上級財・下級財とは・奢侈品と必需品の違い
30秒でわかる財の分類
価格を変えずに所得だけが増えたとき、ある財を買う量が増えるか減るかで財を分けます。増える財が上級財(正常財)、減る財が下級財(劣等財)です。上級財はさらに、所得の増え方より大きな率で増える奢侈品(ぜいたく品)と、小さな率でしか増えない必需品に分かれます。
需要の所得弾力性
分け方
先に読む論点効用最大化
たとえば所得が10%増えたとき、買う量が15%増える財は所得弾力性が で奢侈品、5%増える財は で必需品、2%減る財は で下級財です。
このページでは、X財の量を 、Y財の量を 、所得を 、2財の価格を ・ と書きます(問題では所得を と書くこともあります)。
所得弾力性による財の分類
| 所得弾力性 | 所得が増えると、その財の量は | 分類 |
|---|---|---|
| 所得より大きな率で増える | 上級財のうち奢侈品 | |
| 増えるが、率は所得より小さい | 上級財のうち必需品 | |
| 減る | 下級財 |
境目は2つです。上級財と下級財を分けるのは0、上級財の中で奢侈品と必需品を分けるのは1です。奢侈品も必需品も上級財の中の分け方なので、下級財が奢侈品や必需品になることはありません。 の財は、所得とちょうど同じ率で増えます。 の財は、所得が増えても量が変わりません(上級財でも下級財でもない境目です)。
ギッフェン財(その財の価格が下がると買う量が減る財)は、所得ではなく価格の変化で決まる分け方で、下級財の一部です(代替効果と所得効果の論点で扱います)。
試験での出方
| 地方上級 | ★★ | 特別区Ⅰ類 | — |
|---|---|---|---|
| 市役所 | — | 国家総合職 | ★★ |
| 国家一般職 | ★ | 国家専門職 | — |
地方上級と国家総合職で出やすく、国家一般職でも出る論点です。図を読んで財を分ける問題と文の正誤の問題が中心で、国家系では所得消費曲線の式を求める計算も出ます。代替効果と所得効果など、ほかの論点の選択肢にも財の分類の言葉が出てきます。
よく出るタイプ
所得の変化と財の分類の問題は、次の3つのタイプに分けられます。カードを押すと、そのタイプの解き方に切り替わります。
基本の図所得消費曲線とエンゲル曲線
所得消費曲線とは(所得が増えると最適な点はどう動くか)
予算線(予算制約線)は、所得を全部使ったときに買える2財の組を結んだ線です。無差別曲線は、満足の大きさ(効用)が同じになる組を結んだ線で、右上のものほど効用が高くなります。予算線と無差別曲線が接する点(接点)が、その所得で効用がいちばん高くなる組(最適消費点)です。
所得48円:X財 11.0個・Y財 18.5個(X財は減り、Y財は増える)
図の見方
- 所得が増えても2財の価格は変わらないので、予算線は傾きを変えずに外側へ平行に動きます(この図はX財1個1円・Y財1個2円)。
- 予算線が動くたびに接点Eも動きます。接点の跡(橙の線)が所得消費曲線です。2財の価格が変わると、ふつうは所得消費曲線そのものが別の線になります(L字の無差別曲線のときだけは、価格が変わっても同じ線です。タイプ3)。
- 所得36円までは、接点は右上へ進み、X財もY財も増えます。36円を超えると接点は左上へ進み、Y財は増えますがX財は減ります。この消費者にとってX財は、所得36円までは上級財、そこから先は下級財です。財の分類は点ごと(所得の水準ごと)に決まります。
エンゲル曲線とは
所得消費曲線の点を、横軸に所得、縦軸に1つの財の量をとって描き直したものがエンゲル曲線です。1つの財だけを見るので、もう一方の財は描きません。
- エンゲル:横軸に所得、縦軸にX財の量をとるわかること基本の図の接点を、所得とX財の量の組で描き直した線
- 右上がり:所得36円までわかること所得が増えるとX財が増えるので、この区間のX財は上級財
- 右下がり:所得36円から先わかること所得が増えるとX財が減るので、この区間のX財は下級財
所得36円のとき、X財は12個でいちばん多くなります(点P)。エンゲル曲線では、右上がりの所は上級財、右下がりの所は下級財です。所得消費曲線で「右へ進むか」で見たことを、エンゲル曲線では「右上がりか」で見ます。
