貨幣乗数とは・マネタリーベースとマネーストックの違い
30秒でわかる貨幣供給
世の中に出回るお金(マネーストック)は、日本銀行が直接出すお金(マネタリーベース)の何倍にもなります。銀行が預金を貸し出し、貸したお金がまた別の銀行に預けられるからです。この倍率を貨幣乗数と呼びます。
貨幣乗数
マネーストックの増え方
| マネタリーベース(H) | マネーストック(M) | |
|---|---|---|
| ひとことで | 日本銀行が直接出すお金 | 世の中に出回っているお金 |
| 中身 | 現金+銀行の準備(日本銀行の当座預金) | 現金+預金 |
| だれが持つか | 現金は世の中に出回っている分すべて(家計・企業のほか銀行の手元の分も)、当座預金は銀行など | 家計・企業・地方公共団体など(金融機関と国〔中央政府〕は除く) |
| 別の呼び名 | ハイパワード・マネー | 昔はマネーサプライ |
このページの記号は次のとおりです。現金 C、預金 D、準備 R(銀行が日本銀行に預けておくお金)とすると、マネーストックは 、マネタリーベースは です。現金預金比率(c)は現金が預金の何倍か()、準備率(r)は準備が預金の何割か()です。ほかのページの c(限界消費性向)・r(利子率)とは別物です。泉の問題では、現金預金比率を α、準備率を β と書くことが多いので、「現金÷預金」か「準備÷預金」かで見分けます。
例えば c=0.3、r=0.1 なら、貨幣乗数は で、マネタリーベースが1兆円増えるとマネーストックは3.25兆円増えます。
試験での出方
| 地方上級 | ★★ | 特別区Ⅰ類 | ★★ |
|---|---|---|---|
| 市役所 | ★★★ | 国家総合職 | ★★ |
| 国家一般職 | ★★ | 国家専門職 | ★ |
計算は貨幣乗数で増加額を出すものが中心で、そこに乗数の性質を問う文の正誤と、統計・金融政策の手段を問う知識の問題が加わります。
よく出るタイプ
基本の図信用創造の表
信用創造とは(銀行から銀行へ預金が増えていくしくみ)
銀行は、預金を引き出しに来る人に備えて、預かったお金の一部を準備として日本銀行の当座預金に残し(残す最低の割合は法律で決まっています)、残りを貸し出します。借りた人がそのお金で支払いをすると、受け取った人はそれを別の銀行に預けます。こうして預金が次々に生まれることを信用創造と呼びます。
ここでは、準備率を20%とし、ある銀行に最初の預金125億円が入ったとします。借りたお金はすべてどこかの銀行に預けられ、手元に現金で残す人はいない(現金の漏れが無い)とします。ボタンを押すと、銀行ごとに1行ずつ埋まります。
信用創造の流れ(単位:億円、準備率20%)
| 億円 | 預金 | 準備(20%) | 貸出(80%) |
|---|---|---|---|
| 銀行A | |||
| 銀行B | |||
| 銀行C | |||
| 銀行D | |||
| その先 | |||
| 合計 |
- 銀行A:最初の預金125億円が入るわかること20%の25億円を準備に残し、残りの100億円を貸し出す
- 銀行B:借りた100億円が支払いに使われ、受け取った人が銀行Bに預けるわかること準備に20億円、貸出に80億円
- 銀行C:同じことが起きるわかること預金80億円のうち16億円を準備に残し、64億円を貸し出す
- 銀行D:さらに続くわかること預金64億円、準備12.8億円、貸出51.2億円。どの列も1行ごとに0.8倍になる
- その先:0.8倍ずつの流れが限りなく続くわかること銀行Eの預金は64×0.8=51.2億円。そこから先を全部足すと51.2÷0.2=256億円(足し方は表の下で説明します)。準備はその20%の51.2億円、貸出は80%の204.8億円
- 合計:縦に足すわかること預金は625億円で、最初の預金125億円の5倍。準備の合計は最初の預金と同じ125億円
表の見方
