投資理論とは・割引現在価値と投資の限界効率
30秒でわかる投資理論
経済学でいう投資(I)は、工場や機械のように将来の収益を生む設備(資本)を買う支出です。株を買うことは入りません。投資理論は「企業はどれだけ投資するか」を、利子率(r)・所得・株価などから説明します。
まず割引現在価値です。利子率4%なら、今の100万円を預けると1年後に104万円になります。だから1年後の104万円は、今の100万円と同じ値打ちです。将来のお金を今の値打ちに直すことを「割り引く」といいます。
割引現在価値
投資の限界効率
投資するかどうか(ケインズ)
毎年同じ額が永久に続くとき
階段の1段が1つの案(高さが限界効率、横の長さが投資額)で、5%の線より上の3段(20+30+20=70億円)が採られます。この5つを「基本の案」と呼びます。
試験での出方
| 地方上級 | ★★ | 特別区Ⅰ類 | ★★★ |
|---|---|---|---|
| 市役所 | ★★ | 国家総合職 | ★★ |
| 国家一般職 | ★ | 国家専門職 | ★★ |
割引現在価値の計算と、投資理論どうしを比べる文の正誤が中心です。
よく出るタイプ
投資理論の問題は、次の5つのタイプに分けられます。カードを押すと、そのタイプの解き方に切り替わります。
基本の図投資の限界効率と利子率
投資の限界効率の図(利子率と投資の関係)
- 投資の案:5つの案を、見込める収益率(投資の限界効率)の高い順に左から並べるわかること段の高さが各案の限界効率、段の横の長さが投資額で、階段は右下がり
- 利子率:お金を借りる費用の5%を水平線で引くわかること限界効率がこの線より高い案は、借りて投資しても利子を払って得が残る
- 採る案:線より上の機械・倉庫・店舗わかること投資は20+30+20=70億円。点E0より右の車両とシステムは、利子率より収益率が低いので採らない
- 利子率下落:利子率が5%から3%に下がるわかること限界効率4%の車両も線より上になり、投資は70+30=100億円に増える(階段は動かず、その上を右下へ)
図の見方
- 横軸は投資額(億円)、縦軸は投資の限界効率と利子率(%)です。
- 案を限界効率の高い順に左から並べるので、階段は右下がりです。
- 利子率は、お金を借りる費用です。自分のお金で投資するときも、預ければ利子率の分だけ増やせたので、比べる相手は同じ利子率です。採られるのは限界効率が利子率より高い案で、点E0までです。
案がたくさんあれば、階段はなめらかな右下がりの線になります。これを投資の限界効率表(限界効率曲線)と呼び、「利子率が下がるほど投資が増える」という投資関数()を表します。投資は利子率の減少関数(利子率が上がると減る関係)です。
このしくみは、利子率が下がると投資が増え、投資の増加が乗数の分だけ所得を増やす、という IS 曲線(財市場が均衡する所得と利子率の組)の土台になります(乗数・IS・LM曲線で使います)。
タイプ1割引現在価値と投資の採否
割引現在価値の求め方と投資の採否
見分け方:「期首に費用を払い、1年後と2年後に収益を得る」のように、お金の出入りの時点が書かれています。聞かれるのは「実行される案はどれか」「利子率が何%を下回るときに実行されるか」です。
なぜそうなるか2年後の収益は(1+利子率)で2回割る
利子率5%なら、今の100万円は1年後に105万円、2年後には105万円にもう一度5%が付いて110.25万円になります。増えるときに(1+利子率)を1年に1回ずつ掛けるので、今の値打ちに戻すときは、受け取るまでの年数の回数だけ(1+利子率)で割ります(例と練習はマクロで使う計算)。
使える条件:収益を受け取るのが各年の終わり(期末)で、費用を期首に払うとき。期首に払う費用は今のお金なので割りません。期末に払う費用(原材料費など)は、同じ時点の収益から引いてから割ります。
解き方の手順
- 1
お金の出入りを時点ごとにまとめる
期首(今)・1年後・2年後に分け、同じ時点の収入と支出を差し引きます。 - 2
年数の回数だけ割る
1年後の額は で1回、2年後の額は2回割ります。 - 3