タイプ1図で財を分ける
所得消費曲線・エンゲル曲線で財を見分ける方法
見分け方:問題文に「所得消費曲線」か「エンゲル曲線」とあり、図の上の点A・B・Cでの財の性質を問われます。選択肢には「上級財」「下級財」「奢侈品」「必需品」が並びます。
なぜそうなるか原点からの直線が奢侈品と必需品の境目になる理由
所得が1%増えて2財もちょうど1%ずつ増えると、2財の量の比は変わらないので、点は原点とその点を結ぶ直線の上を進みます。これが所得弾力性がどちらも1の道筋です。所得消費曲線がこの直線よりX財の軸の側(右)へ外れるなら、X財は所得より大きな率で増えている(奢侈品)、Y財は小さな率でしか増えていない(必需品)ことになります。
- 点A:所得20円の予算線と所得消費曲線が交わる点A(X財10個・Y財10個)
- 比べる線:原点とAを結ぶ直線わかること2財とも所得と同じ率で増えると、点はこの直線の上を進む(所得弾力性がどちらも1)
- 外れる側:所得が増えると曲線は直線より右へ外れるわかることX財は所得より大きな率で増える奢侈品、Y財は小さな率でしか増えない必需品
この図の消費者は、点A(X財10個・Y財10個)から所得が1%(0.2円)増えると、X財を0.14個(1.4%)、Y財を0.06個(0.6%)増やします。2財の価格はどちらも1円なので、0.14円と0.06円で、増えた0.2円をちょうど使い切ります。
見るのは、点Aから所得が増える向きへ進む先が直線のどちら側か、です。点Aより手前で曲線が直線の左上にあることは、点Aでの判定には関係ありません。
判定のしかた
- 1
曲線が進む向きで、上級財か下級財かを決める
所得が増える向き(点A→B→C)にたどります。所得消費曲線なら、右へ進めばX財、上へ進めばY財が増えるので上級財です。左へ戻ればX財、下へ下がればY財が減るので下級財です。所得が増えたのに2財とも減ると、使う額が減って所得が余ってしまうので、2財が両方とも減る向き(左下)には進みません。 - 2
原点からの直線と比べて、奢侈品か必需品かを決める
2財とも増えている点では、原点とその点を結ぶ直線を引きます。曲線の進む向きがその直線より緩やか(横軸=X財の側へ寝る)ならX財が奢侈品・Y財が必需品、急(縦軸=Y財の側へ立つ)ならY財が奢侈品・X財が必需品です。一方が下級財の点では、もう一方は必ず奢侈品です(タイプ2)。 - 3
エンゲル曲線は軸を確かめてから読む
横軸が所得なら、右上がりで上級財、右下がりで下級財です。右上がりの点では、その点で曲線に触れる直線(接線)が、原点とその点を結ぶ直線より急なら奢侈品、緩やかなら必需品です。同じことを、接線を左下へ延ばして所得の軸に当たる位置で見ることもできます。原点より右で当たれば奢侈品、左で当たれば(縦軸に当たっても)必需品です。縦軸が所得の図では、急と緩やかの判定が逆になります。 - 4
所得の図では決まらない言葉・起こらない組を外す
「ギッフェン財」は価格の変化で決まる分け方です。所得の変化の図で決まるのは、上級財の点ならギッフェン財ではない、ということまでで、下級財の点がギッフェン財かどうかは図だけでは決まりません。「2財とも下級財」「奢侈品で下級財」は起こりません。
使える条件:横軸が所得、縦軸が財の量のエンゲル曲線のとき。 と書き直すと、分子は接線の傾き、分母は原点とその点を結ぶ直線の傾きです( は変化の大きさ)。縦軸が所得の図では、図の傾きが上下逆の になるので、判定も逆になります。
例で確かめる所得消費曲線の3つの点で財を分ける
2財の価格を一定にしたまま所得を増やすと、最適な点は点A→B→Cの順に進みます。破線(灰)は各点を通る予算線です。
- 曲線:所得が増えると、最適な点はAわかることB → Cの順に進む → 各点で、曲線がどちらへ進むかを読む
- 点A:曲線は原点とAを結ぶ破線の上をそのまま進むわかること2財とも所得と同じ率で増える(所得弾力性はどちらも1)
- 点B:曲線は右上へ進み、原点とBを結ぶ破線より急わかることY財の軸の側へ立つので、Y財が奢侈品、X財が必需品
- 点C:曲線は右下へ進むわかることY財が減るのでY財は下級財。所得の増えた分とY財の減った分がX財に回り、X財は奢侈品
| 点 | 曲線の向き | X財 | Y財 |
