費用逓減産業とは・自然独占とは
30秒でわかる費用逓減産業
費用逓減産業は、市場の需要をまかなう範囲で、作る量が増えるほど1個あたりの費用(平均費用(AC))が下がり続ける産業です。理由は大きな固定費用です。発電所・水道管・線路のように、作る量に関係なくかかる費用が大きいので、量が増えるほど1個が負担する分が小さくなります。電力・ガス・水道・鉄道などがその例です。
1社でまとめて作るほど安くなるので、市場は自然に1社だけになります(自然独占)。そこで政府は独占を認めたうえで、価格を規制します。
限界費用(MC)は1個ふやすのに追加でかかる費用、総余剰は買い手と売り手の得の合計、死荷重は取引が減ったために失われた総余剰です。
限界費用価格形成
平均費用価格形成
赤字の大きさ
この図の市場(需要曲線 、総費用 。 は価格〔円〕、 は数量〔個〕)を、このページでは「基本の市場」と呼びます。総費用(TC)は作るのにかかる費用の合計で、固定費用800円と、1個につき20円の費用からなります。平均費用は総費用を数量で割った で、10個なら 円、40個なら 円と下がっていきます。
電力や水道は公益事業なので公共財と混同されやすいですが、費用逓減産業の財は、お金を払わない人を使わせないことができる私的な財です。公共財(だれでも同時に使え、払わない人を締め出せない財)とは別の論点です。
試験での出方
| 地方上級 | ★★ | 特別区Ⅰ類 | ★★ |
|---|---|---|---|
| 市役所 | ★★★ | 国家総合職 | ★★ |
| 国家一般職 | ★ | 国家専門職 | — |
図の点や面積を選ぶ問題、価格・数量・赤字を計算する問題、料金規制の方式の文の正誤の3つの形で出ます。
よく出るタイプ
費用逓減産業の問題は、次の3つのタイプに分けられます。カードを押すと、そのタイプの解き方に切り替わります。
基本の図平均費用・限界費用と3つの点
費用逓減産業の図の読み方(限界費用価格形成と平均費用価格形成)
- 平均費用:右下がりの曲線AC。AC=800÷Q+20で、固定費用800円を作った個数で割る分が、数量が増えるほど小さくなるわかること需要のある範囲で、平均費用は下がり続ける
- 限界費用:1個ふやすのにかかる費用は20円で一定(水平の線MC)わかること平均費用には固定費用の分が上乗せされるので、MCはいつもACの下を通る
- 需要:右下がりの需要曲線Dと、限界収入曲線MRわかることMRは縦軸の同じ点から出て、傾きがDの2倍
- 独占:MRとMCが交わる25個の真上の、需要曲線上の点Mわかること規制がなければ25個を70円で売る
- P=MC:価格=限界費用となる点E(50個・20円)わかること真上のHが平均費用36円。16円が50個ぶんで800円の赤字
- P=AC:価格=平均費用となる点A(40個・40円)わかること利潤は0で赤字は出ないが、Eより10個少なく、20円の高さ・10個の幅の三角形100円が死荷重として残る
図の見方
- 平均費用曲線ACは右下がりで、需要のある範囲で下がり続けます。限界費用(MC)は、1個ふやすのに追加でかかる費用です。基本の市場では20円で一定です。平均費用には固定費用の分が上乗せされるので、MCはいつもACの下にあります。
- 限界収入(MR)は、1個多く売ったときに増える売上です。需要曲線 なら で、傾きが2倍になります(独占の論点と同じ)。
- 3つの点は、どれも需要曲線Dの上にあります。企業は決めた価格で、買い手が買いたいだけ売るからです。
| 点 | 決め方 | 基本の市場 | 結果 |
|---|---|---|---|
| M(規制なし) | MR=MCの数量の真上のD上 | 25個・70円 | 利潤450円・死荷重625円 |
| E(限界費用価格形成) | DとMCの交点 | 50個・20円 | 赤字800円・死荷重0円 |
