失業とは・失業率と失業の種類
30秒でわかる失業
失業は、働く能力と意思があり仕事を探しているのに、仕事に就いていない状態です(失業率を出すときの統計の決め方)。失業の論点では、失業を原因ごとに分け、「景気が良くなっても残る失業はどれか」を見分けます。
失業率(u)
完全雇用
自然失業率
定常状態の失業率
失業は、原因で次の4つに分けます。表の右の列が、このページ全体で使う区別です。
| 種類 | どんな失業か | 自然失業率に |
|---|---|---|
| 自発的失業 | 今の賃金では働く気にならず、自分から仕事に就かない | 入る |
| 摩擦的失業 | 転職や職探しの途中で、次の仕事が決まるまでの間の失業 | 入る |
| 構造的失業 | 求人はあるのに、技能・地域・職種が合わない(ミスマッチ)ための失業 | 入る |
| 非自発的失業(需要不足の失業) | 今の賃金で働きたいのに、企業の求人(労働需要)が足りずに雇われない | 入らない |
完全雇用は、この表の一番下の非自発的失業が無い状態です。上の3つは景気が良くなっても残るので、完全雇用でも失業率は0%になりません。完全雇用のときの失業率を自然失業率()と呼びます。
非自発的失業はケインズ派(ケインズの考えを受け継ぎ、総需要の不足で不況が続くと考える学派)の考え方です。古典派(ケインズより前からある、価格や賃金が自由に動いて需要と供給を等しくすると考える学派)は、賃金が自由に上下して働きたい人数と雇いたい人数が等しくなるので、非自発的失業は生じない(生じてもすぐ消える)と考えます。2つの学派の違いは「総需要・総供給」のページでも扱います。
試験での出方
| 地方上級 | ★★ | 特別区Ⅰ類 | ★★ |
|---|---|---|---|
| 市役所 | ★★★ | 国家総合職 | ★★★ |
| 国家一般職 | ★★ | 国家専門職 | ★★★ |
失業の種類と自然失業率の文の正誤、UV曲線の図の読み取り、定常状態の失業率の計算の3つの形で出ます。自然失業率は、フィリップス曲線の問題の選択肢の中でもよく問われます。
よく出るタイプ
失業の問題は、次の3つのタイプに分けられます。カードを押すと、そのタイプの解き方に切り替わります。
基本の図UV曲線
UV曲線の図の読み方(構造的・摩擦的失業と需要不足失業)
UV曲線(ベバリッジ曲線とも呼びます)は、横軸に失業率、縦軸に欠員率をとった図です。欠員率は、企業が必要とする人数(すでに雇っている人と、まだ埋まっていない求人の合計)のうち、まだ人が決まっていない求人(欠員)の割合です。縦と横の目盛りの間隔を同じにしてあるので、欠員率と失業率が同じ値になる点を結んだ線(45度線)が、ちょうど45度に傾きます。ボタンを押して1段ずつ組み立てます。
- UV曲線:横軸に失業率、縦軸に欠員率(企業が必要とする人数のうち、まだ人が決まっていない求人の割合)をとると、右下がりの線になるわかること景気が良いと求人が増えて欠員率が上がり、仕事が見つかりやすくなって失業率は下がる
- 45度線:欠員率と失業率が等しい点を結ぶ線わかることこの線の上では、埋まっていない求人(欠員)と、仕事を探す人(失業者)がほぼ同じだけある
- 交点K0:UV0と45度線は失業率5%で交わるわかること労働市場全体では人手が足りているのに残る5%は、仕事と人の条件が合わない・仕事を探している最中の失業(構造的・摩擦的失業)
- 景気悪化:求人が減ると、曲線の上を右下の点Aへ動くわかることミスマッチは変わらないので構造的・摩擦的失業は5%のまま。失業率10%から5%を引いた5%分が、求人の不足による需要不足の失業
- 曲線が外へ:仕事と人の条件の合わなさ(ミスマッチ)が大きくなると、曲線そのものが原点から遠いUV1へ移るわかること交点はK1(6%)になり、構造的・摩擦的失業が増える
図の見方