|---|---|---|---|
| A | 原点からの直線と同じ向き | 所得と同じ率 | 所得と同じ率 |
| B | 右上(原点からの直線より急) | 必需品 | 奢侈品 |
| C | 右下 | 奢侈品 | 下級財 |
点Aでは、2財とも所得と同じ率で増えるので、奢侈品でも必需品でもありません(所得弾力性はどちらも1)。点Cでは、所得の増えた分に、Y財が減って浮いたお金を足した額が、すべてX財に回ります。X財への支出は所得の一部でしかないのに、所得の増えた額より多くの額が足されるので、X財の増える率は所得の増える率より大きくなります。そのためX財は奢侈品です。
エンゲル曲線の例題
自分で解いてみるエンゲル曲線の例題(財の分類)
選択肢を押すと、正解と解説が出ます。
図は、ある消費者のX財のエンゲル曲線であり、横軸は所得、縦軸はX財の量である。2財の価格は一定で、点A、点B、点Cの順に所得が大きい。X財の性質に関する記述として、妥当なのはどれか。
正解は 5
点Aでは、接線が原点とAを結ぶ直線より急なので、所得弾力性は1より大きく奢侈品です。点Bでは、接線が原点とBを結ぶ直線より緩やかなので、所得弾力性は1より小さく必需品です。点Cでは曲線が右下がりなので下級財です。正解は5です。
- 曲線:横軸が所得のエンゲル曲線の上の点A・B・Cわかること点ごとに、接線と原点からの直線を比べる
- 点A:接線(橙)は原点とAを結ぶ破線より急わかること所得弾力性は1より大きく、X財は奢侈品
- 点B:接線(橙)は原点とBを結ぶ破線より緩やかわかること所得弾力性は1より小さく、X財は必需品
- 点C:曲線は右下がりわかること所得が増えるとX財が減るので下級財(支出の割合も下がる)
| 点 | 曲線 | 接線と原点からの直線 | X財 |
|---|---|---|---|
| A | 右上がり | 接線のほうが急 | 奢侈品 |
| B | 右上がり | 接線のほうが緩やか | 必需品 |
| C | 右下がり | (比べない) | 下級財 |
- 1:点AはX財の量が少なく、曲線も低い所にあることから必需品と読んだ誤りです。分類は量の多い少ないではなく、接線と原点からの直線の比べ方で決まります。
- 2:点BはX財の量が多いことから奢侈品と読んだ誤りです。
- 3:所得が増えると量が減る財(下級財)を、必需品と取り違えた文です。必需品は量が増える上級財です。
- 4:価格が一定なら、支出の割合は「量÷所得」と同じ向きに動きます。下級財は量が減るので、割合は下がります。
タイプ2所得弾力性と2財の関係
所得弾力性と2財の関係(エンゲル集計)
見分け方:図も数字もなく、「所得弾力性」「奢侈品」「必需品」「下級財」を使った文が5つ並びます。問題文に「2財だけを消費し、所得をすべて支出する」とあれば、2財の組み合わせを問うタイプです。
なぜそうなるか支出の割合で重みづけて足すと1になる理由
支出の割合は、所得のうちその財に使う額の割合です(X財に40万円・所得100万円なら0.4)。価格が一定なら、所得弾力性は「支出の増える率÷所得の増える率」です。これに支出の割合(支出÷所得)を掛けると、「支出の増えた額÷所得の増えた額」、つまり所得の増えた分のうちその財に回った割合になります。2財だけを買い、所得を使い切るので、所得の増えた分は全部どちらかの財への支出に回り、2財分を足すとちょうど1になります。
- 所得100:所得100万円のとき、X財に40万円、Y財に60万円を使うわかること支出の割合はX財0.4、Y財0.6
- 所得110:所得110万円のとき、X財に47万円、Y財に63万円を使うわかること所得は10%増え、X財の支出は17.5%(所得弾力性1.75)、Y財は5%(0.5)増える
- 増えた分:所得の増えた10万円は、X財に7万円、Y財に3万円わかること0.4に1.75を掛けた0.7と、0.6に0.5を掛けた0.3は、この7割と3割のこと。足すと1
図では、所得が100万円から110万円へ10%増えます。価格は変わらないので、支出の増える率は量の増える率と同じです。X財の支出は40万円から47万円へ17.5%増えるので所得弾力性は 、Y財は60万円から63万円へ5%増えるので です。、 で、増えた10万円のうちX財に7万円、Y財に3万円が回ったことと同じです。
