市場の安定性とは・ワルラス的調整とマーシャル的調整
30秒でわかる市場の安定性
需要曲線と供給曲線の交点(均衡)から価格や数量が少しずれたとき、市場の調整で均衡に戻るなら安定、さらに離れていくなら不安定です。どう調整されると考えるかで、3つの見方があります。
ワルラス的調整
マーシャル的調整
くもの巣調整
先に読む論点需給の均衡
この図の市場(需要曲線 、供給曲線 。 は価格〔円〕、 は数量〔個〕)の均衡は30個・60円です。このページでは、この市場を「基本の市場」と呼びます。需要曲線が右下がり・供給曲線が右上がりのふつうの形なら、ワルラス的調整でもマーシャル的調整でも安定です。試験で問われるのは、曲線の向きや急さが変わると結論が変わるところです。
試験での出方
| 地方上級 | — | 特別区Ⅰ類 | ★★★ |
|---|---|---|---|
| 市役所 | ★★ | 国家総合職 | — |
| 国家一般職 | ★ | 国家専門職 | — |
特別区で特に出やすい論点です。泉の問題は、図や傾きの値を見て、安定(または不安定)になるものの組合せを選ぶ形がほとんどです。
よく出るタイプ
市場の安定性の問題は、次の3つのタイプに分けられます。カードを押すと、そのタイプの解き方に切り替わります。
基本の図3つの調整の図
安定・不安定の図の読み方(超過需要と超過供給)
このページでは、傾きを縦軸の価格で測ります。数量が1増えたとき、曲線の上で価格がいくら変わるかです。右下がりはマイナス、右上がりはプラスで、基本の市場なら需要曲線 の傾きは−2、供給曲線 は1です。2本のうち急なほうとは、傾きから符号(プラス・マイナス)を外した大きさ(絶対値)が大きいほうで、この市場では2>1なので需要曲線です。図で判定するときはこの急さを使います。タイプ3で傾きの値から判定するときは、符号を付けたまま比べる所もあります。
ワルラス的調整(価格が動く)
- 均衡:需要曲線と供給曲線が点Eで交わるわかること30個・60円で、買いたい量と売りたい量が等しい
- 価格を上げる:価格が均衡より高い72円にずれたとするわかること72円の横線を引く
- 数量を読む:72円で買いたい量は需要曲線の点Aの24個、売りたい量は供給曲線の点Bの42個
- 超過供給:売りたい量のほうが多く、42−24=18個が売れ残るわかることこの状態を超過供給と呼ぶ
- 価格が下がる:売れ残りがあると売り手は値下げするわかること価格はEの60円に戻るので、ワルラス的調整で安定
- 下も同じ:48円では買いたい量は需要曲線の点Gの36個、売りたい量は供給曲線の点Hの18個で、18個の超過需要わかること品不足で価格が上がり、やはり60円に戻る
図の見方
- 均衡より高い価格に横線を引き、その価格で需要曲線の上の数量(買いたい量)と供給曲線の上の数量(売りたい量)を比べます。
- 売りたい量が多い(超過供給)なら価格が下がって戻るので安定、買いたい量が多い(超過需要)なら価格がさらに上がるので不安定です。
- 直線が1点で交わる図では、低い価格の側を見ても同じ結論になるので、高い側だけ見れば足ります。
マーシャル的調整(数量が動く)
- 均衡:需要曲線と供給曲線が点Eで交わるわかること30個・60円
- 数量を増やす:数量が均衡より多い40個にずれたとするわかること40個の縦線を引く
- 価格を読む:40個のとき、需要曲線の点Cの40円が需要価格、供給曲線の点Fの70円が供給価格
- 比べる:需要価格が供給価格より70−40=30円低いわかること買い手が払ってもよい額が、売り手の求める額に届かない
- 数量が減る:売り手はつくる量を減らすわかること数量はEの30個に戻るので、マーシャル的調整で安定
図の見方
