代替効果と所得効果とは(スルツキー分解)
30秒でわかる代替効果と所得効果
ある財が値下がりしたときの買う量の変化(全部効果。価格効果ともいいます)は、2つに分けて考えます。この分け方をスルツキー分解と呼ぶことがあります。
分け方
代替効果
所得効果
先に読む論点効用最大化所得の変化と財の分類
- ギッフェン財は、下級財のうち、値下がりしたのに買う量が減る財です(所得効果が代替効果より大きい)。
- 実質所得は、同じ所得で買える量です。値下がりで増え、値上がりで減ります。
- このページでは、X財の数量を 、Y財の数量を 、所得を 、効用を 、X財の価格を と書きます。
試験での出方
| 地方上級 | ★★ | 特別区Ⅰ類 | ★ |
|---|---|---|---|
| 市役所 | — | 国家総合職 | ★★ |
| 国家一般職 | ★ | 国家専門職 | ★★ |
図の点を答える問題、計算問題、文の正誤の3つの形で出ます。
よく出るタイプ
代替効果と所得効果の問題は、次の5つのタイプに分けられます。カードを押すと、そのタイプの解き方に切り替わります。
基本の図代替効果と所得効果の図
代替効果と所得効果の図(補助線の引き方)
効用が 、所得360円、Y財が1個5円の消費者で、X財が1個9円から4円に値下がりします。このページでは、この消費者を「基本の消費者」と呼びます。
- 予算線:所得360円を、X財(1個9円)とY財(1個5円)に使い切る組の線わかること縦軸の切片は360÷5=72個、横軸の切片は360÷9=40個
- 最初の点:予算線に接する無差別曲線との接点AわかることX財20個・Y財36個(求め方はタイプ2)。効用は20×36=720で、この曲線の上はどの組も x×y が720
- 値下がり:X財が9円から4円へわかること縦軸の切片72個はそのまま、横軸の切片が360÷4=90個に広がり、予算線は右へ回る(90個は図の外)
- 新しい点:新しい予算線に接する点CわかることX財は45個。20個から45個へ25個の増加が全部効果
- 補助線:新しい予算線と同じ傾きのまま、元の無差別曲線に接するまで平行に下げた線わかること接点Bで、X財は30個。縦軸の切片が48個なので、この線の所得は48×5=240円
- 代替効果:AからBへわかること効用は元のまま、割安になったX財に乗り換える。X財は20個から30個へ10個増える
- 所得効果:BからCへわかること補助線から新しい予算線へ平行に戻る動き(値下がりで実質所得が増えた分)。X財は30個から45個へ15個増え、10+15=25が全部効果
図の見方
- 予算線は、所得を使い切って買える組の線で、傾きの大きさはX財の価格÷Y財の価格です。X財だけが値下がりすると、縦軸の切片はそのままで、線が右へ回ります。
- 無差別曲線は、効用が同じになる組を結んだ線で、右上ほど効用が高くなります。予算線に接する点が、その予算で効用がいちばん高い点です。図の「効用720」は、その曲線の上の組ならどれも になるという意味です。
- 補助線(補償予算線)は、新しい価格の傾きのまま、元の無差別曲線に接する線です。この線の所得(縦軸の切片48個×Y財5円=240円)を補償所得と呼びます。
| 動き | 変わるもの | 変わらないもの |
|---|---|---|
| 点Aから点B(代替効果) | 価格の比(線の傾き) | 効用(同じ無差別曲線の上) |
| 点Bから点C(所得効果) | 実質所得(線の高さ) | 価格の比(線は平行) |
Y財は点Aから点Bで36個から24個へ減り、点Bから点Cで36個へ戻ります(タイプ4で使います)。
タイプ1図で分ける
図で代替効果と所得効果を分ける(点の読み方)
見分け方:問題文に、予算線2本(縦軸の切片が同じ)と無差別曲線2本と破線の図があり、「代替効果は点[ア]から点[イ]への移動」の空欄や、目盛りで読む大きさを聞かれます。
なぜそうなるか補助線は「交わる線」ではなく「接する線」
代替効果は、効用を元のままにして、価格の比だけを新しくしたときの動きです。新しい価格の傾きで元の無差別曲線と2点で交わる線は、線をもっと下げても(所得をもっと減らしても)、まだ元の無差別曲線の上の組が買えます。いちばん少ない所得で届くのは、1点で接する線です。