| A(平均費用価格形成) | DとACの交点(2つあれば数量の多いほう) | 40個・40円 | 利潤0円・死荷重100円 |
Mの利潤は、収入 円から総費用 円を引いた450円です。Mの死荷重は、25個から50個までの、需要曲線とMCの間の三角形で、高さ 円・幅25個なので 円です。Aの価格40円は、図の縦軸では36円(Hの高さ)のすぐ上です。
DとACは、点Aのほかに点B(10個・100円)でも交わります。Bでも価格=平均費用ですが、価格が高く数量が少ないので、規制ではAを採ります。
死荷重は、取引が効率的な量(価格=限界費用となる50個)に届かずに失われた総余剰です(余剰分析の論点の言葉)。並べると、価格は M(70円)> A(40円)> E(20円)、数量はその逆です。
タイプ1自然独占と価格規制の図
自然独占の価格規制の図の読み方
見分け方:問題文に「需要曲線D、限界収入曲線MR、平均費用曲線AC、限界費用曲線MCを描いたもの」とあり、図の中の点の記号や、記号を結んだ四角形・三角形を選びます。
なぜそうなるか価格を限界費用に合わせると赤字になる理由
点Eの50個で、価格は20円、平均費用は 円です。収入は「価格 × 数量」、総費用は「平均費用 × 数量」なので、どちらも同じ横幅の長方形になり、差の16円の帯が赤字です。平均費用が下がっている所では、追加の1個の費用(MC)がそれまでの平均(AC)より小さいので、MCで値付けすると価格はいつもACより低くなります。
- 点E:価格=限界費用の点(50個・20円)と、真上のAC上の点H(36円)わかること同じ50個で、価格より平均費用のほうが16円高い
- 収入:価格20円が50個ぶんで1000円わかること縦が価格、横が数量の長方形
- 総費用:平均費用36円が50個ぶんで1800円わかること縦はHの高さ(平均費用)
- 赤字:総費用から収入を引いた残りわかることHとEの間の16円が50個ぶんで800円
判定のしかた
- 1
4本の線を見分ける
縦軸の同じ点から出ている右下がりの2本の直線のうち、傾きが急なほうがMR、緩やかなほうがDです(MRの傾きはDの2倍)。右下がりの曲線がACで、残る1本がMCです。MCはACの下を通り、水平・右上がり・右下がりのどれもあります(MCも右下がりの直線のことがあるので、縦軸の出発点で見分けます)。 - 2
答えの点は需要曲線の上
規制があってもなくても、企業は付けた価格で買い手が買う量を売ります。MR・MC・AC の上の点は「数量を決める点」か「費用の高さ」で、価格と数量の組ではありません。 - 3
規制なしはMRとMCの交点から真上へ
MRとMCの交点で数量を決め、その真上のD上の点が答えです。交点の高さは限界費用で、価格ではありません。 - 4
規制の点は交点で読む
価格=限界費用ならDとMCの交点、価格=平均費用ならDとACの交点です。DとACの交点が2つあれば、価格が低く数量が多い右下の点を採ります。 - 5
面積は同じ数量の真上で縦を測る
利潤・赤字の長方形の縦は、その数量での価格(D上の点)と平均費用(AC上の点)の差、横は数量です。価格が上なら利潤、ACが上なら赤字です。MCの高さは使いません。
例で確かめるMCが右上がりの図で、赤字と利潤の面積を読む
次の図で、限界費用価格形成のときの点と赤字の面積、規制がないときの点と利潤の面積を読みます。
- 4本の線:D・MR・AC・MC。この図のMCは右上がりわかることそれでもEの数量まではACの下を通るので、読み方は水平のMCと同じ
- 点E:価格=限界費用の点わかること需要曲線DとMCの交点
- 点L:Eの数量の真上で、AC上の点わかることLの高さが、その数量での平均費用
- 赤字:縦はLとEの間(平均費用−価格)、横はEの数量わかること縦軸上のJ(Eと同じ高さ=価格)とK(Lと同じ高さ=平均費用)を結んだ四角形EJKL