- 45度線との交点 K0 の失業率5%は、埋まっていない求人(欠員)と仕事を探す人(失業者)がほぼ同じだけあり、労働市場全体では人手が足りているのに残る失業です。これが構造的・摩擦的失業です。UV曲線の問題では、この交点の失業率を自然失業率(完全雇用のときの失業率)として扱います(UV曲線は仕事を探している人を数える図なので、自発的失業は分けて考えません)。
- 同じ曲線の上を動いても、仕事と人の条件の合わなさ(ミスマッチ)は変わらないので、構造的・摩擦的失業は交点 K0 の5%のままです。点 A の失業率10%のうち、この5%を引いた 10−5=5(%)が、景気が悪くなって増えた分、つまり求人の不足による需要不足の失業です。失業率と欠員率の差(10−2.5=7.5)は、この分け方では使いません。
- 景気の良し悪しは曲線の上の動き(悪化なら右下へ、回復なら左上へ)、ミスマッチの変化は曲線そのものの移動(大きくなれば原点から遠ざかる)で表れます。
問題によっては、縦軸と横軸が入れ替わっていることがあります(縦軸が失業率)。そのときも、45度線との交点を探してから分ける手順は同じです。
タイプ1失業の種類と自然失業率
失業の種類と自然失業率の見分け方
見分け方:問題文の最後が「失業に関する記述として、妥当なのはどれか」で、「完全雇用とは」「自然失業率は」「非自発的失業とは」で始まる文が並びます。総需要・総供給の図や、労働市場の図が付くこともあります。
なぜそうなるか非自発的失業はケインズ派だけが考える理由
労働市場の図で、古典派とケインズ派の違いは「賃金が下がるかどうか」の1点です。古典派では賃金が交点 E まで下がるので、今の賃金で働きたい人は全員雇われます。縦軸の実質賃金は、名目賃金(お金で受け取る賃金)を物価で割ったもので、賃金でどれだけの物が買えるかを表します。ケインズ派では名目賃金が下がりにくい(下方硬直性)ので、物価が変わらなければ実質賃金も下がらず、E より高い所で止まります。すると、A から B までの人が雇われないまま残ります。
- 2本の線:労働需要(企業が雇いたい人数)は賃金が高いほど少なく、労働供給(今の賃金で働きたい人数)は賃金が高いほど多い
- 古典派:賃金が自由に上下して交点Eで止まるわかること今の賃金で働きたい人は全員雇われ、非自発的失業は無い(完全雇用)
- ケインズ派:名目賃金が下がりにくく、実質賃金がEより高い所で止まるわかること企業が雇うのは点Aの人数だけ
- 非自発的:AからBまでの人は、今の賃金で働きたいのに雇われないわかることこれが非自発的失業(需要不足の失業)
E でも失業は0になりません。この図には描かれていませんが、E の賃金では働かないと決めた人(自発的失業)や、職探しの途中の人(摩擦的失業)は残ります。
判定のしかた
- 1
働く意思があるか
今の賃金では働く気が無いなら自発的失業です。働く意思があって雇われないなら、次の段へ進みます。 - 2
求人が足りないのか、合わないのか
求人そのものが足りない(景気が悪い)なら非自発的失業(需要不足の失業)です。求人はあるが職探しの途中なら摩擦的失業、技能・地域・職種が合わないなら構造的失業です。 - 3
完全雇用は非自発的失業の有無だけ
完全雇用は「非自発的失業が無い状態」です。「失業率が0%」「全員が働いている」とあれば誤りです。 - 4
自然失業率に入るのは景気で消えない失業
自然失業率は、摩擦的・構造的・自発的な失業の分です。職探しのしやすさ、産業構造、失業給付や解雇の決まりなどの労働市場の仕組みで決まり、物価上昇率では決まりません。仕組みが変われば上がりも下がりもします。 - 5
学派の組を確かめる
非自発的失業と名目賃金の下方硬直性はケインズ派の考え方です。古典派は賃金が自由に上下するので非自発的失業は生じないと考えます。フリードマン(マネタリスト。貨幣の量を重く見る学派。フェルプスも同じ考えを示した)の自然失業率仮説では、総需要を増やす政策で失業率を下げられるのは、人々が物価の上がり方をまだ低く予想している短期だけです。物価が上がったことに気づいて予想を後から直す長期には、失業率は自然失業率に戻ります(予想を後から直していく適応的期待が前提。「フィリップス曲線と期待」のページで扱います)。 - 6