費用と比べる
割引現在価値の合計が費用より大きければ実行します。 - 4
利子率の上限を聞かれたら
合計と費用が等しくなる利子率(=限界効率)を解きます。2年なら を1つの文字でおくと2次方程式になります。解きにくければ選択肢の利子率を代入して比べます。
例で確かめる費用580万円・利子率5%の2年の投資
期首に580万円払うと、1年後に210万円、2年後に441万円の収益がある投資を、利子率5%で判定します。
収益を今の値打ちに直す
| 受け取る額 | 割る数 | 今の値打ち | |
|---|---|---|---|
| 1年後の収益 | |||
| 2年後の収益 | |||
| 合計 |
- 1年後:210万円を1.05で1回割るわかること今の200万円
- 2年後:441万円を1.05で2回割るわかること441÷1.05=420、420÷1.05=400で、今の400万円
- 合計:受け取る額は210+441=651万円、今の値打ちは200+400=600万円わかること費用580万円より20万円大きいので、この投資は実行する
2年後の441万円も1回だけ割ると、 万円になり、割引現在価値を大きく見積もりすぎます。
割引現在価値の例題
自分で解いてみる割引現在価値の例題(実行される利子率の上限)
選択肢を押すと、正解と解説が出ます。
正解は 3
境の利子率(限界効率)を とし、 を とおきます。 の両辺に を掛けると 、9で割って です。因数分解すると で(見つけにくければ解の公式でも同じ答えです)、 は正なので 、限界効率は8%です。正解は3です。試験では表のように選択肢を代入するほうが速いです。
| 利子率 | 割引現在価値の合計 | 費用900万円と比べて |
|---|---|---|
| 7% | 約914万円 | 上回る(実行) |
| 8% | 275+625=900万円 | 等しい(境) |
| 9% | 約886万円 | 下回る(実行しない) |
14%は割り引かずに とした値、7%はその14%を2年で割った値です。6%・7%ではまだ上回り、境ではありません。9%ではすでに下回ります。
タイプ2永続する収益・債券と株の価格
永続する収益の現在価値・債券価格と利子率の関係
見分け方:「1年後から毎年同じ額が永久に続く」と書かれています。投資の案のほか、利子が永久に払われる債券(永久債)や、配当が続く株の価格(理論株価)として聞かれます。
使える条件:1年後から毎年同じ額が永久に続き、利子率 が変わらないとき。株なら の代わりに「安全資産の利子率+リスク・プレミアム(値動きの危うさの分の上乗せ)」で割ります。
なぜ で割るだけになるのか:毎年の額を とすると、合計は で、初項 ・公比 の等比数列です(和の出し方はマクロで使う計算)。永久に続く等比数列の和は「初項 ÷(1 − 公比)」で、 なので です。
なぜそうなるか利子率が上がると債券の価格が下がる理由
利子率が上がる → 新しく出る債券は高い利子を払う → 前から出ている債券は利子の額が決まったままなので見劣りする → 売られて価格が下がる。式では、価格=利子÷利子率の分母が大きくなるからです。
- 価格の線:毎年5万円の利子が永久に続く債券の価格は、5万円÷利子率わかること利子率が高いほど低い
- 点A:利子率2.5%なら、5÷0.025=200万円
- 点B:利子率4%なら、5÷0.04=125万円わかること利子の額は5万円のままで、割る利子率が大きくなったので、価格は75万円下がる
利子率が低いときほど、同じ幅の上がり下がりで価格が大きく動きます(同じ1.5ポイントの上昇でも、2.5%→4%では75万円、4%→5.5%では約91万円になり約34万円の下落)。貨幣需要の論点では、利子率が低いと、この先は利子率が上がる(債券の価格が下がる)と予想する人が多くなり、値下がりの損を避けてお金で持つ(投機的動機)理由に使います(貨幣需要)。
解き方の手順
- 1
毎年の額を出す
売上から毎年の運転費用を引いた額です。 - 2
利子率で割る