- 点M:MRとMCの交点Nの真上の、需要曲線上の点わかること規制がないときの価格と数量(Nの高さは価格ではない)
- 利潤:Mの数量の真上でAC上の点Rわかること縦軸上のS(Mと同じ高さ=価格)とT(Rと同じ高さ=平均費用)を結んだ四角形MSTR。縦をNまで取るとMCの高さを引いたことになり誤り
J・K・S・T は縦軸の上の点です。J は E と同じ高さ(価格)、K は L と同じ高さ(平均費用)、S は M と同じ高さ(価格)、T は R と同じ高さ(平均費用)です。
- 赤字は E・J・K・L を角とする長方形(四角形EJKL)で、縦は L と E の間、横は E の数量です。
- 規制がないときの利潤は M・S・T・R を角とする長方形(四角形MSTR)で、縦は M と R の間、横は M の数量です。
MCが右上がりでも、ACより下を通る範囲なら読み方は変わりません。利潤の縦を、MRとMCの交点Nまで取ると、平均費用ではなく限界費用を引いたことになり、誤りです。
費用逓減産業の例題(図の点を読む)
自分で解いてみる自然独占の価格規制の例題(図の点を読む)
選択肢を押すと、正解と解説が出ます。
平均費用が下がり続ける範囲で1社だけが財を供給している。図の4本の線は、この企業の需要曲線D、限界収入曲線MR、平均費用曲線AC、限界費用曲線MCである。この企業が規制を受けずに利潤を最大にするときの価格と生産量を点アとし、政府が価格をその生産量での平均費用と等しく定め、企業がその価格で需要される量だけ供給するときの価格と生産量を点イとする。ア、イの組合せとして最も妥当なのはどれか。
正解は 3
アは、MRとMCの交点Vで数量を決め、その真上のD上の点Uです。イは、DとACの交点のうち数量の多いZです。正解は3です。この図のMCは右下がりですが、読み方は同じです。
1のWは、独占の数量の真上をD上ではなくAC上で読んだ点で、価格を平均費用の高さで取っています。2のSは、DとACの2つの交点のうち数量の少ないほうを採った点です。4のVはMRとMCの交点そのもので、需要曲線まで上がる段が抜けています。5のXはDとMCの交点で、限界費用価格形成の点と取り違えています。Yは、Xの数量の真上のAC上の点で、限界費用価格形成のときの平均費用の高さです(選択肢には出てきません)。
タイプ2価格規制の計算
限界費用価格形成・平均費用価格形成の求め方
見分け方:需要( か )と総費用 が式で与えられ、規制のもとでの数量・価格・赤字や、規制がないときとの価格の差を聞かれます。 の形の需要の式は、問題文では「逆需要関数」と呼ばれることがあります(数量から価格を出す形なので「逆」と付きます)。
なぜそうなるか規制する価格を下げると、利潤と死荷重はどう動くか
基本の市場で、規制する価格(図の赤い破線)をスライダーで動かしてみます。長方形の縦は、その価格と、同じ数量での平均費用(AC)の差です。価格がACより上なら利潤(薄い青の長方形)、下なら赤字(薄い橙の長方形)になります。価格を下げるほど売れる量が増えて死荷重(灰色の三角形)は小さくなりますが、利潤は減り、40円より下では赤字になります。利潤がちょうど0になる40円が平均費用価格、死荷重が0になる20円が限界費用価格です。
価格40円:40個・利潤0円(平均費用価格)・死荷重100円
使える条件:需要が直線なら は需要曲線の傾きを2倍にした式です。 は二次方程式になり、解が2つなら数量の多いほうを採ります。限界費用が一定のときだけ、限界費用価格形成の赤字は固定費用と等しくなります。
総費用から限界費用を出すには、 を で微分します。使うのはべき乗の微分( を微分すると )だけです。 なら 、 なら10、固定費用のような定数は0になります。
解き方の手順
- 1