- 元の効用:最初の点Aを通る、元の無差別曲線わかることこの曲線の上の組なら、どれも効用はAと同じ
- 交わる線:新しい価格の傾きで所得300円の線わかること元の無差別曲線と点F・点Gの2点で交わる。F・Gは同じ効用だが、まだ線を下げて安く済ませられる
- 接する線:所得240円まで下げると、点Bの1点だけで接するわかることこれより下げると元の無差別曲線に届かない。この線が補助線で、Bが代替効果の行き先
判定のしかた
- 1
新しい予算線を決める
縦軸の切片が同じ2本なら、X財の値下がりでは横軸の切片が大きい(外側の)線、値上がりでは小さい(内側の)線が新しい予算線です。問題文の「下落」「上昇」と照らします。 - 2
元の点と新しい点
それぞれの予算線と無差別曲線の接点です。 - 3
補助線を2つの条件で決める
「新しい予算線と平行」と「元の点を通る無差別曲線に接する」の両方を満たす破線です。元の予算線と平行な破線や、予算線と無差別曲線の交点は使いません。 - 4
矢印の向きで名前を付ける
元の点から補助線の接点へが代替効果、補助線の接点から新しい点へが所得効果です。X財の大きさは横軸の目盛りの差で読みます。 - 5
新しい点の位置で財の種類
値下がりなら、新しい点が補助線の接点より右で上級財、左で下級財、さらに元の点より左でギッフェン財です。値上がりなら左右が逆になります。
例で確かめる同じ値下がりで、新しい点の位置が3通りに分かれる
点Aと点Bは基本の消費者と同じで、新しい無差別曲線の形(好み)だけが違う3人を比べると、点Cの位置は3通りに分かれます。代替効果はどれも点Aから点Bへの10個の増加です。
- 代替効果:どの財でもAからBへわかることX財は20個から30個へ10個増える。ここまでは財の種類で変わらない
- 上級財:新しい点CがBより右(45個)わかること所得効果も増やす向き(30個から45個へ15個)。全部効果は25個の増加
- 下級財:CがAとBの間(25個)わかること所得効果は減らす向き(30個から25個へ5個)だが、代替効果の10個より小さい。全部効果は5個の増加
- ギッフェン財:CがAより左(15個)わかること所得効果が30個から15個へ15個減らし、代替効果の10個を上回る。値下がりなのに全部効果は5個の減少
| 財の種類 | 点Cの位置 | 所得効果 | 全部効果 |
|---|---|---|---|
| 上級財 | 点Bより右(45個) | 15個の増加 | 25個の増加 |
| 下級財(ギッフェン財ではない) | 点Aと点Bの間(25個) | 5個の減少 | 5個の増加 |
| ギッフェン財 | 点Aより左(15個) | 15個の減少 | 5個の減少 |
代替効果と所得効果の図の例題
自分で解いてみる代替効果と所得効果の図の例題(値上がり)
選択肢を押すと、正解と解説が出ます。
正解は 3
値上がりなので、横軸の切片が小さい内側の線が新しい予算線です。元の点は外側の予算線との接点K(30)、新しい点は内側の予算線との接点L(24)です。破線は内側の線と平行で、点Kを通る無差別曲線に点J(20)で接しているので、これが補助線です。
代替効果は点Kから点Jで の減少、所得効果は点Jから点Lで の増加です。値上がりで実質所得が減ったのに、所得効果は増やす向きなので下級財です。全部効果は の減少で、価格と逆向きに動いているので、ギッフェン財ではありません。正解は3です。
1は代替効果と所得効果の名前を入れ替えた組、2は全部効果の向きを確かめずにギッフェン財とした組、4は値上がりで実質所得が増えると取り違えた組、5は移動を点Lから点J、点Jから点Kと逆にたどった組です。
タイプ2補償所得で計算する
代替効果と所得効果の計算(補償所得の求め方)
見分け方:効用関数( など)と所得・価格の数が与えられ、「変化前と同じ効用を保つように所得を補償したとき」の需要量の変化を聞かれます。問題では効用を と書くことが多いです。
なぜそうなるか補償所得は、元の効用に届くいちばん少ない所得