この式をエンゲル集計と呼びます(エンゲル曲線とは別の話で、所得弾力性どうしの関係の名前です)。・ は支出の割合()、・ は所得弾力性です。使える条件:2財だけを買い、2財の価格が一定で、所得をすべて使うとき。2財の所得弾力性を支出の割合で重みづけた平均が1なので、2つがそろって1より大きいことも、そろって1より小さいこともありません。
| X財 | Y財の所得弾力性 | Y財 |
|---|---|---|
| 下級財() | 1より大きい | 奢侈品 |
| 必需品() | 1より大きい | 奢侈品 |
| 1 | 所得と同じ率で増える | |
| 奢侈品() | 1より小さい | 必需品か下級財(どちらかは決まらない) |
判定のしかた
- 1
定義の向きを確かめる
所得弾力性は「需要量の変化率 ÷ 所得の変化率」です。分子と分母が逆の文や、「増えた量 ÷ 増えた額」のように率ではなく量で割る文は誤りです。 - 2
境目は0と1
下級財の境目は0、奢侈品と必需品の境目は1です。「1より小さい財は下級財」は、必需品まで下級財に入れてしまう誤りです。 - 3
支出の割合は、所得弾力性が1より大きいか小さいかで決まる
価格が一定なら、所得が増えたときに支出の割合が上がるのは奢侈品()だけです。必需品と下級財では下がり、 なら変わりません。 - 4
2財の組は重みづけた和で決める
一方の所得弾力性が1より小さい(必需品か下級財)なら、もう一方は奢侈品です。一方が奢侈品なら、もう一方は「1より小さい」ところまでしか決まりません。 - 5
ギッフェン財は下級財の一部
ギッフェン財ならその財は下級財なので、2財だけのとき、もう一方は奢侈品です。逆に、下級財がすべてギッフェン財とは限りません。
例で確かめるX財が下級財のときのY財
2財だけを買う消費者の所得が100万円から110万円へ増え、X財への支出は20万円から18万円へ減り、Y財への支出は80万円から92万円へ増えました。2財の価格は変わりません。
| 財 | 支出の割合(所得100万円のとき) | 支出の変化率 | 所得弾力性 |
|---|---|---|---|
| X財 | 0.2 | −10% | −1 |
| Y財 | 0.8 | +15% | 1.5 |
所得の変化率は10%です。X財は で下級財、Y財は で奢侈品です。式で確かめると です。X財への支出が減った2万円と、所得の増えた10万円を合わせた12万円が、すべてY財に回っています。
所得弾力性の例題
自分で解いてみる所得弾力性の例題(2財の関係)
選択肢を押すと、正解と解説が出ます。
正解は 2
X財の所得弾力性が1なら なので、 となり、 です。正解は2です。
- 1:下級財の境目を1に置いた誤りです。0.5は0と1の間なので、量は増える必需品です。
- 3:逆です。奢侈品は量が所得より大きな率で増えるので、支出の割合は上がります。
- 4:一方が奢侈品のとき決まるのは、もう一方が1より小さいことだけです。たとえば 、 なら で となり、Y財は必需品です。
- 5:率ではなく量で割った誤りです。所得が100万円から110万円になり、量が20個から23個になったとき、「増えた量÷増えた額」は ですが、所得弾力性は (15%÷10%)です。
| 所得弾力性 | 所得が増えると量は | 支出の割合は |
|---|---|---|
| 増える | 上がる | |
| 増える | 変わらない | |
| 増える | 下がる | |
| 減る | 下がる |
タイプ3所得消費曲線の式
所得消費曲線の式の求め方(接点・屈折点・端点)
見分け方:効用関数( のような式)と2財の価格が与えられ、「所得消費曲線を表す式」を問われます。問題では2財の量を ・、所得を や と書くことが多いです。
限界効用は、その財を1単位増やしたときの効用の増え方で、効用関数をその財の量で微分して出します(もう一方の財の量はただの数とみます)。微分はべき乗の微分( を微分すると )と、対数の微分( を微分すると )を使います。限界代替率(MRS)は「X財の限界効用÷Y財の限界効用」で、無差別曲線の傾きの大きさです。予算線の傾きの大きさは価格比()です。無差別曲線と予算線が接する点では2つの線の傾きが等しいので、接点では「限界代替率=価格比」が成り立ちます。