- 預金の列は 125、100、80、64 … と、毎回0.8倍(貸し出す割合)になります。このように同じ倍率で続く数の並びを等比数列と呼び、倍率が1より小さければ、限りなく足しても合計は「最初の数 ÷(1 − 倍率)」に近づきます(和の出し方はマクロで使う計算)。ここでは 億円で、預金の合計は最初の預金 ÷ 準備率です。
- 準備の合計125億円は、最初の預金と同じです。最初に入った125億円が、最後には全部どこかの銀行の準備になったところで、流れが止まります。
- 最初の預金を本源的預金、貸出から生まれた預金(625 − 125 = 500億円)を派生的預金と呼びます。派生的預金は貸出の合計と同じです。
現金の漏れが無いときは世の中の現金が0なので、マネーストックは預金の合計625億円だけ、マネタリーベースは準備の合計(=最初の預金)125億円だけです。つまりこの表の5倍は、マネーストックがマネタリーベースの5倍という意味でもあります。
実際には、借りたお金の一部を現金のまま持つ人がいます(現金の漏れ)。現金で持たれた分は銀行に戻らないので、次の貸出の元になりません。その分だけ流れが早く止まり、マネーストックはマネタリーベースの5倍まで増えません。これを式にしたのが、タイプ1の貨幣乗数 です。c=0(漏れが無い)なら になり、この表の5倍と同じです。
タイプ1貨幣乗数とマネーストックの増分
貨幣乗数の公式とマネーストックの増加額の求め方
見分け方:問題文に「現金預金比率」「預金準備率」の2つの数があり、「マネタリーベースが10兆円増加した」「準備率を引き下げた」と書かれています。聞かれるのはマネーストック(または預金・現金・準備)の増加額か、乗数の性質を述べた文の正誤です。
使える条件:現金預金比率 c と準備率 r が変わらないとき(Δ は「増えた分」の印です)。導き方は、 と の分子と分母を預金 D で割るだけです。、、 になります。分子の「c+1」は現金と預金(マネーストック)、分母の「c+r」は現金と準備(マネタリーベース)を、預金1円あたりで数えたものです。また、 なので、預金は です。増えた分でも同じで、 になります。
なぜそうなるか比率が増えると乗数が小さくなる理由
- 現金預金比率 c が上がる → 貸したお金のうち、銀行に戻らず手元に残る分が増える → 次の貸出の元が減る → 預金の連鎖が早く止まる → 乗数が小さくなる
- 準備率 r が上がる → 銀行が預金のうち貸し出せる分が減る → 次の銀行に渡るお金が減る → 預金の連鎖が早く止まる → 乗数が小さくなる
| 比率 | 値 | 貨幣乗数 |
|---|---|---|
| r=0.1 で c を変える | c=0(漏れが無い) | 10 |
| c=0.1 | 5.5 | |
| c=0.2 | 4 | |
| c=0.3 | 3.25 | |
| c=0.2 で r を変える | r=0.1 | 4 |
| r=0.2 | 3 | |
| r=0.4 | 2 |
c は分子にも入りますが、分子は1に c を足したもの、分母は小さい r に c を足したものです。r=0.1 で c を0から0.1に上げると、分子は1→1.1(1.1倍)、分母は0.1→0.2(2倍)になり、分母のほうが大きな倍率で増えます。だから c が上がると乗数は下がります(r が1より小さいとき、いつもこうなります)。
解き方の手順
- 1
2つの比率を読む
c は「現金÷預金」、r は「準備÷預金」です。「現金がマネーストックの何割か」のように、預金以外で割った比率で書かれていたら、預金で割った形に直します。例えば現金がマネーストックの6分の1なら、現金1に対して預金は5なので、c=1÷5=0.2 です。 - 2
乗数を作る
。分子に r を入れたり、分母の c を落としたりしないように、「現金+預金」「現金+準備」と唱えて作ります。 - 3
増加額なら掛ける
。内訳を聞かれたら、先に預金の増加 を出し、現金の増加 、準備の増加 を続けて出します。 - 4
比率が変わるなら作り直す