- 均衡より多い数量に縦線を引き、その数量での需要曲線の高さ(需要価格:買い手が最後の1個に払ってもよい額)と供給曲線の高さ(供給価格:売り手が最後の1個に求める額)を比べます。
- 需要価格のほうが低いなら、売り手は数量を減らして戻るので安定、高いなら数量をさらに増やすので不安定です。
- ワルラス的調整は「横線で数量を比べて価格を動かす」、マーシャル的調整は「縦線で価格を比べて数量を動かす」と、対にして覚えます。
くもの巣調整(供給が1期遅れる)
- はじめ:1期目は不作で22個しかとれないわかること22個が売り切れる価格は、需要曲線の上で78円
- 2期目の量:売り手は1期目の78円を見て、供給曲線から34個つくるわかること横の矢印は供給曲線に着く
- 2期目の価格:34個が売り切れる価格は、需要曲線から66円わかること縦の矢印は需要曲線に着く
- 3期目:66円を見て28個つくるわかること28個が売り切れる価格は72円
- 近づく:価格と均衡の70円の差は8円、4円、2円と半分ずつになるわかること矢印がEに巻き込むので安定
図の見方
- 農産物のように、つくるのに時間がかかる財の考え方です。1回つくって売るまでを1期(たとえば1年)と数えます。買い手は今の価格にすぐ反応しますが、売り手は前の期の価格を見て今期の量を決め、つくった量はその期に全部売ります。
- 横の矢印は供給曲線に着き(前の期の価格で今期の量が決まる)、縦の矢印は需要曲線に着きます(その量が売り切れる価格が決まる)。矢じりは動いた先です。横の矢印の先の点は「前の期の価格を見てこの量をつくった」という点で、その期に実際についた価格は続く縦の矢印の先です。量や価格が減るときは、矢印は左向き・下向きになります。
- 矢印が均衡に巻き込めば安定、外へ広がれば不安定です。
タイプ1ワルラス的・マーシャル的調整
ワルラス的調整・マーシャル的調整の安定条件(図で判定)
見分け方:問題文に「ワルラス的調整過程」「マーシャル的調整過程」(または「超過需要に応じて価格が変化」「需要価格と供給価格の差に応じて生産量が変化」)と書かれ、図ア〜エから安定(または不安定)なものの組合せを選びます。「ワルラス的には安定だが、マーシャル的には不安定」のように2つを組み合わせて聞く問題も多いです。
なぜそうなるか同じ向きに傾くと、2つの調整の結論が逆になる理由
2本とも右上がりで、需要曲線のほうが急な図です。横線で見ると、急な需要曲線の数量は少ししか動かないので、高い価格では売りたい量のほうが多くなります(ワルラス的に安定)。縦線で見ると、急な需要曲線の高さのほうが大きく上がるので、多い数量では需要価格のほうが高くなります(マーシャル的に不安定)。同じ急さの差を、横で読むか縦で読むかで、答えが逆に出ます。
- 同じ向き:需要曲線も供給曲線も右上がりで、需要曲線のほうが急
- 価格を見る:80円の横線では、買いたい量35個・売りたい量40個わかること超過供給なので価格が下がり、ワルラス的調整では安定
- 数量を見る:50個の縦線では、需要価格110円・供給価格90円わかること需要価格のほうが高いので数量が増え、Eから離れる。マーシャル的調整では不安定
判定のしかた
- 1
どちらの調整かを決める
価格が動く(超過需要・超過供給)ならワルラス的調整で横線、数量が動く(需要価格・供給価格)ならマーシャル的調整で縦線です。 - 2
補助線を引いて読む
ワルラスは、均衡より高い価格で売りたい量が多ければ安定。マーシャルは、均衡より多い数量で需要価格が低ければ安定。 - 3
向きで先にふるい分ける
需要曲線が右下がり・供給曲線が右上がりなら、2つとも安定。需要曲線が右上がり・供給曲線が右下がりなら、2つとも不安定。 - 4
同じ向きなら急なほうを見る
