用)を数量で微分したもの(利潤の増え方)が0で、それは です。逆需要関数が なら、総収入は で、微分すると です。
解き方の手順
- 1
価格=の形にする
需要関数なら について解きます。傾きを2倍するのは、この形の傾きです。 - 2
限界収入を作る
なら 。 - 3
限界費用を作る
総費用を微分します(固定費用は消えます)。平均費用(AC)で与えられたら、数量を掛けて総費用に戻してから微分します。従量税なら1個の税額を足します。 - 4
MR=MC を解く
これが利潤最大の生産量です。 - 5
需要曲線に戻して価格
その量を逆需要関数に入れます。利潤は「価格と数量の積 − 総費用」。
| 変化 | 動く線 | 生産量と価格 |
|---|---|---|
| 従量税 | 限界費用が税額だけ上がる | 量は減り価格は上がる(解き直して出す) |
| 一括税(量に関係ない定額) | どちらも動かない | 変わらない。利潤だけ減る |
| 売上高を最大にする | MR=0 で量を決める | 利潤最大より量は多く価格は低い(限界費用が正のとき) |
例で確かめる需要関数と総費用から価格と利潤を出す
需要関数 、総費用 のとき。
- 直す:需要関数 Q=75−0.5P を、価格=の形 P=150−2Q に直すわかること傾きを2倍するのは、この形にしてから
- 限界収入:傾き2を2倍して MR=150−4Q
- 限界費用:総費用 TC=30Q+Q² を微分して MC=30+2Q
- 生産量:150−4Q=30+2Q より20個(点A)
- 価格:20個の真上の需要曲線の点Mわかること150−40=110円。点Aの高さ70円は限界費用で、価格ではない
- 誤り:価格=限界費用とおくと点X(30個・90円)わかることこれは完全競争の点で、独占の答えではない
と から20個、価格は 円です。利潤は売上2200円から総費用1000円を引いた1200円です。
独占の利潤最大化の例題
自分で解いてみる独占の利潤最大化の例題(従量税)
選択肢を押すと、正解と解説が出ます。
正解は 4
限界費用は で、税の20円を足すと です。限界収入は なので、 より18個、価格は 円です。正解は4です。固定費用400円は答えに関係しません。
| 項目 | 課税前 | 課税後 |
|---|---|---|
| 生産量 | 22個 | 18個 |
| 価格 | 91円 | 99円 |
111円は税20円がまるごと乗るとした値、91円は課税前の価格、63円は MR=MC の高さ(限界費用)、75円は価格=限界費用で解いた値です。
タイプ2ラーナーの独占度
ラーナーの独占度の求め方と性質
見分け方:「ラーナーの独占度」の値の計算(逆算も)か、性質の文の正誤です。
なぜそうなるか弾力性が小さいほど独占度が大きい理由
値上げしても客が離れにくい(需要の価格弾力性が小さい)市場ほど、高い価格でも売れるので独占度は大きくなります。弾力性は「価格が1%上がると需要量が何%減るか」で、逆需要関数が直線 なら、その点の弾力性は で出ます(基本の市場の80円の点なら 。弾力性の論点)。
- 市場1:需要曲線 P=120−Qわかること限界収入 120−2Q が40円になる40個(点A)で、価格は点Mの80円。独占度は(80−40)÷80=1/2
- 市場2:もっと急な需要曲線 P=200−2Qわかること限界収入 200−4Q も同じ40個で40円になり、価格は点Nの120円。独占度は(120−40)÷120=2/3
- 比べる:同じ40個の点で比べると、需要の価格弾力性は市場1が2、市場2が1.5わかること弾力性が小さい(値上げしても客が離れにくい)ほど、価格は限界費用より高く、独占度は大きい(弾力性は傾きだけでは決まらず、同じ直線の上でも点ごとに違う)
使える条件: は企業が直面する需要の価格弾力性(正の値)。 の式は、利潤を最大にしている点の値のときだけ使えます(限界費用が正なら、その点では です)。
導き方:覚える式 に を入れて変形すると、独占度= です。
解き方の手順
- 1
利潤最大の量と価格を出す
タイプ1の手順で、MR=MC から量、逆需要関数から価格を出します。 - 2
その量での限界費用を出す
利潤最大の量を入れた値。平均費用ではありません。 - 3
(価格−限界費用)÷価格
分母は価格。固定費用は入りません。 - 4
費用の式が無いとき
利潤最大の点では なので、 に価格と限界収入の式を入れ、与えられた独占度と等しいとおいて量を解きます。
性質の文は次で判定します(完全競争は0、限界費用が正なら1未満)。