準備率や現金預金比率が変わるときは、変わる前と後で乗数を作り、それぞれマネタリーベースに掛けて差を取ります。現金預金比率が下がり準備率が上がるときのように、乗数を上げる動きと下げる動きが同時に起きるときは、片方だけで答えの向きを決めず、必ず前と後の乗数を計算して比べます。
乗数の性質を問う文の正誤は、次の4つで判定できます(c は0より大きく、r は0と1の間)。
| 性質 | 理由 |
|---|---|
| 乗数は1より大きい | 分子 c+1 と分母 c+r を比べると、r<1 だから分子が大きい |
| c が上がっても r が上がっても乗数は下がる | 上の「なぜそうなるか」のとおり |
| 現金の漏れがあると、乗数は 1/r より小さい | c=0 の 1/r が乗数のいちばん大きい値 |
| 比率が一定なら M は H に比例する | H が10%増えれば M も10%増える(乗数倍になるのは増加の額) |
例で確かめるマネタリーベースが12兆円増えたときの内訳
現金預金比率 c=0.3、準備率 r=0.1 で、どちらも変わらない経済です。日本銀行が銀行から国債を買い入れ(買いオペレーション。くわしくはタイプ3)、マネタリーベースが12兆円増えたとします。マネーストックの増加と、その内訳を求めます。
| 手順 | 計算 | 答え |
|---|---|---|
| 乗数を作る | 3.25 | |
| マネーストックの増加 | 39兆円 | |
| 預金の増加 | 30兆円 | |
| 現金の増加 | 9兆円 | |
| 準備の増加 | 3兆円 |
確かめ:現金9兆円+準備3兆円=12兆円(マネタリーベースの増加)、預金30兆円+現金9兆円=39兆円(マネーストックの増加)です。
貨幣乗数の例題(準備率が変わるとき)
法律にもとづいて決められた、預金のうち準備に回す最低の割合を法定準備率と呼びます。
自分で解いてみる貨幣乗数の例題(準備率の引下げとマネーストック)
選択肢を押すと、正解と解説が出ます。
正解は 2
「民間の非金融部門」は銀行などの金融機関以外の家計・企業のことで、マネーストックを持つ側です。
変わる前の乗数は で、マネーストックは 兆円です。変わった後の乗数は で、 兆円です。差は 兆円の増加で、正解は2です。
| 準備率0.1のとき | 準備率0.04のとき | |
|---|---|---|
| 預金 | 300兆円 | 375兆円 |
| 現金 | 60兆円 | 75兆円 |
| マネーストック | 360兆円 | 450兆円 |
75兆円は預金の増加(300兆円から375兆円)だけを答え、現金の増加15兆円を足し忘れた値です。90兆円減少は、準備率の引下げで乗数が小さくなると向きを取り違えた答えです。450兆円は変わった後の水準を変化の分とした値、1,350兆円は現金の漏れを無視して乗数を とした値()です。
タイプ2単純な信用創造
信用創造の計算(預金の総額と派生的預金の求め方)
見分け方:問題文に「本源的預金」「受け入れた預金の20%を準備とし、残りをすべて貸し出す」「貸し出された資金はすべて再び預金される」と書かれています。現金預金比率は出てきません。聞かれるのは預金の総額か派生的預金、または準備率です。
なぜそうなるか預金の総額が「最初の預金 ÷ 準備率」になる理由
基本の図の表のとおり、預金は1行ごとに(1 − 準備率)倍になって続きます。等比数列の和なので、合計は「最初の預金 ÷[1 −(1 − 準備率)]」=「最初の預金 ÷ 準備率」です。準備率20%なら5倍、10%なら10倍です。この倍率 を信用創造乗数と呼ぶことがあります。ただし試験では、タイプ1の貨幣乗数 のほうを「信用乗数」「貨幣乗数」と呼ぶことが多いので、名前ではなく、問題に現金預金比率が出てくるか(現金の漏れがあるか)で、どちらの式かを決めます。
使える条件:現金の漏れが無く、銀行は準備率ちょうどの準備だけを残して残りを全部貸し出すとき。
解き方の手順
- 1
何を聞かれているか確かめる
本源的預金を含む「預金の総額」か、含まない「派生的預金」かを、問題文で先に確かめます。 - 2