需要を「P=」の形にする
の形なら、 について解き直します。傾きが変わるので、読み替えで済ませません。 - 2
MCとACを出す
は を微分、 は を で割ります。 - 3
決め方の式で数量を出す
規制なしは 、限界費用価格形成は 、平均費用価格形成は (両辺に を掛けて二次方程式にし、大きいほうの解)。 - 4
需要曲線に戻して価格を出す
数量を需要の式に入れた値が価格です。MCやACに入れた値ではありません(P=MC・P=ACのときは一致します)。 - 5
聞かれたものに直す
利潤は で、マイナスなら赤字です。差を聞かれたら、どちらからどちらを引くかを確かめます。
例で確かめる需要 P=150−1.5Q、総費用 TC=2100+10Q+0.25Q²
タイプ1の「MCが右上がりの図で、赤字と利潤の面積を読む」の図は、この市場を描いたものです(Eが70個・45円、Lが57.5円、Mが40個・90円、Rが72.5円)。、、 です。
- 規制なし: より 、価格は 円。総費用は 円で、利潤は 円です。
- 限界費用価格形成: より 、価格は 円。総費用は 円、収入は 円で、 円の赤字です。
- 平均費用価格形成: を移項して 、両辺を1.75で割って 、。数量の多い を採り、価格は 円です。
| 決め方 | 数量 | 価格 | 利潤 |
|---|---|---|---|
| 規制なし(独占) | 40個 | 90円 | 700円 |
| 限界費用価格形成 | 70個 | 45円 | −875円(赤字) |
| 平均費用価格形成 | 60個 | 60円 | 0円 |
赤字875円は固定費用2100円より小さくなっています。MCが右上がりなので、価格45円(=最後の1個の限界費用)より前の分は安く作れていて、収入3150円が固定費用を除いた費用( 円)を1225円上回ります。この分が固定費用の一部を埋めるので、赤字は 円です。
費用逓減産業の計算の例題
自分で解いてみる平均費用価格形成の例題(独占価格との差)
選択肢を押すと、正解と解説が出ます。
正解は 3
規制なしは、 を と等しくおいて 、価格は 円です。
平均費用価格形成は、 の両辺に を掛けて 、2で割って 、 です。数量の多い を採り、価格は 円です。差は 円で、正解は3です。
80円は、規制を限界費用価格形成(価格30円)と取り違えた です。45円は、規制なしの40個での平均費用 円を規制価格にした で、1個あたりの利潤にあたります。50円は規制価格だけ、110円は規制なしの価格だけを答えた値です。小さいほうの解 (価格170円)を採ると、差の大きさは同じ60円でも、規制価格のほうが高くなり向きが逆になります。どちらの解を採ったかを必ず確かめます。
タイプ3料金規制の方式
料金規制の方式の違い(二部料金・ピークロード料金・プライスキャップ)
見分け方:「二部料金」「ピークロード料金」「プライスキャップ規制」「ヤードスティック規制」「総括原価方式」などの言葉が並ぶ5つの文から、妥当なもの(妥当でないもの)を選びます。
なぜそうなるか二部料金で赤字が消える理由
1個の料金(従量料金)を限界費用に合わせると、利用量は効率的になりますが、赤字が出ます(限界費用が一定なら、赤字は固定費用と同じ額)。その赤字を、利用量によらない基本料金で集めます。使う量は従量料金で決まるので、基本料金をとっても利用量は変わりません(基本料金が高すぎて加入をやめる人が出なければ)。
- 従量料金:1個の料金を限界費用の20円にするわかること利用は50個(点E)で、総余剰が最大になる
- 赤字:20円の料金だけでは平均費用36円に届かないわかること16円が50個ぶんで800円(この市場はMCが一定なので、固定費用と同じ額)
- 余剰:料金20円で使う人が得る消費者余剰は、100円の高さ(120−20)・50個の幅の三角形で2500円