新しい価格の予算線を、平行のまま元の無差別曲線に接するまで下げたときの所得が補償所得です。360円との差の120円が、値下がりで浮いた分です。
- 新しい価格:所得360円のまま、X財が4円になった予算線わかること元の無差別曲線より外側の点Cまで買える
- 補償所得:同じ傾きのまま、元の無差別曲線に接するまで下げると所得240円(接点B)わかること新しい価格で元の効用を保つのに要る、いちばん少ない所得
- 浮いた分:360−240=120円わかること2本の線の縦の差はY財24個で、24×5=120円。元の効用のままなら120円が余る。値下がりで実質的に120円豊かになり、この分で買い増すのが所得効果
は変化前、 は変化後のX財の価格、 は補償所得です。・ は効用関数の ・ の右肩の数( なら 、)です。
使える条件:効用関数が の形で、X財の価格だけが変わるとき。 のように定数を足した形では、そのままは使えません(効用最大化の論点のやり方で需要を出してから、同じ手順で進めます)。
導き方: では所得の をX財に使います(効用最大化の論点)。X財の需要は に比例して に反比例し、Y財の需要は に比例します。これを に入れると、 が 回掛かり、 で 回割られるので、効用は に比例します。効用を同じに保つには を一定にすればよいので、上の式になります。
解き方の手順
- 1
変化前の需要を出す
元の所得と元の価格で を出します。 - 2
補償所得を出す
上の式で を出します。 - 3
補償後の需要を出す
補償所得 と新しい価格で需要を出します。 - 4
変化後の需要を出す
元の所得と新しい価格で を出します。 - 5
差を取る
代替効果 = 補償後 − 変化前、所得効果 = 変化後 − 補償後。選択肢はどれも和が全部効果に合うように作られていることが多いので、補償後の需要まで出して決めます。
例で確かめる基本の消費者の数を計算で出す
()、所得360円、Y財5円で、X財が9円から4円になります。
- 変化前: 個
- 補償所得:。 乗は「2回掛けるとその数になる数」なので で、 円
- 補償後: 個
- 変化後: 個
| 場面 | 所得 | X財の価格 | X財の需要 |
|---|---|---|---|
| 変化前 | 360円 | 9円 | 20個 |
| 補償後 | 240円 | 4円 | 30個 |
| 変化後 | 360円 | 4円 | 45個 |
代替効果は 個、所得効果は 個の増加です。補償後の組(X財30個・Y財24個)の効用は で、変化前の と同じです。問題文が「元の効用を保つ」なら240円です。「変化前と同じ量を買えるように補償する」と書かれた問題だけは、元の組を新しい価格で買える所得( 円)を使います。
代替効果と所得効果の計算の例題
自分で解いてみる代替効果と所得効果の計算の例題(値上がり)
選択肢を押すと、正解と解説が出ます。
正解は 3
では所得の をX財に使います。
- 変化前:
- 補償所得:。 は、3回掛けると になる数 を2乗した なので、
- 補償後:
- 変化後:
| 場面 | 所得 | X財の価格 | X財の需要 |
|---|---|---|---|
| 変化前 | 324 | 8 | 27 |
| 補償後 | 729 | 27 | 18 |
| 変化後 | 324 | 27 | 8 |
代替効果は の減少、所得効果は の減少で、正解は3です。
1は全部効果の19をすべて代替効果とした組です。2は補償の倍率の指数にY財の割合 を使い、補償所得を 、補償後の需要を12とした組です。4は聞かれていないY財の2つの効果(36から81、81から36)、5は名前を入れ替えた組です。
タイプ3効果の向きで財の種類を判定
ギッフェン財とは・上級財と下級財の見分け方(所得効果の向き)
見分け方:「代替効果による需要量の変化」と「全部効果」の表が与えられ、「上級財である」「ギッフェン財である」のような文の正誤を聞かれます。
なぜそうなるか財の種類は、所得効果の向きと大きさで決まる
代替効果は、無差別曲線が原点に向かってなめらかに出っ張っていれば、どの財でも価格と逆向きに働きます。分かれ目は所得効果で、向きで上級財か下級財かが決まり、代替効果と比べた大きさでギッフェン財かどうかが決まります。