2本とも右上がりなら、需要曲線が急 → ワルラスだけ安定、供給曲線が急 → マーシャルだけ安定。2本とも右下がりなら逆で、需要曲線が急 → マーシャルだけ安定、供給曲線が急 → ワルラスだけ安定。迷ったら補助線に戻ります。
例で確かめる需要曲線が右上がり・供給曲線が右下がりの市場
需要曲線 (右上がり)、供給曲線 (右下がり)の市場です。均衡は より40個・60円です。
- 向きを見る:需要曲線が右上がり、供給曲線が右下がりの、どちらも通常でない配置
- 価格を見る:70円の横線では、買いたい量60個・売りたい量30個わかること超過需要なので価格はさらに上がり、ワルラス的調整では不安定
- 数量を見る:50個の縦線では、需要価格65円・供給価格50円わかること需要価格のほうが高いので数量はさらに増え、マーシャル的調整でも不安定
70円では、買いたい量は より60個、売りたい量は より30個で、30個の超過需要です。価格はさらに上がるので、ワルラス的に不安定です。50個では、需要価格 円が供給価格 円より高いので数量がさらに増え、マーシャル的にも不安定です。
ただし、需要曲線が右上がりの財(価格が上がるほど多く買われる財。ギッフェン財が例)だというだけで、不安定とは決まりません。2本とも右上がりで需要曲線のほうが急なら、ワルラス的には安定です(このタブの上の「なぜそうなるか」の図)。決めるのは2本の向きと急さの組合せです。
市場の安定性の例題(ワルラス的・マーシャル的調整)
自分で解いてみる市場の安定性の例題1(ワルラス的・マーシャル的調整)
選択肢を押すと、正解と解説が出ます。
正解は 2
80円では、買いたい量は より25個、売りたい量は より10個で、15個の超過需要です。価格はさらに上がるので、ワルラス的には不安定です。正解は2です。
- 均衡:2本とも右下がりで、需要曲線のほうが急
- 価格を見る:80円では買いたい量25個・売りたい量10個わかること超過需要なので価格はさらに上がり、ワルラス的調整では不安定
- 数量を見る:40個では需要価格50円・供給価格65円わかること需要価格のほうが低いので数量が減り、マーシャル的調整では安定
- 1:ふつうの形(需要曲線が右下がり・供給曲線が右上がり)と同じだと考え、横線を引かずに読んだ文です。
- 3:40個では需要価格 円、供給価格 円で、需要価格のほうが低いので数量は減り、マーシャル的には安定です。右上がり同士の「需要曲線が急ならマーシャル的に不安定」を右下がり同士に当てはめると、この文を選びます。
- 4:向きだけで決めた文です。同じ向きの図では、急なほうで決まり、どちらか一方だけが安定になります。
- 5:この図のように同じ向きに傾く図では、2つの結論は逆になります。
タイプ2くもの巣の調整
くもの巣理論(くもの巣調整)の安定条件
見分け方:問題文に「くもの巣」や「生産者は前期の価格を見て今期の供給量を決め」と書かれています。図から、価格が均衡に近づく(収束・安定)ものか、離れていく(発散・不安定)ものを選びます。矢印つきの折れ線(経路)が描かれ、矢印の向きが考え方に合うかも問う問題があります。
なぜそうなるか供給曲線のほうが急だと均衡に近づく理由
価格が均衡から少しずれると、売り手は供給曲線に沿って量を変え、その量に需要曲線が価格をつけ直します。下の図の最初の状態(需要曲線の傾き−1、供給曲線の傾き2)で、価格が均衡の70円より10円高い80円だとします。供給曲線の傾きが2なので、売り手は均衡より 個多くつくり、その量が売り切れる価格は需要曲線から均衡より 円低い65円です。ずれは10円から5円へ 倍です。一般に、価格のずれは1期ごとに「需要曲線の傾きの大きさ ÷ 供給曲線の傾きの大きさ」倍になるので、供給曲線のほうが急なら、ずれは毎期縮みます。図は需要曲線はそのままで、供給曲線の傾きだけを変えたものです。