準備率で割る
預金の総額 = 本源的預金 ÷ 準備率。割るのは準備率で、貸し出す割合(1 − 準備率)ではありません。 - 3
派生的預金なら引く
預金の総額から本源的預金を引きます。準備率を逆に求めるときは、本源的預金 ÷ 預金の総額 です。
例で確かめる預金の総額から準備率を求める
本源的預金30億円から、信用創造で預金の総額が240億円になりました。現金の漏れは無いとします。
預金の総額は本源的預金の 倍です。倍率は「1 ÷ 準備率」なので、準備率は 、つまり12.5%です。派生的預金は 億円です。
| 項目 | 値 |
|---|---|
| 本源的預金 | 30億円 |
| 預金の総額 | 240億円 |
| 信用創造乗数 | 8 |
| 準備率 | 12.5% |
| 派生的預金 | 210億円 |
信用創造の例題
自分で解いてみる信用創造の例題(派生的預金の求め方)
選択肢を押すと、正解と解説が出ます。
正解は 4
預金の総額は 兆円です。派生的預金はここから本源的預金を引いて 兆円で、正解は4です。
| 段 | 預金 |
|---|---|
| 1行目(本源的預金) | 36兆円 |
| 2行目 | 27兆円 |
| 3行目 | 20.25兆円 |
| 合計 | 144兆円 |
144兆円は本源的預金を引き忘れた預金の総額、27兆円は最初の1回の貸出で生まれた預金だけです。48兆円は貸し出す割合0.75で割った値()、12兆円は の分子と分母を取り違えた値()です。
タイプ3マネタリーベース・統計・金融政策
マネタリーベース・マネーストック統計(M1・M2・M3)と金融政策の手段
見分け方:日本銀行のバランスシート(資産と負債の表)が出てきてマネタリーベースを聞かれるか、「マネーストック統計」「公開市場操作」「基準貸付利率」「安全資産」などの語を含む文が並び、正しいものを選びます。
なぜそうなるか買いオペでお金が増える道筋
- 日本銀行が銀行から国債を買う(買いオペレーション)→ 代金が銀行の日本銀行当座預金に振り込まれる
- 当座預金(銀行の準備)が増える → マネタリーベースが増える
- 銀行は増えた準備をもとに貸出を増やす → 貸出が預金になり、マネーストックが増える(貨幣乗数の分)
- 準備が必要な額より多くなった銀行は、余った分をほかの銀行に貸そうとする → お金を貸したい側が増えるので、銀行どうしで短い期間お金を貸し借りする市場(コール市場)の金利が下がる
売りオペレーション(日本銀行が国債を売る)は、代金が当座預金から引き落とされるので、全部が逆向きです。
判定のしかた
- 1
ベースかストックか
マネタリーベースは日本銀行が出したお金(日本銀行券発行高+硬貨の流通高+日本銀行当座預金)、マネーストックは家計・企業などが持つお金(現金+預金)です。金融機関や国(中央政府)が持つお金はマネーストックに入りません。 - 2
バランスシートは負債の側
マネタリーベースは、日本銀行の負債の側の発行銀行券と当座預金を取り、表の外の硬貨(政府が発行する)を足します。資産の側の国債・貸出金や、負債の側の政府預金は足しません。 - 3
統計は2つの軸
M1・M2・M3 は「何を含むか」と「どの金融機関が出した預金か」の2つで見分けます(下の表)。 - 4
政策は向きで
お金を市中に出す(買いオペ・金利の引下げ・準備率の引下げ)が緩和、吸い上げる(売りオペ・金利の引上げ・準備率の引上げ)が引締めです。 - 5
呼び名は今のもの
「公定歩合」は2006年に「基準割引率および基準貸付利率」に呼び名が変わりました。今、日本銀行が世の中のお金の量や金利を動かす(金融調節)中心の手段は公開市場操作で、準備率操作は長く行われていません。
マネーストック統計(日本銀行)の4つの指標です。
| 指標 | 含むもの | どの金融機関の預金か |
|---|---|---|
| M1 | 現金通貨+預金通貨(普通預金など、すぐ引き出せる預金) | すべての預金取扱機関(ゆうちょ銀行・信用組合・農協なども) |