- 代替効果:どの財でも、値下がりしたX財の需要量を10個増やす(赤の矢印。灰の破線が変化0)わかること無差別曲線が原点に向かってなめらかに出っ張っていれば、向きはいつも価格と逆
- 上級財:所得効果も増やす向き(+15個)わかること全部効果は10+15=25個の増加
- 下級財:所得効果は減らす向き(−5個)だが、代替効果より小さいわかること全部効果は10−5=5個の増加
- ギッフェン財:所得効果が減らす向きで、代替効果より大きい(−15個)わかること全部効果は5個の減少。値下がりなのに買う量が減る
判定のしかた
- 1
実質所得の向きを決める
値下がりなら実質所得は増え、値上がりなら減ります。 - 2
所得効果を取り出す
所得効果 = 全部効果 − 代替効果。増加をプラス、減少をマイナスにして、符号をつけたまま引きます。 - 3
向きで上級財・下級財
所得効果が実質所得と同じ向きなら上級財、逆向きなら下級財です。全部効果の向きでは決めません。 - 4
下級財ならギッフェン財か確かめる
全部効果が価格と同じ向き(値下がりで減る・値上がりで増える)なら、所得効果が代替効果を上回っていて、ギッフェン財です。需要曲線はその範囲で右上がりになります。
例で確かめる3つの財の種類を表から決める
1つの財の価格だけを変えたとき、その財の需要量は次のように変わりました。
| 財 | 価格 | 代替効果 | 全部効果 |
|---|---|---|---|
| X財 | 下落 | 6個の増加 | 9個の増加 |
| Y財 | 上昇 | 8個の減少 | 3個の減少 |
| Z財 | 下落 | 4個の増加 | 1個の減少 |
| 財 | 所得効果(全部−代替) | 実質所得 | 種類 |
|---|---|---|---|
| X財 | +9−(+6)=+3 | 増える | 上級財 |
| Y財 | −3−(−8)=+5 | 減る | 下級財(ギッフェン財ではない) |
| Z財 | −1−(+4)=−5 | 増える | ギッフェン財 |
Y財は全部効果が減少で見た目はふつうの財ですが、所得効果が実質所得と逆向きなので下級財です。Z財は、逆向きの所得効果5個が代替効果4個を上回るのでギッフェン財です。
ギッフェン財の例題
自分で解いてみる上級財・下級財・ギッフェン財の例題
選択肢を押すと、正解と解説が出ます。
正解は 4
| 財 | 所得効果(全部−代替) | 実質所得 | 種類 |
|---|---|---|---|
| X財 | −11−(−8)=−3 | 減る | 上級財 |
| Y財 | +2−(−5)=+7 | 減る | ギッフェン財 |
X財の所得効果は実質所得と同じ減らす向きなので上級財です。Y財の所得効果は逆の増やす向きで下級財、しかもその大きさ7が代替効果の大きさ5を上回り、値上げで需要量が増えているのでギッフェン財です。正解は4です。
1は全部効果の11をそのまま所得効果とした文、2は値上げで実質所得が増えると取り違えた文、3は2つの効果の大きさを比べずに下級財で止めた文、5は所得効果を「代替効果 − 全部効果」と逆に引いた から出る文です。
タイプ4粗代替・粗補完
粗代替財・粗補完財とは(全部効果と交差弾力性)
見分け方:「X財の価格が上がったときにY財の需要量が増える財を粗代替財」のような定義や交差弾力性が出てきて、「条件だけでは決まらない」という選択肢があります。
- 代替財・補完財は代替効果で決めます。X財の値上がりで、代替効果によって需要量が増える財が代替財、減る財が補完財、代替効果が出ない財が独立財です。
- 粗代替財・粗補完財は全部効果で決めます。X財の値上がりで需要量が増える財が粗代替財、減る財が粗補完財です。
- 交差弾力性は、その財の需要量の変化率を、ほかの財の価格の変化率で割った値です(符号をつけたまま)。正なら粗代替財、負なら粗補完財です。
なぜそうなるか「粗」は全部効果で見るという意味
基本の消費者で、X財の値下がりによるY財の動きを分けると、代替効果では減り、所得効果では増えます。向きが逆なので、全部効果は2つの大きさしだいで決まります。
