マクロ経済学で使う計算とは
30秒でわかるマクロの計算
マクロ経済学の計算問題で使う計算の仕方は、ほぼ次の5つです。どの論点でも同じ形で出てきます。言葉の意味は、それぞれのタブで説明します。
乗数の分母
連立方程式
変化率の足し算
等比数列の和
割引現在価値
各論点のページは、この計算を使う所で一言だけ説明しています。くわしい使い方と練習は、このページのタブで確かめてください。
この計算が出てくる論点
| 計算 | 出てくる論点(解説ページ) |
|---|---|
| 乗数の分母 | 均衡国民所得とギャップ・乗数・IS・LM曲線・財政・金融政策の効果・総需要・総供給 |
| 連立方程式 | IS・LM曲線・財政・金融政策の効果・総需要・総供給・マンデル=フレミング・モデル・産業連関表・フィリップス曲線と期待・均衡国民所得とギャップ・乗数(8論点) |
| 変化率の足し算 | GDP統計・貨幣需要・為替レート・フィリップス曲線と期待・経済成長理論、名目利子率の所だけ総需要・総供給・財政・金融政策の効果(7論点) |
| 等比数列の和 | 乗数・貨幣供給と金融・投資理論 |
| 割引現在価値 | 投資理論・貨幣需要(債券の価格) |
総供給曲線の導き方や経済成長理論の黄金律(1人当たり消費が最も大きくなる資本の水準)を求めるときの微分は、ミクロで使う計算と同じです。
計算の一覧
乗数乗数の分母の組み立て
乗数の分母の組み立て(漏れを足していく)
政府支出が増えると、国民所得はその額より大きく増えます。増えた所得の一部がまた消費に回り、それがだれかの所得になるからです。所得が最初の増加の何倍になるか(乗数)は、モデルごとに公式を覚えなくても、所得が1増えたときに国内の財への需要に回らない分(漏れ)を足していけば出せます。
記号: は限界消費性向(手取りの所得が1増えたとき、消費が増える額)、 は比例税 の税率( は税の定額部分、 は国民所得)、 は限界輸入性向(所得が1増えたとき、輸入が増える額)です。
| 漏れ | 大きさ | 分母に入るとき |
|---|---|---|
| 貯蓄 | いつも | |
| 税 | 比例税のとき | |
| 輸入 | 海外と取引する経済(開放経済)のとき | |
| 利子率の上昇で減る投資 | IS-LM 分析のとき |
利子率の上昇で減る投資が漏れになる理由:所得が1増えると貨幣需要が 増え、利子率が 上がり、投資が 減ります( は利子率が1上がったときの投資の減り方、・ は貨幣需要の所得と利子率への反応の大きさ)。連立のタブの例では で、分母は 、所得の増加は と、連立で解いた答えと一致します。
- 税の漏れが でなく なのは、所得が1増えると税が 増えて手取りが 減り、そのうち消費に回るはずだった の割合()だけが需要から消えるからです。
- 最後の行の は投資の式の利子率の係数、・ は貨幣需要の式の所得・利子率の係数です。意味は財政・金融政策の効果で説明しています。
分子の「最初に増える需要」は、何が変わったかで決まります。
- 政府支出・投資・輸出の増加:その額がそのまま需要になります。
- 減税:減った税はまず手取りを増やし、そのうち の割合だけが消費(需要)になるので、 減税額です。増税なら 増税額です。
均衡国民所得(総需要と総供給が等しくなる所得)の水準も、同じ分母で出せます。総需要の式を の形にまとめると、傾きは「所得が1増えたとき総需要が増える額」で、 が漏れの合計です。 を左に集めて を割れば、 です。所得の増加がなぜ最初の増加の「1 ÷ 漏れ」倍になるのか(波及を足し合わせた値になる理由)は、等比数列の和のタブで説明しています。
解き方の手順
- 1
所得が1増えたときの需要の増え方を出す
比例税なら手取りが 増え、消費は 増えます。開放経済なら、そこから輸入の を引きます。これが総需要の線の傾きです。 - 2
1から引いて分母にする
が漏れの合計で、表の漏れを足した と同じ値になります。 - 3
分子を決める
政府支出ならその額、減税なら 減税額です。 - 4
割って、聞かれたものに直す