なぜそうなるか所得を消すと所得消費曲線になる理由
所得が変わっても2財の価格は変わらないので、接点で成り立つ「限界代替率=価格比」の式には所得が出てきません。この式を について解いたものが、そのまま接点の跡(所得消費曲線)です。
- 所得18:予算線と無差別曲線が接する点Aで、X財2・Y財6
- 所得36:予算線が平行に外へ動くわかること接点BはX財4・Y財12
- 所得54:さらに外へわかること接点CはX財6・Y財18
- 接点の跡:3つの接点は直線 y=3x の上わかること所得が2倍・3倍になると、2財とも2倍・3倍(所得弾力性は1)
、、 では、接点の式から です。所得18・36・54のどの接点も、この直線の上にあります。
使える条件:効用関数が の形(コブ=ダグラス型)のときだけ。限界代替率 を価格比 とおいて整えると 、つまり です。2財への支出の比が指数の比になり、所得消費曲線は原点を通る直線です。
使える条件:効用関数が の形のとき。無差別曲線はL字の形で、右の靴と左の靴のように決まった比でいっしょに使う財です(完全補完)。最適な点はいつもL字の角(屈折点)なので、価格は式に入りません。かっこの中に数が足されている形( など)でも「かっこの中の2つが等しい」とおくのは同じですが、所得消費曲線は原点を通りません。
解き方の手順
- 1
2財の限界効用を出す
効用関数を で微分したものがX財の限界効用、 で微分したものがY財の限界効用です。 - 2
限界代替率=価格比とおく
X財の限界効用÷Y財の限界効用 = 。L字(min の形)なら、かわりに「かっこの中の2つが等しい」とおきます。 - 3
y について解く
所得 は出てこないので、この式がそのまま所得消費曲線です。 - 4
使える範囲を確かめる
式で か が負になる所は、軸の上(片方の財だけを買う区間)に置き換えます。この軸の上の点を端点と呼びます。
例で確かめる接点の式を出す(U=xy²)
効用関数 、、 とします。
- X財の限界効用は、 を で微分して です( はただの数とみて、 を で微分すると1)。Y財の限界効用は、 を で微分して です( はただの数とみて、 を で微分すると )。
- 限界代替率は です。これを価格比 とおくと、 です。
- 早解きの式でも、 から 、 になります。所得36なら、支出の比1:2で分けてX財に12、Y財に24を使います。価格で割ると 、 です。
例で確かめる端点の区間を含む式(U=x(y+4))
効用関数 、、 とします。限界効用はX財が 、Y財が なので、 より です。この式は で が負になります。
- 接点の式:限界代替率=価格比から y=2x−4わかることx が2より小さいと y が負になるので、その所は使えない
- 所得4まで:X財だけを買うわかること点は横軸の上を、原点からK(X財2)まで進む
- 所得4から:接点は直線 y=2x−4 の上わかること所得12で点F(4,4)、所得20で点G(6,8)
のとき、X財に1円使うと効用は(X財の限界効用÷価格) 増え、Y財に1円使うと(Y財の限界効用÷価格) 増えます。 が2より小さい間はX財のほうが効用が増えるので、X財だけを買います。X財2個の代金は なので、所得が4以下ならX財だけを買い、点は横軸の上を進みます。所得が4を超えると、点は直線 の上を進みます。所得消費曲線は、()と ()をつないだ形です。
| 効用関数の形 | 最適な点 | 所得消費曲線 |
|---|---|---|
| 接点 | 原点を通る直線(2財とも所得弾力性1) | |
| 屈折点 | 原点を通る直線(価格は入らない) | |
| のように一方の財だけに数が足された形 | 価格によっては、低い所得では端点、そこから先は接点 | 軸の上の区間と、原点を通らない直線(接点の式で負になる所があるかで確かめる) |
| のように、 や の項に を1次で足した形 | 低い所得では横軸の上の端点(X財だけ)、そこから先は接点 | 横軸の上の区間と、X財の量が一定の縦の直線(その先の所得はすべてY財に回り、X財の所得弾力性は0) |