- 3つの点:元の点A・補助線の接点B・新しい点CわかることY財の数量は、Aで36個、Bで24個、Cで36個
- 代替効果:AからBで、Y財は36個から24個へ12個減るわかること2財だけなら、X財が割安になると、同じ効用のままY財は必ず減る
- 所得効果:BからCで、Y財は24個から36個へ12個増えるわかることY財が上級財なら、実質所得が増えた分だけ増える向き
- 全部効果:12個減って12個増えるので、この消費者ではY財は変わらないわかること向きが逆なので、大きさしだいで増えも減りもする(条件だけでは決まらない)
判定のしかた
- 1
どの財の価格で、どの財の需要量か
価格が動いた財と、需要量を見る財を分けて書き出します。 - 2
代替効果の向き
ほかの財が値上がりしたとき、代替効果で代替財は増え、補完財は減り、独立財は変わりません。2財だけの消費者なら、無差別曲線がなめらかなとき相手は必ず代替財です(効用を保ったまま高くなった財を減らすには、もう一方を増やすしかないため)。 - 3
所得効果の向き
ほかの財が値上がりすると実質所得は減るので、上級財は減る、下級財は増える向きです。 - 4
同じ向きなら決まる
2つの効果が同じ向きなら全部効果はその向き、逆向きなら条件だけでは決まりません。値下がりのときは、すべての向きを逆にします。 - 5
向きを入れ替えない
X財がY財の粗代替財でも、Y財がX財の粗代替財とは限りません。それぞれの財の価格について別々に確かめます。
例で確かめるX財の値上がりで、3つの財の需要量はどう動くか
Y財はX財の代替財で上級財、Z財はX財の補完財で下級財、W財はX財と独立で下級財です。X財が値上がりすると、実質所得は減ります。
| 財 | 代替効果 | 所得効果 | 全部効果 |
|---|---|---|---|
| Y財(代替財・上級財) | 増える | 減る | 決まらない |
| Z財(補完財・下級財) | 減る | 増える | 決まらない |
| W財(独立・下級財) | なし | 増える | 増える |
粗代替財・粗補完財の例題
自分で解いてみる粗代替財・粗補完財の例題
選択肢を押すと、正解と解説が出ます。
正解は 2
X財の価格の変化率は −5% です。各財の需要量の変化率を −5 で割ります。
| 財 | 需要量の変化率 | 交差弾力性 | X財との関係 |
|---|---|---|---|
| Y財 | +3% | +3÷(−5)=−0.6 | 粗補完財 |
| Z財 | −10% | −10÷(−5)=+2 | 粗代替財 |
| W財 | 0% | 0 | どちらでもない |
値下げでZ財が減ったのは、値上げならZ財が増えるということなので、Z財は粗代替財で交差弾力性は2です。正解は2です。
1と5は値下げを値上げと同じ向きで読んだ文、3は価格の変化率の符号を落として とした文、4は需要量が変わらない財を粗補完財とした文です。
タイプ5需要曲線の図を読む
需要曲線の図から財の性質を読む(右上がりの需要曲線)
見分け方:縦軸に価格、横軸に需要量の図で、点と点の間の区間について「ギッフェン財」「下級財」「必需品」などの正誤を聞かれます。縦軸がほかの財の価格の図も出ます。
なぜそうなるか右上がりの区間だけが、ギッフェン財と決まる
右上がりの区間では、値下がりで需要量が減っているので、所得効果が代替効果を上回る下級財(ギッフェン財)です。右下がりの区間は、上級財でも所得効果の小さい下級財でも同じ形になるので、この図だけでは種類が決まりません。
- 需要曲線:価格の高い所から低い所へたどるわかること価格が下がると需要量が増える所(右下がり)と、減る所(右上がり)がある
- 右上がり:価格が13円から8円へ下がると、需要量が18個から14個へ減るわかることギッフェン財の区間。所得効果が代替効果を上回る下級財
- 右下がり:ほかの区間は値下がりで需要量が増えるわかること上級財か、所得効果の小さい下級財か、この図だけでは決まらない
判定のしかた
- 1
軸の名前を確かめる
縦軸がどの財の価格か、横軸がどの財の需要量かを先に読みます。 - 2