毎年の額 ÷ 利子率が割引現在価値の合計です。投資の案は、これが投資額より大きければ実行します。限界効率(毎年の額 ÷ 投資額)が利子率より高いかで判定しても同じです。 - 3
変化を聞かれたら
前と後の価格をそれぞれ出して差を取ります。
例で確かめる投資額600万円で毎年45万円が永続する案
限界効率は で7.5%です。
| 利子率 | 割引現在価値の合計 | 判定 |
|---|---|---|
| 5% | 万円 | 600万円より大きいので実行 |
| 9% | 万円 | 600万円より小さいので実行しない |
株も同じ式です。毎年30円の配当が続くと見込まれ、安全資産の利子率2%・リスク・プレミアム4%なら、理論株価は 円です。
永久債と理論株価の例題
自分で解いてみる永久債の価格と理論株価の例題(文の正誤)
選択肢を押すと、正解と解説が出ます。
正解は 2
万円、 万円で、2は正しい文です。正解は2です。
| 選択肢 | 正しくはこう |
|---|---|
| 1 | 8%では 万円に下がる。1,000万円は価格が利子率に比例するとした値 |
| 3 | 割る率(利子率+リスク・プレミアム)が大きくなるので、理論株価は下がる |
| 4 | 円。2,000円はリスク・プレミアムを落として とした値 |
| 5 | 限界効率が利子率を上回るときに実行する。不等号の向きが逆 |
タイプ3投資の限界効率と投資関数
投資の限界効率とは・投資関数のシフト
見分け方:「ケインズの投資理論」「限界効率表」の語があり、「企業家の予想が楽観的になると」「利子率が上昇すると」のような文が並びます。
なぜそうなるか利子率が動くときと、予想が動くときは別の動き
利子率が変わっても、各案の見込みの収益率は変わらないので、表は動かず表の上を移ります。企業家の予想が変わると、各案の収益率そのものが変わるので、表が動きます。どちらも投資は80億円です。
- 最初:利子率6%の線と限界効率表の交点E0わかること投資は60億円
- 利子率下落:利子率が6%から4%に下がるわかること表は動かず、同じ表の上をE0からE1へ右下に動き、投資は80億円
- 予想が明るく:企業家が将来の収益を高く見込むわかることどの案の限界効率も上がり、表そのものが右(上)へ動く。利子率6%のままでも投資は80億円(E2)
判定のしかた
- 1
比べる相手と向き
比べるのは利子率です(国民所得の成長率などではない)。限界効率 > 利子率 の案を、自己資金でも実行します。 - 2
表の形
案を限界効率の高い順に並べたので右下がりです。 - 3
利子率の変化は表の上の動き
利子率が下がる → 表は動かず、表の上を右下へ → 投資が増える。 - 4
予想の変化は表のシフト
企業家の予想が明るくなる → 各案の見込みの収益率が上がる → 表が右(上)へ動く → 同じ利子率でも投資が増える。暗くなれば左(下)へ。ケインズは、この予想が企業家のアニマル・スピリッツ(先行きへの血気)に左右されることを重んじました。 - 5
傾きは利子弾力性
表の傾きがゆるやか(横に寝ている)ほど、利子率が少し下がるだけで投資が大きく増え(投資の利子弾力性が大きい)、所得も大きく増えるので、IS 曲線もゆるやかになります。
例で確かめる基本の案で、2つの動きを比べる
| 出来事 | 図の動き | 採られる案と投資 |
|---|---|---|
| 最初(利子率5%) | — | 機械・倉庫・店舗の70億円 |
| 利子率が3%に下がる | 表の上を右下へ | 車両(4%)も入り100億円 |
| 利子率は5%のまま、予想が明るくなり、どの案も限界効率が1.5ポイント上がる(4%なら5.5%に) | 表が上へ動く | 車両(5.5%)も入り100億円 |
予想が明るくなっても、システムの限界効率は %で、利子率5%を下回るので採りません。
投資の限界効率の例題
自分で解いてみる投資の限界効率の例題(ケインズの投資理論)
選択肢を押すと、正解と解説が出ます。
正解は 2
2は限界効率の定義そのもので、正しい文です。正解は2です。
| 選択肢 | 正しくはこう |
|---|---|