所得の増加 = 分子 ÷ 分母。税収や輸入の変化は、出した所得の増加に や を掛けます。
例で確かめる比例税と輸入のある経済で、政府支出を20増やす
消費 、租税 、投資30、政府支出40、輸出22、輸入 の開放経済です(輸入は所得が1増えると0.06増える)。
所得が1増えると、税が0.2増えて手取りは0.8増え、消費は 増えます。輸入が0.06増えるので、国内の財への需要は 増えます。分母は で、漏れを足した と同じです。
今の所得:切片は、消費の20から、税の定額部分10で減る消費 を引き、投資30・政府支出40・輸出22を足し、輸入の定額5を引いて、 なので、 です。
政府支出を20増やすと、所得は 増えて240になります。税収は 、輸入は 増えます。政府支出でなく税の定額部分を10減らすなら、分子は で、所得は 増えます。
よくある間違い(乗数)
| 誤りのしかた | 正しくはこう |
|---|---|
| 比例税の漏れを として分母に足す | 税の漏れは (税で減った手取りのうち、消費に回るはずだった分) |
| 減税額をそのまま分子にする | 分子は 減税額 |
| 開放経済で輸入の を分母から落とす | 輸入に回る分も漏れなので を足す |
乗数の例題
自分で解いてみるマクロの計算の例題1(乗数の分母)
選択肢を押すと、正解と解説が出ます。
正解は 2
漏れの合計は、貯蓄 、税 、輸入 を足して です。最初に増える需要は なので、所得の増加は で、正解は2です。
| 選択肢 | どこから出る値か |
|---|---|
| 1:25 | 減税額13をそのまま分子にした() |
| 3:52 | 税と輸入の漏れを落とし、分母を だけにした() |
| 4:32.5 | 輸入の漏れ0.2を落とした() |
| 5:26 | 税の漏れ0.12を落とした() |
連立連立方程式
連立方程式(IS と LM を解く・利子率を消す)
2本の式を同時に満たす値は、片方の式で1つの文字を表し、もう1本の式に入れて(代入して)その文字を消すと出ます。需要と供給の交点のような基本はミクロで使う計算と同じです。マクロでは式の数も文字(所得 ・利子率 ・物価 など)も多いので、何を消して何を残すかを先に決めます。
このタブでは、次の経済を使います。消費 、投資 ( は利子率〔%〕)、政府支出 、物価 、貨幣供給 、貨幣需要 です。
- IS 曲線(財市場が均衡する所得と利子率の組): に入れると 、 を左に集めて 、 について解くと です。
- LM 曲線(貨幣市場が均衡する所得と利子率の組): より 、 について解くと です。
- 連立:IS と LM の交点 E0わかること20−0.04Y=0.04Y−12 より所得400・利子率4
- IS が右へ:政府支出を10増やすわかること利子率が4のままなら所得は 10÷0.2=50 増えて点F
- 新しい交点:E1わかること変化分の式を連立すると所得は25増えて425、利子率は1上がって5。Fとの差25が押しのけ
図の見方
- 交点 E0 では、2本の式の利子率が等しくなります。 より 、、利子率は です。
- 政府支出を10増やすと IS が右へ動きます。利子率が4のままなら、所得は乗数の分 増えて450(点F)です。
- 実際は所得が増えると貨幣が多く要り、利子率が上がって投資が減るので、新しい交点 E1 の所得は425で、Fの450との差25をクラウディング・アウト(押しのけ)と呼びます。
3つの使い方
- 形をそろえて等しくおく:上の交点のように、2本とも「」の形にして右辺どうしを等しくおきます。
- 文字の項ごと入れる:物価 を文字のまま残すと、総需要曲線(物価と、財市場・貨幣市場がともに均衡する所得の組)が出ます。IS の を3倍して とし、LM の の にそのまま入れると、、つまり です。 について解かず、係数をそろえて項ごと入れると分数が出ません。
- 変化分で解く:政策で何がいくら変わるかだけを聞かれたら、式の両辺で前と後の差を取ります。数だけの項は前と後で同じなので消え、変化分( の付いた量)だけの式になります。