| M2 | 現金通貨+預金通貨+準通貨(定期預金など)+CD(譲渡性預金。他人に売れる定期預金) | 国内銀行等だけ(国内銀行・信用金庫など。ゆうちょ銀行・信用組合・農協などは入らない) |
| M3 | M2 と同じ種類 | すべての預金取扱機関(ゆうちょ銀行も入る) |
| 広義流動性 | M3+投資信託・国債・金融債・外債など | ― |
M2 と M3 の違いは発行者の範囲だけです。定期預金とCDは M1 に入りません。
日本銀行の金融政策の手段です。
| 手段 | 緩和(お金を増やす) | 引締め(お金を減らす) |
|---|---|---|
| 公開市場操作(中心の手段) | 買いオペ | 売りオペ |
| 政策金利(無担保コールレート〔オーバーナイト物〕。無担保コール翌日物金利とも)の誘導 | 下げる | 上げる |
| 基準割引率および基準貸付利率 | 下げる | 上げる |
| 預金準備率操作 | 引き下げる | 引き上げる |
- 法定準備率を決めるのは日本銀行(政策委員会)です(変えるには財務大臣の認可が要ります)。準備率は1991年を最後に変えられていません。
- 日本銀行の機能は、銀行券を出す発券銀行、国のお金を扱う政府の銀行、銀行と取引する銀行の銀行の3つです。困った銀行にお金を貸す最後の貸し手の役目もあります。
金融資産と金融市場(短く)
- 貨幣は、金利が動いても名目の価値(額面で表した価値)が変わらないので安全資産です。金利が動くと売るときの価格が動く債券や、株式は危険資産です。
- 債券の価格と利回り(利子率)は逆向きに動きます(価格が上がると利回りは下がる)。満期が無く、毎年決まった利息が永久に続く債券(コンソル債)の価格は「利息 ÷ 利子率」です。くわしくは投資理論のページで扱います。
- 満期までの期間と利回りの関係を描いた線をイールドカーブと呼び、期間が長いほど利回りが高い右上がりの形が順イールド、右下がりが逆イールドです。
- 効率市場仮説では、公開された情報はすでに株価に入っているので、それを分析しても、危険に見合う以上の収益は続けて上げられないと考えます。
- 1年未満の資金を貸し借りする短期金融市場(コール市場など)と、株式・債券を売り買いする長期金融市場(資本市場)に分かれます。
例で確かめる日本銀行のバランスシートからマネタリーベースを求める
ある時点の日本銀行のバランスシートが次のとおりで(単位:兆円)、政府が出した硬貨の流通高は5兆円とします。
| 資産 | 金額 | 負債・純資産 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 国債 | 300 | 発行銀行券 | 110 |
| 貸出金 | 40 | 当座預金 | 200 |
| その他資産 | 20 | 政府預金 | 25 |
| その他負債 | 15 | ||
| 純資産 | 10 | ||
| 合計 | 360 | 合計 | 360 |
マネタリーベースに入れるもの(単位:兆円)
| 金額 | 扱い | |
|---|---|---|
| 発行銀行券 | 110 | |
| 当座預金 | 200 | |
| 硬貨 | 5 | |
| 政府預金 | 25 | |
| 国債(資産) | 300 | |
| 合計 |
- 銀行券:発行銀行券110兆円を入れるわかること日本銀行が出した現金で、負債の側にある
- 当座預金:当座預金200兆円を入れるわかること銀行の準備で、負債の側にある
- 硬貨:表の外の硬貨5兆円を足すわかること硬貨は政府が出すので、日本銀行の表には載っていない
- 政府預金:入れないわかること国が日本銀行に預けているお金で、家計・企業が使えるお金ではない
- 国債:入れないわかること日本銀行が持つ資産で、お金そのものではない
- 合計:110+200+5わかることマネタリーベースは315兆円
マネタリーベースは315兆円です。硬貨を落とすと310兆円、資産の側の国債300兆円と貸出金40兆円を足すと340兆円、正しい315兆円に政府預金25兆円を足しても340兆円になり、どれも誤りです。