- 基本料金:利用量によらない基本料金で、利用者から合わせて800円を集めるわかること消費者余剰2500円のうち800円が企業に移るだけで、使う量は従量料金で決まるので50個のまま。赤字は消え、利潤は0
| 方式 | 何を決めるか | 良くなること | 残ること |
|---|---|---|---|
| 限界費用価格形成 | 価格=限界費用 | 総余剰が最大(最善) | 赤字。補助金を税で賄うと、課税による別の効率の損失 |
| 平均費用価格形成 | 価格=平均費用 | 利潤0で、補助金なしで続けられる | 数量が少なく死荷重が残る(次善) |
| 二部料金 | 基本料金で固定費用、従量料金=限界費用 | 効率的な利用量のまま赤字が消える | 基本料金が高いと加入をやめる人が出る。費用を下げる誘因は生まない |
| ピークロード料金 | 需要の多い時間帯・季節を高く、少ないときを安く | 需要がならされ、ピークに合わせて用意する設備が少なくて済む。設備の費用はピークの利用者が多く負担する(ねらいどおりの効率的な負担) | 時間帯・季節ごとの需要を見込んで料金を決める必要がある |
| プライスキャップ規制 | 料金の上限。物価上昇率から生産性向上の見込み分を引いた率で改定 | 見込み以上に費用を下げた分が利潤に残り、費用を下げる誘因が働く | 価格が限界費用に等しくなるわけではない |
| ヤードスティック規制 | ほかの地域の似た企業の費用を基準に料金を決める | 直接競争しなくても、間接的な競争が生まれる | 比べる相手(条件の似た企業)が複数いないと使えない |
| 総括原価方式 | 費用に適正な利潤を上乗せした額を回収できる料金 | 赤字にならず事業を続けられる | 費用が増えても回収できるので、費用を下げる誘因が弱い |
参入と競争にかかわる言葉も、同じ問題の選択肢に出ます。
| 言葉 | 意味 |
|---|---|
| 参入規制 | 新しい企業の参入を止め、既存の企業に任せる。その代わりに料金も規制することが多い |
| フランチャイズ入札 | 独占的に供給する権利を入札にかけ、最も低い料金を示した企業に与える |
| コンテスタブル市場 | 参入・退出が自由で、退出のときに回収できない費用(埋没費用)が無い市場。参入の脅威で、1社しかいなくても、利潤が0を超えない(ふつう以上のもうけが出ない)価格に抑えられる |
| クリームスキミング | 新しい企業が、採算のとれる部門だけに参入すること |
| 内部補助 | 黒字の部門の収益で赤字の部門を支えること |
| X非効率 | 競争の圧力が無いため、費用が技術的に可能な最小の水準より高くなること |
| アバーチ=ジョンソン効果 | 資本の額に比例して利潤を認めると、資本を費用最小の水準より多く使うこと |
| ラムゼイ価格 | 赤字を出さずに上乗せするとき、需要の価格弾力性(価格が変わったときの需要量の変わりやすさ)が小さいサービスほど上乗せを大きくする |
判定のしかた
- 1
どの方式の文かを見る
表の「何を決めるか」と照らします。高い・低い、多く・少なく、基本料金・従量料金、黒字・赤字の向きが入れ替わっていないかを見ます。 - 2
誘因は「下げた分が企業に残るか」
費用を下げた分が利潤に残る方式(プライスキャップ・ヤードスティック)は誘因が働きます。費用がそのまま料金で回収される方式(総括原価)や、料金の取り方の工夫(二部料金)は、誘因を生みません。 - 3
効率と赤字はP=MCかP=ACか
価格=限界費用なら効率は最善で赤字、価格=平均費用なら赤字なしで死荷重が残ります。
例で確かめる3つの文を表に当てる
ア ピークロード料金は、需要の少ない時間帯の料金を高くして、利用を平準化する。
イ 二部料金で従量料金を限界費用に等しくすると、利用量は価格=限界費用のときと同じになる。