供給曲線の傾き 2(需要曲線より急):価格のずれが1期ごとに1/2倍に縮み、均衡に近づく(収束)
使える条件:2本とも直線で、売り手が前の期の価格だけを見て量を決め、つくった量をその期に全部売るとき。曲線が右上がりか右下がりかは関係ありません。
判定のしかた
- 1
矢印の向きを確かめる
横の矢印は供給曲線に着く(前の期の価格で量が決まる)、縦の矢印は需要曲線に着く(その量が売り切れる価格が決まる)。横の矢印が需要曲線に着く経路は、考え方に合いません。 - 2
急なほうを比べる
供給曲線のほうが急なら収束、需要曲線のほうが急なら発散。向きは見ません。 - 3
経路の形を見る
2本が逆向きに傾くと、経路は均衡のまわりを回るうず巻きです。同じ向きなら、回らずに一方向へ進む階段になります。逆向きで急さが同じなら、同じ幅で回り続けます。
例で確かめるワルラス・マーシャルでは不安定でも、くもの巣では安定
需要曲線 (右上がり・傾き1)、供給曲線 (右下がり・傾き−2)の市場です。均衡は40個・60円です。どちらの曲線も通常でない向きなので、タイプ1の判定ではワルラス的にもマーシャル的にも不安定です。
- はじめ:1期目は44個わかること需要曲線の上で、44個が売り切れる価格は64円
- 2期目:64円を見て、供給曲線から38個わかること38個が売り切れる価格は、需要曲線から58円
- 3期目:58円を見て41個わかること価格は61円
- 近づく:均衡の60円との差は4円、2円、1円と半分ずつわかること供給曲線のほうが急なので、くもの巣では安定
供給曲線の傾きの大きさ2が、需要曲線の1より大きい(供給曲線のほうが急)ので、価格のずれの大きさは1期ごとに 倍になり(64円は4円高い、58円は2円安い、61円は1円高い)、均衡のまわりを回りながら近づきます。くもの巣調整の結論は、ワルラス・マーシャルとは別に、急さだけで決まります。
くもの巣理論の例題
自分で解いてみるくもの巣理論の例題(経路の形)
選択肢を押すと、正解と解説が出ます。
正解は 4
1期目の44個が売り切れる価格は 円です。2期目は68円を見て より48個、価格は 円、3期目は56個で92円です。均衡の60円との差は8円、16円、32円と2倍ずつ広がります。正解は4です。
- はじめ:1期目は44個わかること需要曲線の上で価格は68円
- 2期目:68円を見て、供給曲線から48個わかること価格は需要曲線から76円
- 3期目:76円を見て56個わかること価格は92円。均衡の60円との差は8円、16円、32円と2倍ずつ広がる
需要曲線の傾き2が供給曲線の傾き1より大きい(需要曲線のほうが急)ので発散し、2本が同じ向きなので回らずに階段のように進みます。
- 1・2:回るのは、2本が逆向きに傾く図です。
- 3:「需要曲線のほうが急なら収束」と大小を逆に覚えると選びます。
- 5:同じ向きに傾く図でも、売り手は前の期の価格で量を変えるので、くもの巣の調整は起こります。
タイプ3傾きの値・式の係数から判定
安定条件を傾きの値・式の係数から判定する
見分け方:図が無く、「需要曲線の傾きは 」のように傾きの値が数で与えられるか、「」(α はアルファ、β はベータ。供給の式では γ ガンマ・δ デルタ)のように数量を価格の式で表した需要関数・供給関数が与えられます。3つの調整のそれぞれで安定かどうかの組合せを選びます。問題では、需要曲線の傾きを 、供給曲線の傾きを と書くことが多いので、ここでもそう書きます(どちらも縦軸の価格で測った傾き)。
なぜそうなるかワルラス的調整だけ傾きの逆数を使う理由