総需要・総供給の図なら
総需要曲線と総供給曲線の交点の国民所得が、完全雇用国民所得(。完全雇用のときに生産される国民所得)より小さいとき、生産が足りない分だけ企業の雇う人数が少なく、非自発的失業があります(ケインズ派の考え方)。交点の国民所得が と等しければ、そのときの失業率が自然失業率です。
例で確かめる4人の失業を種類に分ける
次の4人は、どれも仕事に就いていません。1人ずつ種類を決め、自然失業率に入るかどうかを書き込みます。
| 失業の種類 | 自然失業率に | |
|---|---|---|
| 青木 | ||
| 井上 | ||
| 上田 | ||
| 江藤 |
- 青木:紹介された仕事を「この賃金なら働かない」と断ったわかること今の賃金では働かないと自分で選んでいるので自発的失業。景気とは関係なく残る
- 井上:よりよい職場を探して前の会社を辞め、面接を受けている最中わかること職探しの途中なので摩擦的失業
- 上田:工場が閉鎖され、求人の多い介護の仕事に必要な資格を持っていないわかること求人はあるのに合わないので構造的失業
- 江藤:不況で多くの会社が採用を止め、今の賃金で働きたいのに雇われないわかること求人そのものが足りないので非自発的失業(需要不足の失業)
景気が回復して求人が増えると、江藤さんの失業は消えていきます。青木さん・井上さん・上田さんの失業は景気が良くても残るので、完全雇用のときにも失業率は0%になりません。
失業の種類の例題(完全雇用と自然失業率)
自分で解いてみる自然失業率の例題(失業の種類と完全雇用)
選択肢を押すと、正解と解説が出ます。
正解は 4
構造的失業は求人と求職者の条件が合わないことによる失業で、自然失業率に入ります。職業訓練や求人情報の提供でミスマッチが小さくなれば構造的失業が減るので、自然失業率は下がりえます。正解は4です。
- 1:完全雇用は非自発的失業が無い状態で、摩擦的・構造的・自発的な失業は残ります。「失業ゼロ」と取り違えた文です。
- 2:自然失業率は完全雇用のときの失業率なので、需要不足の失業は入りません。景気で増減するのは、自然失業率を超える需要不足の分です。
- 3:古典派とケインズ派の入れ替えです。名目賃金の下方硬直性で非自発的失業を説明したのはケインズ派で、古典派は賃金が自由に上下して非自発的失業は生じないと考えました。
- 5:自然失業率仮説では、失業率が自然失業率を下回るのは、人々が物価の上がり方を低く予想している短期だけです。予想を直す長期には自然失業率に戻ります。
| 種類 | 景気が良くなると | 自然失業率に |
|---|---|---|
| 自発的・摩擦的・構造的 | 残る | 入る |
| 非自発的(需要不足) | 減る | 入らない |
タイプ2UV曲線
UV曲線の読み方と需要不足失業の求め方
見分け方:縦軸に欠員率(問題によっては「未充足求人率」と書かれますが、同じものです)、横軸に失業率をとった右下がりの曲線と、原点を通る45度線の図が付いています。「需要不足による失業は何%か」「曲線の移動は何を表すか」が問われます。軸が入れ替わっていることもあります。
なぜそうなるかUV曲線が右下がりで、原点を通らない理由
景気が良くなる → 企業が求人を増やす(欠員率が上がる)→ 仕事が見つかりやすくなり、失業者が減る(失業率が下がる)。景気が悪くなると逆向きです。だから同じ曲線の上で、欠員率と失業率は逆向きに動きます。
それでも、求人がどれだけ多くても失業率は0%になりません。条件の合わない人や職探しの途中の人が残るからです。この「残る分」の大きさが曲線の位置を決め、ミスマッチが大きいほど曲線は原点から遠くなります。
判定のしかた
- 1
45度線との交点を探す
点がどの曲線に乗っているかを確かめます。45度線は欠員率と失業率が同じ値になる点を結んだ線なので、その線と、点が乗っている曲線の交点の失業率を読みます。 - 2