所得消費曲線の式の例題
自分で解いてみる所得消費曲線の式の例題(コブ=ダグラス型)
選択肢を押すと、正解と解説が出ます。
正解は 4
X財の限界効用は、 を で微分して ( はただの数とみる)、Y財の限界効用は で微分して なので、限界代替率は です。これを価格比 とおくと です。早解きの式でも、 から で同じです。正解は4です。
| 所得 | X財の量 | Y財の量 |
|---|---|---|
| 30 | 10 | 2 |
| 60 | 20 | 4 |
| 90 | 30 | 6 |
所得の3分の2がX財、3分の1がY財に使われ、どの所得でも は の5分の1です。
- 1:価格比を逆にして とした値です。
- 2:指数を2財で取り違え、限界代替率を とした値です。
- 3:価格を考えず、指数の比2:1をそのまま量の比にした値です。
- 5:Y財への支出(所得の3分の1)を、価格5で割らずに量とした値です。
まとめ覚えることと間違いやすい点
覚えることの表(財の分類)
2財の価格は一定で、所得だけが変わる場合です。
| 分類 | 所得弾力性 | 所得が増えると量は | 支出の割合は |
|---|---|---|---|
| 奢侈品(上級財) | 所得より大きな率で増える | 上がる | |
| 必需品(上級財) | 所得より小さな率で増える | 下がる | |
| 下級財 | 減る | 下がる |
| 図 | 上級財か下級財か | 奢侈品か必需品か |
|---|---|---|
| 所得消費曲線 | 右へ進めばX財、上へ進めばY財が上級財 | 原点からの直線より緩やかに進めばX財、急に進めばY財が奢侈品 |
| エンゲル曲線(横軸が所得) | 右上がりなら上級財 | 接線が原点からの直線より急なら奢侈品 |
| エンゲル曲線(縦軸が所得) | 上へ進むとき右へ向かえば上級財 | 接線が原点からの直線より緩やかなら奢侈品(判定が逆) |
2財だけを買い、所得をすべて使うときの2財の組です。
| 一方の財 | もう一方の財 |
|---|---|
| 下級財・必需品 | 奢侈品 |
| 奢侈品 | 必需品か下級財(どちらかは決まらない) |
| 所得弾力性が1 | 所得弾力性が1 |
| 2財とも下級財・とも奢侈品・とも必需品 | 起こらない |
よくある間違い
| 誤りの文 | 正しくはこう |
|---|---|
| 所得弾力性が1より小さい財は下級財 | 下級財の境目は0。0と1の間は必需品で、上級財 |
| 奢侈品であり、同時に下級財でもある財がある | 奢侈品は上級財の中の分け方。 と は同時に成り立たない |
| 所得弾力性は、所得の変化率を需要量の変化率で割った値 | 分子が需要量の変化率、分母が所得の変化率 |
| 所得弾力性は、増えた量を増えた額で割った値 | 変化率どうしの比 |
| 必需品は量が増えるので、支出の割合も上がる | 量は増えても、率が所得より小さいので割合は下がる |
| 2財の所得弾力性を足すと1 | 支出の割合で重みづけて足すと1 |
| X財が奢侈品なら、Y財は必ず必需品 | Y財の所得弾力性が1より小さいことまで。下級財のこともある |
| 2財とも下級財になる所得がある | 所得が増えたのに2財とも減ると、使う額が減って所得が余ってしまうので、起こらない |
| 所得が増えて量が減る財は、ギッフェン財 | 下級財。ギッフェン財かどうかは価格の変化で決まる |
| ある所得で上級財なら、どの所得でも上級財 | 分類は点ごと。途中から下級財になる財もある |
| 所得消費曲線が原点からの直線より緩やかに進む点では、X財が必需品 | 緩やか(横軸の側へ寝る)ならX財が奢侈品、急ならY財が奢侈品 |
| エンゲル曲線が急に立ち上がっている点は奢侈品 | 接線を原点からの直線と比べて決める |
| 縦軸が所得のエンゲル曲線でも、接線が急なら奢侈品 | 軸が入れ替わると判定も逆。接線が緩やかなら奢侈品 |
| コブ=ダグラス型の所得消費曲線の傾きは指数の比だけで決まる | 価格比も入る。価格が入らないのは のような完全補完(L字)のとき |
次にやること
先に読む論点
次に読む論点