ワルラス的調整は、価格を動かして数量の差を見ます。価格が1円上がったときに数量がいくら変わるかは、傾きの逆数です(傾き−2なら、10円上がると数量は5個減るので、1円あたり 個)。増えればプラス・減ればマイナスのまま比べ、供給量の変化 が需要量の変化 より大きければ、高い価格で売れ残りが出て価格が戻ります。動いた量の大きさで比べるのではありません。需要曲線 ・供給曲線 なら、10円上げると需要量は20個減り供給量は5個増えるだけですが、売れ残りは25個で安定です。マーシャル的調整は数量を動かして価格の差を見るので、傾きそのものを比べます。
- 均衡:30個・60円
- 10円上げる:価格を70円にして横線を引く
- 需要量:傾きが−2なので、価格が10円上がると需要量は10÷2=5個減る
- 供給量:傾きが1なので、10÷1=10個増えるわかること需要量は5個減るので、売れ残りは15個。価格1円あたりの増え方を符号つきで比べると、供給の+1が需要の−1/2より大きいので、価格は戻る
使える条件:2本とも直線で、1点で交わるとき。水平な曲線(傾き0)があるときは逆数が取れないので、ワルラスは係数()か横線の補助線で判定します。ワルラスとマーシャルは、マイナスを付けたまま(符号つきで)比べます( のように、マイナスどうしは絶対値の大きいほうが小さい)。くもの巣だけ、符号を外した絶対値で比べます。
数量を価格の式で書いた 、( は需要量、 は供給量)では、・ は価格が1上がったときの数量の変化で、傾きの逆数です(、。つまり 、)。これを上の条件に入れると、ワルラスは 、マーシャルは 、くもの巣は で安定です。くもの巣の大小が、傾きのときと逆向きになります。
解き方の手順
- 1
傾きをそろえる
数量の式()なら、価格の係数の逆数が傾きです。 について解いて「」の形にしても同じです。 - 2
ワルラスは逆数で比べる
なら安定。数量の式なら係数のまま で比べます。 - 3
マーシャルは符号つきで比べる
なら安定です。 - 4
くもの巣は絶対値で比べる
(供給曲線のほうが急)なら収束です。
例で確かめる数量の式で与えられたとき
需要関数 、供給関数 ( は需要量・ は供給量〔個〕、 は価格〔円〕)の市場です。均衡は より15円・20個です。価格の式に直すと、需要曲線は ()、供給曲線は ()です。
| 調整 | 比べるもの | 大小 | 結論 |
|---|---|---|---|
| ワルラス | 係数 ・ | 安定 | |
| マーシャル | 傾き ・ | 安定 | |
| くもの巣 | 傾きの絶対値 | 収束 |
係数の と をそのまま傾きと読むと、需要曲線のほうが急に見えて「発散」と誤ります。急なのは供給曲線です。
安定条件の例題
自分で解いてみる安定条件の例題(傾きの値から判定)
選択肢を押すと、正解と解説が出ます。
正解は 3
3は、ワルラスが で不安定、マーシャルが で安定、くもの巣が で収束です。正解は3です。需要曲線が右上がり(通常でない向き)の1本だけなので、ワルラスとマーシャルのどちらか一方だけが不安定になる例です。
| 選択肢 | ワルラス | マーシャル | くもの巣 |
|---|---|---|---|
| 1 | 不安定 | 安定 | 発散 |
| 2 | 安定 | 不安定 | 発散 |
| 3 | 不安定 | 安定 | 収束 |
| 4 | 安定 | 安定 | 収束 |
| 5 | 安定 | 不安定 | 収束 |
マイナスの逆数の比べ方:選択肢1のワルラスは 、 で、 なので不安定です。選択肢5は 、 で、 なので安定です。
- 1:くもの巣で絶対値を取らず、 を収束とすると選びます(正しくは で需要曲線のほうが急なので発散)。
- 4:ワルラスの不等号を逆に覚え、 を安定とすると、 が成り立たないので不安定に見えます。
- 5:ワルラスとマーシャルの条件を入れ替え(ワルラスを 、マーシャルを で判定)ると、条件に合って見えます。