式が3本以上あるときは、1本で決まる文字から順に解きます。たとえばマンデル=フレミング・モデルの一部の型では、利子率が外国と同じ値に決まるので、利子率 → LM で所得 → IS で為替レートの順に解きます。
解き方の手順
- 1
消す文字を決める
聞かれていない文字を消します。IS と LM から所得を聞かれたら、利子率 を消します。 - 2
片方の式をその文字について解く
に直すか、 のように係数ごと残します。 - 3
もう1本に入れて解く
残った文字について解きます。名目の貨幣供給が与えられたら、物価で割った を LM の左辺に置きます。 - 4
もう1本で確かめる
出た値を、使わなかった方の式に入れて同じ値になれば、計算は合っています。
例で確かめる政府支出を10増やしたときの所得の増加(変化分で解く)
IS の と、LM の の前と後の差を取ります。
IS: LM:
LM から です。IS に と一緒に入れると 、 で 、利子率は 上がります。
確かめ:政府支出30の IS は で、LM と等しくおくと 、、 です。400から25増え、4から1上がっていて合います。押しのけの25は、利子率が1上がって減った投資 に、乗数 を掛けた値です。
よくある間違い(連立)
| 誤りのしかた | 正しくはこう |
|---|---|
| 変化分の式に、数だけの項を残す | 前と後の差を取ると、数だけの項は消える |
| 利子率が一定のときの増加(例の50)を答える | LM が右上がりなら利子率が上がり、増加は小さい(例の25) |
| 名目の貨幣供給 を、物価で割らずに LM に入れる | LM の左辺は実質の |
連立方程式の例題
自分で解いてみるマクロの計算の例題2(連立方程式)
選択肢を押すと、正解と解説が出ます。
正解は 3
IS は より 、つまり です。LM の にこれを入れると で、両辺に160を足して0.5で割ると です。正解は3です(物価2なら所得620)。
| 選択肢 | どこから出る値か |
|---|---|
| 1 | 最後に0.5で割り忘れた( のまま) |
| 2 | 名目の300を物価で割らずに LM に入れた(物価が入らない縦の線になる) |
| 4 | LM の を落とし、 とした |
| 5 | 160を右辺から左辺へ移すときに符号を誤った |
変化率変化率の足し算
変化率の足し算(実質=名目−物価・成長会計)
変化率は「(後の値 − 前の値)÷ 前の値」で、何%増えたかです。マクロの式は「実質GDP = 名目GDP ÷ 物価」のような掛け算・割り算が多く、そのまま計算すると手間がかかります。変化率が小さいときは、掛け算の変化率は足し算、割り算の変化率は引き算で近似できます。
下の図は、価格が100から110へ10%、数量が100から120へ20%増えたときの売上(価格 × 数量)の長方形です。
- 元の売上:価格100×数量100の長方形
- 数量20%増:右に足される帯わかること元の売上の20%ぶん
- 価格10%増:上に足される帯わかること元の売上の10%ぶん
- 隅の角:右上の小さな長方形わかること20%×10%=2%。足し算の30%は、この角を落とした近似(実際は32%)。変化率が小さいほど角は小さい
図の見方
- 売上の増え方は、右の帯(数量の増加の分)、上の帯(価格の増加の分)、右上の小さな角の3つです。
- 2つの帯は元の売上の20%と10%で、足すと30%です。角は で、実際の増え方は32%です。
- 角は2つの変化率の積なので、変化率が小さいほど無視できます。2%と3%なら角は0.06%で、足し算の5%と実際の5.06%はほぼ同じです。
べき乗は同じ数の掛け算なので、 の変化率は の変化率の2倍です。指数が0.4のような小数でも、同じく0.4倍になります(理由は微分を使うので省きますが、試験ではこの決まりだけ使えば足ります)。この3つの決まりを、論点ごとの式に当てはめます(表の GDPデフレーター は物価の指数、 の は貨幣量、 は貨幣が1年に何回支払いに使われるか〔流通速度〕、 は物価、 は実質所得)。
| 元の式 | 変化率の式(近似) | 出てくる論点 |