金融の制度の例題
自分で解いてみる金融の制度の例題(マネーストック統計と金融政策)
選択肢を押すと、正解と解説が出ます。
正解は 3
正しいのは3で、正解は3です。日本銀行が貸し出すと、資産の側の貸出金と、負債の側の当座預金(貸した代金の振込先)が同じ額だけ増えます。当座預金はマネタリーベースに入るので、ベースも増えます。
| 選択肢 | 正誤 | 正しくはこう |
|---|---|---|
| 1 | 誤 | M2 と M3 の通貨の種類は同じ。違うのは発行者の範囲(M2 は国内銀行等、M3 はゆうちょ銀行なども含む) |
| 2 | 誤 | 売りオペは代金を当座預金から引き落とすので、ベースは減る(向きの取り違え) |
| 3 | 正 | 貸出の代金が当座預金に振り込まれるので、当座預金とベースが増える |
| 4 | 誤 | ベースは負債の側の発行銀行券と当座預金に硬貨を足したもの(資産と負債の取り違え) |
| 5 | 誤 | 困った金融機関に貸して混乱を防ぐのは「最後の貸し手」の役目。「政府の銀行」は国のお金を預かり、出し入れを扱う役目(機能の取り違え) |
まとめ覚えることと間違いやすい点
覚えることの表
貨幣乗数 のモデルで、銀行は準備率ちょうどの準備を持ち、ほかの比率は変わらないとした場合です(c は0以上、r は0と1の間)。
| 出来事 | 貨幣乗数 | マネーストック |
|---|---|---|
| マネタリーベースが増える(比率は一定) | 変わらない | 乗数倍の額だけ増える(増加率はベースと同じ) |
| 現金預金比率 c が上がる(ベースは一定) | 下がる | 減る |
| 準備率 r が上がる(ベースは一定) | 下がる | 減る |
| 現金の漏れが無い(c=0) | 1/r(いちばん大きい) | 本源的預金の 1/r 倍の預金 |
| 日本銀行の操作 | マネタリーベース | 方向 |
|---|---|---|
| 買いオペ | 増える | 緩和 |
| 売りオペ | 減る | 引締め |
| 準備率の引下げ | 変わらない(乗数が上がる) | 緩和 |
| 基準貸付利率の引上げ | 銀行が日本銀行から借りにくくなり、増えにくくなる | 引締め |
よくある間違い
| 誤りの文 | 正しくはこう |
|---|---|
| 貨幣乗数は | それは現金の漏れが無いときだけ。漏れがあれば で、1/r より小さい |
| 乗数の分子は 1+r | 分子はマネーストック(現金+預金)なので 1+c。準備はマネーストックに入らない |
| 現金預金比率が上がると、人の手元の現金が増えるのでマネーストックも増える | 現金は増えても預金がそれ以上に減り、乗数が下がってマネーストックは減る |
| 信用創造の預金の総額 = 本源的預金 ÷(1 − 準備率) | 準備率で割る。1 − 準備率は貸し出す割合 |
| マネタリーベースに、日本銀行の資産の側の国債や、政府預金を入れる | 負債の側の発行銀行券+当座預金に、表の外の硬貨を足す |
| M1 に定期預金や譲渡性預金が入る | M1 は現金通貨と預金通貨(すぐ引き出せる預金)だけ |
| M2 はゆうちょ銀行の預金も含み、M3 は含まない | 逆。ゆうちょ銀行などを含むのは M3 |
| 売りオペはマネタリーベースを増やし、緩和になる | 売りオペは資金を吸い上げる引締め |
| 今も公定歩合の操作が金融政策の中心 | 呼び名は「基準割引率および基準貸付利率」。中心は公開市場操作 |
| 法定準備率は内閣(政府)が決める | 日本銀行の政策委員会が決める |
| 金利が動くと債券と同じように貨幣の価値も上下するので、貨幣は危険資産 | 金利が動いても貨幣の名目の価値は変わらないので安全資産 |
| 債券の価格が上がると利回りも上がる | 逆向き。価格が上がると利回りは下がる |
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