交点の失業率が構造的・摩擦的
交点では埋まっていない求人と仕事を探す人がほぼ同じだけあるので、そこで残る失業は、仕事と人が合わない・探している最中の失業です。 - 3
交点を超える分が需要不足
同じ曲線の上ではミスマッチが変わらず、構造的・摩擦的失業は交点の値のままです。だから 点の失業率 − 交点の失業率 = 需要不足の失業です。点の失業率と欠員率の差ではありません。 - 4
動きを2つに分ける
同じ曲線の上を右下へ動くのは景気の悪化、左上へ動くのは景気の回復です。曲線そのものが原点から遠ざかるのはミスマッチが大きくなったとき、近づくのは小さくなったときです。 - 5
対策を組にする
需要不足の失業には、総需要を増やす政策(財政政策・金融政策)。構造的・摩擦的失業には、職業訓練・職業紹介・求人情報の提供など、求人と求職者を結びつける政策です。
例で確かめる2つの時期の失業を分ける
ある国の UV曲線は、時期1には基本の図の UV0、時期2にはミスマッチが大きくなって UV1 でした。時期1の経済は点B(失業率12.5%・欠員率2%)、時期2は点C(失業率8%・欠員率4.5%)にありました。
- 2本の曲線:時期1の曲線はUV0、時期2の曲線は原点から遠いUV1
- 時期1:点BはUV0の上にあるわかることUV0の交点K0は5%なので、12.5%は構造的・摩擦的5%と需要不足7.5%に分かれる
- 時期2:点CはUV1の上にあるわかることUV1の交点K1は6%なので、8%は構造的・摩擦的6%と需要不足2%に分かれる
| 点 | 失業率 | 構造的・摩擦的 | 需要不足 |
|---|---|---|---|
| B(UV0) | 12.5% | 5% | 7.5% |
| C(UV1) | 8% | 6% | 2% |
失業率は12.5%から8%へ下がりましたが、構造的・摩擦的失業は5%から6%へ増えています。時期2の失業を減らすには、総需要を増やすだけでは足りず(減らせるのは2%分)、ミスマッチを減らす政策が要ります。点Cを UV0 の交点5%で分けると、需要不足を3%と多く見積もってしまいます。
UV曲線の例題
自分で解いてみるUV曲線の例題(需要不足失業と曲線の動き)
選択肢を押すと、正解と解説が出ます。
正解は 2
45度線との交点 K の失業率4.5%が構造的・摩擦的失業です。同じ曲線の上ではミスマッチが変わらないので、構造的・摩擦的失業はどの点でも4.5%のままです。点Mの失業率13.5%のうち、4.5%を超える で9%が需要不足の失業で、これは総需要を増やして求人を増やせば減らせます。正解は2です。
- 1:12%は失業率と欠員率の差 です。需要不足の失業は、点の失業率から交点の失業率(構造的・摩擦的失業の分)を引いて測ります。
- 3:構造的・摩擦的の部分(4.5%)と需要不足の部分(9%)を入れ替えた文です。
- 4:M から N は同じ曲線の上を左上へ動いているので、景気の回復(求人が増えて失業が減った)です。ミスマッチの変化は曲線そのものの移動で表れます。
- 5:曲線が原点から遠ざかるのはミスマッチが大きくなったときです。景気の変化は曲線の上の動きです。
タイプ3定常状態の失業率
定常状態の失業率の求め方(公式と導き方)
見分け方:「就業者のうち毎月2%が離職し」「失業者のうち毎月23%が就職する」のような2つの率と、「失業者の数が変化しなくなる」「定常状態」という言葉が出てきます。人数の表から率を自分で出す問題や、失業率から離職率を逆に求める問題もあります。
ここで使う記号は次のとおりです。
- 離職率():就業者のうち、1期間(1か月など)に仕事を失って失業者になる人の割合。分母は就業者
- 就職率():失業者のうち、1期間に仕事に就く人の割合。分母は失業者
- 定常状態:失業者の数が増えも減りもしなくなった状態
なぜそうなるか入る人数と出る人数が等しくなると止まる理由