|---|---|---|
| 実質GDP = 名目GDP ÷ GDPデフレーター | 実質成長率 ≒ 名目成長率 − 物価上昇率 | GDP統計 |
| 貨幣の伸び+流通速度の伸び ≒ 物価の伸び+実質所得の伸び | 貨幣需要 | |
| 為替レート(1ドル何円)= 日本の物価 ÷ 米国の物価(購買力平価:同じ物が両国で同じ値段になるという考え方) | 為替レートの変化率 ≒ 日本のインフレ率 − 米国のインフレ率 | 為替レート |
| 実質賃金 = 名目賃金 ÷ 物価 | 実質賃金の伸び ≒ 名目賃金上昇率 − 物価上昇率 | フィリップス曲線と期待 |
| 経済成長理論 |
最後の行の は成長率( は所得、 は全要素生産性=資本と労働の量では説明できない生産の伸び、 は資本、 は労働)です。利子率も同じで、名目利子率(ふつうに目にする利子率)≒ 実質利子率(物価の上昇を差し引いた利子率)+ 予想インフレ率です(総需要・総供給)。
解き方の手順
- 1
元の式を掛け算・割り算で書く
「1人当たり実質GDP = 名目GDP ÷ 物価 ÷ 人口」のように、何を掛けて何で割るかを書きます。 - 2
変化率の式に直す
掛けている量の変化率は足し、割っている量の変化率は引き、べき乗は指数を掛けます。 - 3
分からない1つについて解く
減った量はマイナスの変化率で入れます。引くときは のように符号が変わります。 - 4
%とポイントを分ける
指数が150から156になったら、上がったのは6ポイントで、変化率は です。
例で確かめる3つの式を変化率で解く
- 名目GDPが4%増え、GDPデフレーター(物価の指数)が1.5%上がった:実質成長率は です(正確に出すと で約2.46%)。
- 名目利子率が2%、予想インフレ率が3%:実質利子率は です。
- 生産関数が で、経済成長率が2.6%、資本の伸びが4%、労働の伸びが−1%:全要素生産性の伸びは です。
よくある間違い(変化率)
| 誤りのしかた | 正しくはこう |
|---|---|
| 割り算の式で、分母の変化率も足す | 分母(割っている量)の変化率は引く |
| マイナスの変化率を引くとき、符号を変えない | で足すことになる |
| 指数のポイントの差を、そのまま変化率とする | 前の値で割って%に直す |
変化率の例題
自分で解いてみるマクロの計算の例題3(変化率の足し算)
選択肢を押すと、正解と解説が出ます。
正解は 3
1人当たり実質GDP = 名目GDP ÷ GDPデフレーター ÷ 人口 です。割っている2つの変化率を引くので、 で、正解は3です。人口が減ると、同じGDPを少ない人数で分けるので、1人当たりは伸びます。
| 選択肢 | どこから出る値か |
|---|---|
| 1:2.0% | 人口の −0.5% の符号を変えずに、0.5を引いた |
| 2:2.5% | 人口を使わず、実質成長率で止めた |
| 4:4.0% | デフレーターを使わずに、人口の分だけ直した(3.5+0.5) |
| 5:5.0% | デフレーターの1.0を引かずに足した(3.5+1.0+0.5) |
等比数列等比数列の和
等比数列の和(乗数の波及・信用創造・永久に続く収益)
政府支出が50増え、限界消費性向が0.6なら、所得は 50、その0.6倍の30、そのまた0.6倍の18、…と増えていきます。このように同じ倍率で続く数の並びを等比数列、最初の数(ここでは50)を初項、倍率(ここでは0.6)を公比と呼びます。波及は限りなく続きますが、足す数がどんどん小さくなるので、合計は決まった値に近づきます。
- 1回目:政府支出50がそのまま、だれかの所得になるわかること合計50
- 2回目:50の0.6倍の30が消費に回り、次の人の所得にわかること合計80
- 3回目:30の0.6倍の18わかること合計98。足す分は毎回0.6倍に小さくなる
- その先:4回目から8回目わかること足す分が小さくなり、合計の増え方は鈍っていく
- 上限:限りなく足すわかること合計は 50÷(1−0.6)=125 に近づく