- 2:ワルラスとマーシャルの条件を入れ替え、さらにくもの巣の大小も逆に覚えると選びます。
まとめ覚えることと間違いやすい点
覚えることの表(安定条件の早見表)
調整ごとの安定条件
は需要曲線、 は供給曲線の傾き(縦軸の価格で測る)、・ は 、 の価格の係数です。
| 調整 | 動くもの・補助線 | 傾きで見る安定条件 | 係数で見る安定条件 |
|---|---|---|---|
| ワルラス的 | 価格・横線(数量を比べる) | ||
| マーシャル的 | 数量・縦線(価格を比べる) | ||
| くもの巣 | 前の期の価格で量が決まる |
曲線の配置ごとの結論
2本の直線が1点で交わるときです。
| 配置 | ワルラス | マーシャル | くもの巣 |
|---|---|---|---|
| 需要が右下がり・供給が右上がり(ふつうの形) | 安定 | 安定 | 供給が急なら収束 |
| 2本とも右上がり・需要が急 | 安定 | 不安定 | 発散 |
| 2本とも右上がり・供給が急 | 不安定 | 安定 | 収束 |
| 2本とも右下がり・需要が急 | 不安定 | 安定 | 発散 |
| 2本とも右下がり・供給が急 | 安定 | 不安定 | 収束 |
| 需要が右上がり・供給が右下がり | 不安定 | 不安定 | 供給が急なら収束 |
覚え方:ワルラスとマーシャルの2つについてだけ、通常でない向きの曲線(右上がりの需要曲線・右下がりの供給曲線)の本数が、不安定になる調整の数と一致します(0本なら両方安定、1本ならどちらか一方だけ不安定、2本なら両方不安定)。1本のときにどちらが不安定かは、急なほうで決まります(表の2〜5行目)。この覚え方は直線が1点で交わるときのもので、くもの巣には使えません。くもの巣は、向きに関係なく、供給曲線のほうが急かどうかだけで決まります。
よくある間違い
| 誤りの文 | 正しくはこう |
|---|---|
| ワルラス的調整は縦線、マーシャル的調整は横線で読む | ワルラスは横線(価格を動かし数量を比べる)、マーシャルは縦線(数量を動かし価格を比べる) |
| 均衡より高い価格なら、価格は下がって戻るはずだ | 戻るのは売りたい量が多い(超過供給)ときだけ。超過需要なら価格はさらに上がる |
| 超過供給なら価格が上がる | 超過供給(売れ残り)なら価格は下がる |
| 需要価格が供給価格より低いと数量が増える | 需要価格が低ければ売り手は損をするので、数量を減らす |
| 2本が逆向きに傾けば安定、同じ向きなら不安定 | 同じ向きなら、急なほうで決まり一方だけ安定。逆向きでも需要が右上がり・供給が右下がりなら両方不安定 |
| 右上がり同士の「需要が急ならワルラス的に安定」を右下がり同士にも使う | 右下がり同士では逆で、需要が急ならマーシャル的にだけ安定 |
| 需要曲線が右上がり(ギッフェン財)なら、それだけで不安定 | 向きと急さの組合せで決まる。2本とも右上がりで需要が急ならワルラス的に安定 |
| ふつうの形なら、くもの巣でも安定 | くもの巣は急さで決まる。需要曲線のほうが急なら発散 |
| くもの巣は、需要曲線のほうが急なら収束 | 供給曲線のほうが急なら収束 |
| くもの巣で、横の矢印が需要曲線に着くようにたどる | 前の期の価格で決まるのは供給量。横の矢印は供給曲線、縦の矢印は需要曲線に着く |
| ワルラス・マーシャルを絶対値で比べる(くもの巣を符号つきで比べる) | ワルラス・マーシャルは符号つき、くもの巣だけ絶対値 |
| の をそのまま傾きとする | 傾きは 。係数で見るとくもの巣は で収束 |
| 「通常でない曲線の本数=不安定の数」をくもの巣にも当てはめる | この覚え方はワルラスとマーシャルだけ |