- 利潤最大の点では、独占度は需要の価格弾力性の逆数(供給の弾力性ではない)。弾力性が小さいほど大きい。
- 限界費用が正なら 。 が正になるのは のときなので、独占企業は弾力性が1より大きい点で生産する。
- 独占度は利潤の大きさではない(固定費用が大きければ利潤は負になりうる)。
例で確かめる平均費用から独占度を出す
逆需要関数 、平均費用 のとき。
総費用 から 、 と等しいとおいて20個、価格は 円、限界費用は 円です。
| 項目 | 値 |
|---|---|
| 独占度 | |
| 平均費用を引いた誤り | 平均費用60円で |
| この点の需要の価格弾力性 | (逆数が で、独占度と一致) |
ラーナーの独占度の例題
自分で解いてみるラーナーの独占度の例題
選択肢を押すと、正解と解説が出ます。
正解は 2
限界収入は 、限界費用は なので、 より20個です。価格は 円、限界費用は 円で、独占度は です。正解は2です。
| 選択肢 | どこから出る値か |
|---|---|
| 分母を限界費用にした() | |
| 平均費用 円を引いた() | |
| 限界費用÷価格(1から独占度を引いた値) | |
| 限界費用の代わりに、価格=限界費用で解いた完全競争の価格を引いた |
タイプ3価格差別の計算
価格差別(差別独占)の計算方法
見分け方:「互いに転売できない2つの市場」「市場ごとに異なる価格」とあります。このタイプで扱うのは市場ごとに価格を分ける価格差別です(一般に「第3種」と呼ばれます)。市場を分けられ、市場の間で転売できないことが前提です。
なぜそうなるか各市場の限界収入をそろえる理由
市場Aの限界収入が市場Bより高ければ、Bで売る分を1個Aに回すだけで、費用は同じまま収入が増えます。増えなくなるのは両方の限界収入が等しく、それが限界費用に等しいときです。
- 市場A:P=130−1.25Q。限界収入130−2.5Q=30 より40個わかること価格は需要曲線の上で130−50=80円(点A)
- 市場B:P=70−0.8Q。限界収入70−1.6Q=30 より25個わかること価格は70−20=50円(点B)
- 比べる:限界費用は同じ30円でも、価格はAが80円、Bが50円わかること弾力性(Aは1.6、Bは2.5)の小さいAで高く、大きいBで安く売る
使える条件:転売できないこと。 は市場Aの利潤最大の点での需要の価格弾力性です(限界費用が正なら )。弾力性の大きい市場ほど、価格は低くなります。
解き方の手順
- 1
市場ごとに限界収入を作る
各市場の需要を価格=の形にして、傾きを2倍します。 - 2
限界費用が一定なら市場ごとに解く
、 を別々に解き、量をその市場の逆需要関数に入れて価格を出します。 - 3
限界費用が総生産量で変わるなら
共通の限界費用を とおき、各市場の量を で表して、限界費用の式に入れます。 - 4
利潤は1回だけ費用を引く
2市場の売上の合計から総費用を1回引きます。 - 5
同じ価格と比べるとき
数量=の形の需要を足します( と なら )。価格=の式どうしは足しません。出た価格が両市場の縦軸の切片より低いこと(この例なら20円未満)を確かめます。
例で確かめる限界費用30円の企業が2つの市場で価格を分ける
限界費用30円で一定、市場A()と市場B()のとき。
| 項目 | 市場A | 市場B |
|---|---|---|
| 限界収入 | ||
| MR=30 の販売量 | 40個 | 25個 |
| 価格 | 円 | 円 |
| 独占度 | ||
| 需要の価格弾力性 |
弾力性(価格÷(切片−価格))の小さい市場Aのほうが、価格も独占度も高くなっています。利潤は 円です。
価格差別の例題
自分で解いてみる価格差別の例題(限界費用が総生産量で変わる)
選択肢を押すと、正解と解説が出ます。
正解は 3
限界費用は で、両市場の量の合計で決まります。共通の限界費用の値を とおくと、 より 、 より です。これを に入れると 、両辺を2倍して 、 で です。 個、 個で、市場Bの価格は 円です。正解は3です。
| 項目 | 市場A | 市場B |
|---|---|---|
| 販売量 | 16個 | 12個 |
| 価格 | 54円 | 44円 |
54円は市場Aの価格、40円は市場Bの量だけで限界費用 を作った値、45円は価格=限界費用とした値、38円は を価格と読んだ値です。
タイプ4独占の余剰と死荷重
独占の死荷重の求め方(余剰の図)
見分け方:「死荷重(厚生損失)」を数値で聞かれるか、図の領域から消費者余剰・利潤・死荷重を選びます。
なぜそうなるか独占で死荷重が生まれる理由