図の見方
- 棒は、何回目までの所得の増加を足したかの合計です。1〜3回目の棒の色の濃い所が、その回に足した分です(4回目からは合計だけを示します)。
- 足す分は50、30、18と0.6倍ずつ小さくなり、合計は50、80、98と増え方が鈍っていきます。
- 限りなく足すと、合計は破線の125に近づきます。
なぜそうなるか初項 ÷(1 − 公比)になる理由
合計を とします。 の2つ目から先()は、全体()をそっくり0.6倍した並びです。だから が成り立ちます。 を左へ移すと 、 です。0.4は なので、合計は「初項 ÷(1 − 公比)」です。
マクロでは、次の3つが同じ形の計算です。公比は「1回ごとに、次へ回る割合」です。表の準備率は、銀行が預金のうち貸し出さずに残しておく割合です。
| 何の波及か | 初項 | 公比 | 合計 |
|---|---|---|---|
| 政府支出の乗数 | 政府支出の増加 | 限界消費性向 | |
| 信用創造(預金が貸し出されて、また預金になる) | 最初の預金 | 準備率 | |
| 毎年 が永久に続く収益の割引現在価値 |
割引現在価値の意味は、割引現在価値のタブで説明しています。
解き方の手順
- 1
1回目に増える額(初項)を決める
政府支出ならその額、減税なら 減税額、信用創造なら最初の預金です。 - 2
次へ回る割合(公比)を決める
乗数なら消費に回る 、信用創造なら貸し出される 準備率 です。回らずに抜ける割合(貯蓄の 、準備率)を公比にしないようにします。 - 3
初項 ÷(1 − 公比)
公比 は、1回ごとに抜ける割合です。 - 4
聞かれたものに直す
「2回目以降の合計」や、貸出から生まれた預金(派生的預金)を聞かれたら、合計から初項を引きます。
例で確かめる3つの波及の公比を見つける
- 政府支出50・限界消費性向0.6(上の図):初項50、公比0.6で、 です。
- 最初の預金40億円・準備率20%(預金はすべて貸し出され、また預金される):銀行は預金の80%を貸し出すので公比は0.8で、預金の合計は 億円です。派生的預金は 億円です。
- 毎年8万円が永久に続き、利子率が4%:1年後の8万円の今の値打ちは 、2年後は で、公比は です。 なので、合計は 万円です。
よくある間違い(等比数列)
| 誤りのしかた | 正しくはこう |
|---|---|
| 公比を、抜ける割合( や準備率)にする | 公比は次へ回る割合( や 準備率) |
| 1回目・2回目まで足して止める | 波及は限りなく続く。合計は初項 ÷(1 − 公比) |
| 合計と「2回目以降の合計」を取り違える | 2回目以降なら、合計から初項を引く |
等比数列の例題
自分で解いてみるマクロの計算の例題4(等比数列の和)
選択肢を押すと、正解と解説が出ます。
正解は 5
初項30、公比0.75なので、合計は です。2回目以降は、ここから最初の30を引いて90で、正解は5です。2回目以降だけを等比数列とみて、初項 を で割っても90です。
| 選択肢 | どこから出る値か |
|---|---|
| 1:40 | 公比0.75で割った() |
| 2:22.5 | 2回目の所得の増加だけで止めた |
| 3:120 | 最初の30も含めた合計 |
| 4:52.5 | 1回目と2回目だけを足した() |
現在価値割引現在価値
割引現在価値(1年ずつ割る・永久なら利子率で割る)
利子率が4%なら、今の100万円は1年後に104万円になります。逆に、1年後に受け取る104万円は、今の100万円と同じ値打ちです。このように、将来に受け取る額を今の値打ちに直したものを割引現在価値と呼びます。1年後の額は(1+利子率)で1回割り、2年後の額は1年分ずつ2回割ります(2年の間に利子が2回付くため)。
永久に続くときに利子率で割るだけになる理由は、等比数列の和のタブの表の3行目です。
債券(毎年決まった利子を払う証書)の価格も、この式で決まります。毎年12万円の利子が永久に払われる債券は、利子率が2%なら 万円、3%なら 万円です。利子率が上がると債券の価格は下がる、という逆向きの動きは、この割り算から出ます(貨幣需要の投機的動機)。