その財自身の価格の図
右上がりの区間はギッフェン財で、下級財です。所得弾力性(需要量の変化率÷所得の変化率)は、下級財では所得が増えると需要量が減るので負です。そのため奢侈品(ぜいたく品。1より大きい)でも必需品(0と1の間)でもありません。 - 3
右下がりの区間は決めない
上級財か下級財かも、2つの効果の大小も、この図だけでは決まりません。 - 4
2点の高さを確かめる
2つの点を名指しして「価格が上がると」と聞く文は、どちらの点が高い(価格が高い)かを先に確かめてから、需要量の増減を読みます。 - 5
ほかの財の価格の図
右上がりなら粗代替財(交差弾力性は正)、右下がりなら粗補完財(負)、垂直なら需要量は変わりません。
例で確かめる縦軸がほかの財の価格の図
縦軸はX財の価格で、横軸はY財とZ財の需要量です。
X財が値上がりすると、右上がりのY財は需要量が増えるのでX財の粗代替財、右下がりのZ財は減るので粗補完財です。Y財・Z財がギッフェン財かどうかは、この図では決まりません。
需要曲線と財の性質の例題
自分で解いてみる需要曲線と財の性質の例題
選択肢を押すと、正解と解説が出ます。
正解は 3
価格の高いほうから、点F・G・H・Jの順に並んでいます。点Gから点Hへは、価格が下がると需要量も減る右上がりの区間で、ここだけがギッフェン財の区間です。ギッフェン財では、逆向きの所得効果が代替効果を上回るので、正解は3です。
1:点Fから点Gへは、値下がりで需要量が増える右下がりの区間なので、ギッフェン財ではありません。2:点Hから点Gへは価格が上がり、需要量は12から16に増えます。「値上がりなら需要量は減る」をそのまま当てはめた文です。4は右下がりの区間なので下級財とは決まりません。5は、ギッフェン財は下級財なので所得弾力性は負です。
まとめ覚えることと間違いやすい点
覚えることの表(財の種類と効果の向き)
その財自身の価格が下がったときの、その財の需要量の動きです。無差別曲線が原点に向かって出っ張っている(なめらかに曲がっている)ときの向きで、値上がりならどの欄も向きが逆になります。
| 財の種類 | 代替効果 | 所得効果 | 全部効果 |
|---|---|---|---|
| 上級財 | 増える | 増える | 増える |
| 下級財(ギッフェン財を除く) | 増える | 減る(代替効果より小さい) | 増える |
| ギッフェン財 | 増える | 減る(代替効果より大きい) | 減る |
- 単に「下級財」とだけ書かれた文では、全部効果は決まりません(ギッフェン財かもしれないため)。上の表のように「ギッフェン財を除く」と分けたときだけ「増える」です。
- ギッフェン財は下級財の一部で、上級財はギッフェン財になりません。
- 2財だけの消費者で、2財とも下級財になることはありません(所得が増えたのに両方を減らすと、所得を使い切れません)。
ほかの財の価格が変わったときの相手の財は、代替効果(代替財・補完財・独立財)と所得効果(上級財・下級財)の向きがそろえば全部効果が決まり、逆なら決まりません(タイプ4)。
よくある間違い
| 誤りの文 | 正しくはこう |
|---|---|
| 全部効果が増えたので上級財 | 上級財・下級財は所得効果の向きで決める |
| 下級財の価格が下がると、需要量は必ず減る/必ず増える | 決まらない。減るのはギッフェン財のときだけ |
| ギッフェン財では、代替効果が所得効果より大きい | 逆。所得効果が代替効果を上回る |
| 元の点から補助線の接点への移動が所得効果 | それは代替効果。補助線の接点から新しい点が所得効果 |
| 補助線は、元の予算線と平行で新しい無差別曲線に接する | 新しい予算線と平行で、元の無差別曲線に接する |
| 所得効果 = 代替効果 − 全部効果 | 全部効果 − 代替効果(符号をつけたまま) |
| 補償所得は、元の組を新しい価格で買える所得 | 問題文が「元の効用を保つ」なら、元の無差別曲線に接する線の所得 |
| 代替効果だけで粗代替財・粗補完財を決める | 粗代替・粗補完は全部効果で決める |
次にやること
先に読む論点