基本の市場で60個目を考えます。買い手は需要曲線の高さ 円まで払い、つくる費用は40円なので、つくれば社会全体で20円の得です。ところが独占企業には、前の分まで値下げするので限界収入は 円しかなく、つくりません。この得が失われます。
- 独占:限界収入=限界費用の40個で止め、価格は80円(点M)
- 60個目:買い手は60円まで払い、つくる費用は40円わかることつくれば社会全体に20円の得が生まれる
- 独占企業:60個目を売るには前の分も値下げするので、限界収入は0円(点R)わかること費用40円を下回るのでつくらない
- 死荷重:40個から80個(点C)まで、この得を足した三角形わかること40円の高さ(80−40)・40個の幅の半分の800円
使える条件:需要曲線と限界費用曲線がどちらも直線のとき。限界費用が一定なら、独占の量は完全競争の量のちょうど半分になります。
解き方の手順
- 1
独占の点を出す
MR=MC で量、その真上の需要曲線で価格。 - 2
完全競争の点を出す
需要曲線と限界費用曲線の交点(価格=限界費用)。 - 3
死荷重の三角形を囲む
独占の量の縦の線・需要曲線・限界費用曲線で囲みます。限界収入曲線や平均費用曲線は境界ではありません。 - 4
図の問題は利潤の長方形も見分ける
利潤は「(価格−平均費用)× 量」の長方形で、下の辺はその量での平均費用(MR=MC の高さではない)。
例で確かめる限界費用が右上がりのときの死荷重
タイプ1の例の市場(、)で余剰を比べます。
- 独占:限界収入=限界費用の20個、価格は需要曲線の上の110円(点M)
- 完全競争:需要曲線と限界費用曲線の交点Cわかること30個・90円
- 消費者余剰:110円の線より上の三角形わかること40円の高さ(150−110)・20個の幅の半分の400円
- 生産者余剰:110円の線と限界費用曲線の間の台形わかること売上2200円から可変費用1000円を引いた1200円(固定費用が無いので利潤と同じ)
- 死荷重:20個から30個まで、需要曲線と限界費用曲線の間の三角形わかること40円の高さ(110−70)・10個の幅の半分の200円
| 余剰 | 独占(20個・110円) | 完全競争(30個・90円) |
|---|---|---|
| 消費者余剰 | 400円 | 900円 |
| 生産者余剰 | 1200円 | 900円 |
| 総余剰 | 1600円 | 1800円 |
総余剰の差 円が死荷重で、三角形 と一致します。消費者余剰の減少500円のうち400円(上がった20円が20個ぶん)は独占企業に移っただけで、残り100円と生産者側の100円が死荷重です(生産者余剰は差し引き300円の増加)。
独占の死荷重の例題
自分で解いてみる独占の死荷重の例題
選択肢を押すと、正解と解説が出ます。
正解は 5
総費用は 、限界費用は です。独占は より40個、価格は90円、40個での限界費用は50円です。完全競争は より60個です。死荷重は 円で、正解は5です。
2400円は利潤(平均費用30円で )、1000円は消費者余剰の減少、900円は高さを価格90円のまま とした値、768円は平均費用を限界費用として解いた値です。
タイプ5総収入曲線と独占的競争
総収入曲線の見分け方と独占的競争
見分け方:総収入曲線と総費用曲線の図で利潤(売上高)最大の点を選ぶ問題と、独占的競争の文の正誤です。
なぜそうなるか総収入曲線の形で市場の形が分かる理由
価格が変わらない完全競争の企業なら、総収入(価格と数量の積)は原点を通る直線で、傾きが価格です。売るほど価格が下がる独占企業なら、総収入は山の形になり、頂上で限界収入が0です。
- 完全競争:価格は40円のままわかること総収入は40円が売った個数ぶん。原点を通る直線で、傾きが価格
- 独占:多く売るほど価格が下がる(P=120−Q)わかること総収入は山の形。頂上の点H(60個)で限界収入が0
判定のしかた
- 1
形で市場を見分ける
総収入が原点を通る直線なら完全競争、山の形なら独占です。 - 2
利潤最大は接線が平行で総収入が上
総収入曲線の傾きが限界収入、総費用曲線の傾きが限界費用です。2本の接線が平行(MR=MC。総収入が直線の完全競争なら価格=限界費用)で、しかも総収入が総費用より上にある点を選びます。接線が平行な点が2つある図では、総費用が上にあるほうの点は利潤が最も小さい(損失が最も大きい)点です。 - 3
ほかの点の意味
総収入の頂上は売上高最大(MR=0)、交点は利潤0、総費用の曲がり方が変わる点は限界費用が最小の点で、どれも利潤最大ではありません。 - 4