労働力人口が1000万人で、離職率2%・就職率23%の国を考えます。失業者の数は、就業者が仕事を失って失業者に入る人数(就業者×離職率)と、失業者が仕事に就いて失業者から出る人数(失業者×就職率)の差で増えたり減ったりします。失業者が何人のときに、失業者の数が止まるかを3つの場合で比べます(就業者は、1000万人から失業者を引いた人数です)。
| 失業者 | 失業者に入る(離職) | 失業者から出る(就職) | この後 |
|---|---|---|---|
| 50万人 | |||
| 100万人 | |||
| 80万人 |
- 50万人:就業者は950万人。失業者に入る人数はその2%、失業者から出る人数は失業者50万人の23%わかること入る19万人が出る11.5万人より7.5万人多いので、失業者は増える
- 100万人:就業者は900万人。失業者に入る人数はその2%、失業者から出る人数は失業者100万人の23%わかること出る23万人が入る18万人より5万人多いので、失業者は減る
- 80万人:就業者は920万人。失業者に入る人数はその2%、失業者から出る人数は失業者80万人の23%わかることどちらも18.4万人で等しいので、失業者の数は変わらない(定常状態)
失業者が少ないと入るほうが多く、多いと出るほうが多いので、失業者の数はどこから始めても80万人へ近づきます。このときの失業率は、失業者80万人 ÷ 労働力人口1000万人 = 0.08、つまり8%です。
使える条件:労働力人口が一定で、労働力人口と非労働力人口の間の出入りが無く、・ が変わらないとき。 は就業者に対する率、 は失業者に対する率です。
導き方:労働力人口を とすると、失業者は 、就業者は です。入る人数 と出る人数 を等しくおき、両辺を で割ると です。左辺を開くと 、 を右辺へ移すと 、両辺を で割ると になります。分母に来るのは人数ではなく、2つの率の和です。
解き方の手順
- 1
2つの率を出す
率が書いてあればそのまま使います。人数の表なら、離職率 = 就業者から失業者になる人数 ÷ 就業者、就職率 = 失業者から就業者になる人数 ÷ 失業者。15歳以上人口や非労働力人口は使いません。 - 2
公式に入れる
。離職率の値を分子に、2つの率の和を分母に置きます。 - 3
逆算なら式を立て直す
失業率と就職率から離職率を求めるときは、 を について解いて です。 - 4
今の失業率と違ってよい
求めた が表の今の失業率と違っても構いません。入る人数と出る人数が等しくないうちは、失業率は定常状態の値へ動いていく途中です。
例で確かめる離職率2%・就職率23%の定常状態の失業率
上の「なぜそうなるか」の箱で考えた国(労働力人口1000万人・離職率2%・就職率23%)に、公式を当てはめます。
答えは8%で、表で人数から確かめた「失業者80万人 ÷ 労働力人口1000万人」と一致します。
分母を取り違えた は、80万人 ÷ 920万人(失業者 ÷ 就業者)と同じ値で、失業率ではありません。失業率の分母は労働力人口(就業者+失業者)です。
逆に、失業率8%と就職率23%から離職率を出すと、 で、2%に戻ります。
定常状態の失業率の例題
自分で解いてみる定常状態の失業率の例題(人数の表から求める)
選択肢を押すと、正解と解説が出ます。
正解は 3
離職率は就業者で割って 、就職率は失業者で割って です。定常状態の失業率は で3.5%、正解は3です。
| 率 | 分子 | 分母 | 値 |
|---|---|---|---|
| 離職率 | 66.5万人 | 就業者4750万人 | 1.4% |
| 就職率 | 96.5万人 | 失業者250万人 | 38.6% |
| 今の失業率 | 250万人 | 労働力人口5000万人(4750万+250万) | 5.0% |
- 1:1.4%は離職率そのもので、失業者から出ていく人を見ていません。
- 2:3.3%は、離職率を労働力人口で割って 66.5万人 ÷ 5000万人=0.0133 とし、 と計算した誤りです。離職率の分母は就業者です。