解き方の手順
- 1
受け取る時点ごとに分ける
1年後の額、2年後の額、…と、時点ごとに並べます。 - 2
年数の回数だけ割る
利子率4%なら、1年後の額は1.04で1回、2年後の額は1.04で2回( で1回)割ります。 - 3
足して合計する
時点ごとの今の値打ちを足します。 - 4
今払う費用と比べる
期首(今)に払う費用は、すでに今のお金なので割りません。収益の割引現在価値の合計が費用より大きければ、その投資をします。
例で確かめる利子率4%で、2年間の収益を今の値打ちに直す
期首に780万円払うと、1年後に312万円、2年後に540.8万円の収益がある投資です。利子率は4%とします。
1年後の312万円は 万円です。2年後の540.8万円は、1回割って 、もう1回割って 万円です。合計は 万円で、費用780万円より20万円大きいので、この投資は実行します。
2年後の額を1回しか割らないと 万円になり、今の値打ちを大きく見積もりすぎます。
よくある間違い(割引現在価値)
| 誤りのしかた | 正しくはこう |
|---|---|
| 2年後の額も(1+利子率)で1回だけ割る | 受け取るまでの年数の回数だけ割る |
| 期首に払う費用も(1+利子率)で割る | 今払うお金は割らない |
| 永久に続く額を(1+利子率)で割る | 永久に続くなら、毎年の額 ÷ 利子率 |
割引現在価値の例題
自分で解いてみるマクロの計算の例題5(割引現在価値)
選択肢を押すと、正解と解説が出ます。
正解は 4
1年後の66万円は 万円、2年後の605万円は 、 万円です。合計は 万円で、正解は4です。
| 選択肢 | どこから出る値か |
|---|---|
| 1:610万円 | 2年後の額も1回だけ割った() |
| 2:671万円 | 割らずに足した |
| 3:566万円 | 1年後の66万円を割り忘れた |
| 5:665万円 | 2年後の605万円を割り忘れた |
まとめ覚えることと間違いやすい点
覚えることの表
| 計算 | 式・手順 | 使う場面 |
|---|---|---|
| 乗数の分母 | 所得の増加 = 最初に増える需要 ÷ 漏れの合計。漏れは | 政府支出・減税の効果、均衡国民所得、IS 曲線が右へ動く幅(利子率が変わらないときの所得の増加) |
| 連立方程式 | 消す文字について解き、もう1本に入れる。変化だけなら変化分の式 | IS と LM の交点、総需要曲線、政策の効果 |
| 変化率の足し算 | 掛け算は足す、割り算は引く、べき乗は指数を掛ける | 実質成長率、、為替レートの変化、成長会計 |
| 等比数列の和 | 初項 ÷(1 − 公比)。公比は次へ回る割合 | 乗数の波及、信用創造、永久に続く収益 |
| 割引現在価値 | n年後の額は(1+利子率)で n 回割る。永久なら 毎年の額 ÷ 利子率 | 投資の判定、債券の価格 |
よくある間違い
| 誤りのしかた | 正しくはこう |
|---|---|
| 比例税の漏れを とする | 税の漏れは |
| 減税額をそのまま分子にする | 分子は 減税額 |
| 利子率が一定のときの所得の増加を、IS-LM の答えにする | LM が右上がりなら利子率が上がり、増加は小さい |
| 名目の貨幣供給を、物価で割らずに LM に入れる | LM の左辺は |
| 割り算の式で、分母の変化率も足す | 分母の変化率は引く |
| 指数のポイントの差を変化率とする | 前の値で割って%に直す |
| 等比数列の公比を、抜ける割合にする | 公比は次へ回る割合 |
| 2年後の額を(1+利子率)で1回だけ割る | 年数の回数だけ割る |
次にやること
計算に慣れたら、使う論点の解説ページで、問題の中での使い方を確かめてください。乗数の分母は乗数、連立方程式は財政・金融政策の効果、変化率の足し算はGDP統計、等比数列の和と割引現在価値は投資理論から読むのがおすすめです。ほかの論点はマクロ経済学の解説一覧にあります。