ウ 総括原価方式では、費用を下げた分が利潤として企業に残るので、費用を下げる誘因が強い。
| 文 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| ア | 誤り | 高くするのは需要の多い時間帯(向きが逆) |
| イ | 妥当 | 使う量は1個の料金(従量料金)で決まる |
| ウ | 誤り | 費用が増えても回収できるので、誘因は弱い(プライスキャップの性質と取り違え) |
料金規制の例題
自分で解いてみる料金規制の方式の例題
選択肢を押すと、正解と解説が出ます。
正解は 1
正解は1です。使う量は従量料金で決まるので利用量は効率的なままで、その赤字(限界費用が一定なら固定費用)を基本料金で回収すれば利潤は0になります。
| 選択肢 | 判定 | どこが違うか |
|---|---|---|
| 1 | 妥当 | 二部料金の2つの料金の役割どおり |
| 2 | 誤り | これはプライスキャップ規制。総括原価方式は、費用に適正な利潤を上乗せした額を回収できる料金 |
| 3 | 誤り | 上限は前もって決めた率で改定され、下げた分は利潤に残る |
| 4 | 誤り | X非効率は、競争の圧力が無いため、費用が技術的に可能な最小の水準より高くなること |
| 5 | 誤り | 平均費用は限界費用より高く、数量が少ないので死荷重が残る |
2は方式どうしの取り違え、4は言葉の原因の取り違え、5は平均と限界の取り違えから作られた誤りです。
まとめ覚えることと間違いやすい点
覚えることの表(3つの決め方)
平均費用が下がり続ける範囲(費用逓減)で、需要曲線が右下がりの場合です。
| 決め方 | 図の点 | 利潤 | 効率 |
|---|---|---|---|
| 規制なし(独占) | MR=MCの数量の真上のD上 | プラス(最大) | 死荷重がいちばん大きい |
| 限界費用価格形成 | DとMCの交点 | 赤字(MC一定なら固定費用と同じ) | 総余剰が最大(最善) |
| 平均費用価格形成 | DとACの交点(数量の多いほう) | 0(独立採算) | 死荷重が残る(次善) |
価格は「規制なし > 平均費用価格 > 限界費用価格」、数量はその逆です。
よくある間違い
| 誤りの文 | 正しくはこう |
|---|---|
| 平均費用価格形成では赤字になり、限界費用価格形成では利潤が0になる | 逆。P=MCで赤字、P=ACで利潤0 |
| 限界費用価格形成はパレート最適(総余剰が最大)にならない | なる。最善だが赤字が出る |
| 平均費用が下がっている範囲では、MCはACより上にある | 下にある。平均より小さい値を足すから平均が下がる |
| DとACの交点のうち、数量の少ないほうが規制の点 | 価格が低く数量が多いほう |
| 独占の価格は、MRとMCの交点の高さ | 交点で決まるのは数量。価格はその真上のD上 |
| 利潤や赤字の長方形の縦を、MCの高さで測る | 同じ数量でのACの高さで測る |
| 限界費用価格形成の赤字は、いつも固定費用に等しい | MCが一定のときだけ。右上がりなら小さく、右下がりなら大きい |
| 需要 の を、そのまま需要曲線の傾きとして使う | について解き直す(傾きは ) |
| ピークロード料金は、ピークの料金を安くする | ピークを高く、閑散期を安くして需要をならす |
| 二部料金は、従量料金で固定費用を回収する/費用を下げる誘因を与える | 基本料金で固定費用、従量料金=限界費用。誘因は生まない |
| ヤードスティック規制は競争を妨げる | ほかの企業と比べることで、間接的な競争を促す |
| 費用逓減産業の財は公共財である | 料金を払わない人を締め出せる私的な財。公共財とは別 |