独占的競争は長期の形を見る
下の節のとおり、長期は需要曲線が平均費用曲線に接し、利潤0・価格>限界費用・平均費用の最低点より少ない量です。
例で確かめる総収入と総費用の図で利潤最大の点を選ぶ
総収入 (基本の市場)、総費用 のとき。
- 2本の線:山の形が総収入、右上がりの直線が総費用 TC=700+40Qわかること総収入から総費用を引いた縦の差が利潤
- 交わる点:AとDでは総収入=総費用で利潤0わかること利潤が出るのはAとDの間
- 接線:総収入の接線が総費用の直線と平行になる点B(40個)わかること限界収入=限界費用。利潤は3200−2300=900円で最大
- 頂上:点C(60個)は総収入が最大わかること限界収入=0。売上高は最大でも、利潤は3600−3100=500円でBより小さい
点Bは40個で、総収入の傾き(限界収入 )が総費用の傾き40と等しく、利潤は900円で最大です。頂上の点C(60個)は売上高が最大でも、利潤は500円です。
独占的競争の長期均衡
独占的競争は、多くの企業が少しずつ違う製品を売り、参入と退出が自由な市場です。短期の決め方は独占と同じです。超過利潤(普通のもうけも費用に含めたうえで残る利潤)が出ると企業が入り、客が分かれて各企業の需要曲線は左へ動きます。損失なら退出で右へ動きます。
- 需要曲線:製品が他社と少しずつ違うので、客がすべては離れず右下がり P=90−3Q
- 費用:U字形の平均費用曲線と、その最低点Fを通る限界費用曲線
- 長期均衡:参入と退出で需要曲線が動き、平均費用曲線に点Eで接したところで止まるわかること価格60円=平均費用で、超過利潤は0
- 利潤最大:限界収入と限界費用は同じ10個で交わる(点A)わかること価格60円は限界費用30円より高い
- 過剰設備:生産量10個は、平均費用が最も低い20個(点F)より少ないわかること平均費用を最も下げられる量まで設備を使っていない。この状態が過剰設備
止まるのは、需要曲線が平均費用曲線に1点で接したところ(点E)です。価格=平均費用で超過利潤は0ですが、価格60円は限界費用30円より高いので死荷重が残ります。量10個は平均費用の最低点(20個)より少なく、平均費用を最も下げられる量まで設備を使っていません。この状態を過剰設備(過剰生産能力)と呼びます。
独占的競争と総収入曲線の例題
自分で解いてみる独占的競争と総収入曲線の例題
選択肢を押すと、正解と解説が出ます。
正解は 3
総収入が原点を通る直線なら傾きが価格で、利潤最大の点では総費用曲線の傾き(限界費用)が価格に等しくなります。正解は3です。
| 選択肢 | 正誤 | 正しくはこう |
|---|---|---|
| 1 | 誤 | 価格>限界費用で死荷重が残る |
| 2 | 誤 | 接するのは最低点より左 |
| 3 | 正 | 総費用曲線の傾き(限界費用)=価格 |
| 4 | 誤 | 頂上は売上高最大。利潤最大はそれより左 |
| 5 | 誤 | 客を奪われるので左へ移る |
まとめ覚えることと間違いやすい点
覚えることの表(市場の形ごとの比べ方)
需要曲線が右下がり、限界費用が正の場合です。
| 項目 | 完全競争 | 独占 | 独占的競争(長期) |
|---|---|---|---|
| 量の決め方 | 価格=限界費用 | 限界収入=限界費用 | 限界収入=限界費用 |
| 価格と限界費用 | 等しい | 価格が高い | 価格が高い |
| 超過利潤 | 長期は0 | 参入が無いので残りうる | 0(価格=平均費用) |
| 死荷重 | 無い | ある | ある |
| 独占度 | 0 | 0より大きく1未満 | 0より大きく1未満 |
よくある間違い
| 誤りの文 | 正しくはこう |
|---|---|
| 独占企業は価格=限界費用になる量を選ぶ | 限界収入=限界費用。価格=限界費用は完全競争 |
| MR=MC の交点の高さが価格 | 価格は、その量の真上の需要曲線の高さ |
| 需要関数(数量=の形)の係数をそのまま2倍して限界収入を作る | 価格=の形に直してから傾きを2倍(直線のときだけ) |
| 平均費用をそのまま限界費用に使う | 数量を掛けて総費用に戻してから微分する |
| 独占度は(価格−平均費用)÷価格、または分母が限界費用 | (価格−限界費用)÷価格 |
| 死荷重の境界は限界収入曲線や平均費用曲線 | 需要曲線と限界費用曲線の間の三角形 |
| 独占的競争の長期均衡は利潤0なので効率的 | 価格>限界費用で死荷重がある。過剰設備もある |