- 4:3.6%は ()で、失業者 ÷ 就業者の比です。失業率の分母は労働力人口です。
- 5:5.0%は今の失業率(250万人 ÷ 5000万人)です。今は失業者から出る人数96.5万人が失業者に入る人数66.5万人より多いので、失業者は減っていき、失業率は3.5%へ下がっていきます。
まとめ覚えることと間違いやすい点
覚えることの表(学派・図の動き・率の分母)
学派ごとの考え方(失業と賃金)
| 古典派 | ケインズ派 | |
|---|---|---|
| 賃金 | 自由に上下する | 名目賃金が下がりにくい(下方硬直性) |
| 非自発的失業 | 生じない(生じてもすぐ消える) | 生じる。市場の働きでは消えない |
| 完全雇用 | いつも成り立つ | 総需要が足りないと成り立たない |
| 完全雇用での失業 | 摩擦的・構造的・自発的な失業は残る | 摩擦的・構造的・自発的な失業は残る |
フリードマン(マネタリスト)の自然失業率仮説では、総需要を増やす政策で失業率が自然失業率を下回るのは、人々が物価の上がり方を低く予想している短期だけで、予想を直す長期には自然失業率に戻ります。自然失業率を下げるのは、ミスマッチや職探しの手間を減らす政策です。
UV曲線の動き(縦と横の目盛りの間隔が同じ図)
| 図の動き | 何が起きたか | 合う対策 |
|---|---|---|
| 曲線の上を右下へ | 景気の悪化(求人が減る) | 総需要を増やす |
| 曲線の上を左上へ | 景気の回復(求人が増える) | — |
| 曲線が原点から遠ざかる | ミスマッチが大きくなる | 職業訓練・職業紹介 |
| 曲線が原点に近づく | ミスマッチが小さくなる | — |
率の分母(定常状態の失業率 )
| 率 | 分子 | 分母 |
|---|---|---|
| 失業率 | 失業者 | 労働力人口(就業者+失業者) |
| 離職率 | 就業者から失業者になる人数 | 就業者 |
| 就職率 | 失業者から就業者になる人数 | 失業者 |
よくある間違い
| 誤りの文 | 正しくはこう |
|---|---|
| 完全雇用では失業率が0%になる | 完全雇用は非自発的失業が無い状態。摩擦的・構造的・自発的な失業は残る |
| 働く意思が無いために生じる失業を摩擦的失業という | それは自発的失業。摩擦的失業は職探しの途中の失業 |
| 働く意思があるのに職を得られない失業を自発的失業という | それは非自発的失業 |
| 古典派は名目賃金の下方硬直性で非自発的失業を説明した | 下方硬直性で説明したのはケインズ派。古典派は非自発的失業は生じないと考える |
| 自然失業率には需要不足の失業も入る | 自然失業率は完全雇用での失業率で、需要不足の失業は入らない |
| 自然失業率は物価上昇率で決まる・どの国でも同じ | 労働市場の仕組み(職探しのしやすさ・産業構造・失業給付など)で決まり、仕組みが違えば違う |
| 金融緩和を続ければ、自然失業率を下げられる | 自然失業率仮説では、総需要を増やす政策で下げられるのは短期の失業率だけ |
| UV曲線の需要不足の失業は、失業率と欠員率の差 | 点の失業率 − 45度線との交点の失業率 |
| 景気が回復すると UV曲線が原点に近づく | 景気は曲線の上の動き。曲線の移動はミスマッチの変化 |
| 曲線が2本あるとき、近くの曲線の交点で分ける | 点が乗っている曲線の交点で分ける |
| 定常状態の失業率は | 。 は失業者 ÷ 就業者 |
| 離職率を労働力人口(15歳以上人口)で割って出す | 離職率の分母は就業者、就職率の分母は失業者 |
| 表の今の失業率が定常状態の失業率 | 入る人数と出る人数が等しくないうちは、定常状態へ動いている途中 |
次にやること
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