| 1 | 自己資金も、預ければ利子率の分だけ増やせる。限界効率が利子率を下回る計画は実行しない |
| 3 | 高い順に並べるので右下がり。投資が増えるほど限界効率は下がる |
| 4 | 悲観すると見込みの収益率が下がり、表は左(下)へ動く |
| 5 | 利子率の変化は表の上の動き。表を動かすのは予想の変化 |
タイプ4加速度原理と資本ストック調整原理
加速度原理と資本ストック調整原理(式と計算)
見分け方:「資本係数」「国民所得の増加分」「調整係数 」の語があります。
資本係数(v)は、生産に要る資本ストック(K)と国民所得(Y)の比 です。この2つの原理では一定です(資本と労働を置き換えない)。
なぜそうなるか差を一度に埋めるか、少しずつ埋めるか
所得が増える → 必要な資本(望ましい資本=資本係数と所得の積)が増える → 今ある資本との差を投資で埋める。1期で全部埋めるのが加速度原理、毎期その一部 だけ埋めるのが資本ストック調整原理です。
- 目標:所得が増え、望ましい資本(資本係数と所得の積)が400から600に上がる
- λ=1:差の200を1期目に全部埋めるわかること投資は1期目だけ200で、その後は0(加速度原理)
- λ=0.5:毎期、残った差の半分を埋めるわかること投資は100、50、25…と小さくなりながら続く(資本ストック調整原理)
は今期、 は前期です( は前期の国民所得)。ここでの は加速度係数とも呼ばれます。
使える条件:資本係数が一定で、設備がすべて動いている(遊休の設備が無い)とき。投資を決めるのは所得の水準ではなく変化分です。所得が高いままで変わらなければ、投資(古くなった設備を買い替える分=資本減耗を除いた分)は0です。
は今期の望ましい資本、 は前期末の資本、(調整係数、)は差のうち今期に埋める割合で、資本係数とは別のものです。この原理は伸縮的加速度原理とも呼ばれます。 とおき とすると、毎期の差が全部埋まって前期末の資本も になるので、 と加速度原理と同じ式になります。
解き方の手順
- 1
資本係数を出す
資本ストックが分かる期の です。 - 2
前期からの所得の変化分を出す
聞かれた期の所得から、その1つ前の期の所得を引きます。最初の期からの変化分ではありません。 - 3
資本係数を掛ける
加速度原理ならこれで投資です。調整原理なら、望ましい資本 と前期末の資本の差に を掛けます。
例で確かめる資本係数2.4の経済で、各期の投資を出す
第1期の資本ストックは960億円、所得は400億円なので、資本係数は です。
| 期 | 所得 | 要る資本(2.4倍) | 投資(前期からの資本の増加) |
|---|---|---|---|
| 第1期 | 400 | 960 | — |
| 第2期 | 410 | 984 | |
| 第3期 | 425 | 1,020 | |
| 第4期 | 430 | 1,032 | |
| 第5期 | 425 | 1,020 |
第4期は所得が増えているのに、増え方が小さくなったので投資は36から12に減ります。所得が減る第5期は、投資がマイナス(設備を減らす)になります。
資本ストック調整原理の例題
自分で解いてみる資本ストック調整原理の例題(今期の投資)
選択肢を押すと、正解と解説が出ます。
正解は 1
望ましい資本は 億円、前期末との差は 億円です。投資はその0.3倍で 億円です。正解は1です。
| 選択肢 | どの間違いから出るか |
|---|---|
| 210億円 | 埋まらずに残る割合0.7を掛けた |
| 300億円 | 調整係数を掛け忘れた(差を1期で全部埋めた値) |
| 360億円 | 前期末の資本1,200億円に0.3を掛けた |
| 450億円 | 望ましい資本1,500億円に0.3を掛けた |
タイプ5新古典派とトービンのq
新古典派の投資理論・ジョルゲンソン型・トービンのqとは
見分け方:「資本の限界生産性」「使用者費用(レンタルコスト)」「ジョルゲンソン」「トービンの 」「粗投資・純投資」の語があります。
なぜそうなるか利子率が上がると望ましい資本が減る理由
資本を1単位増やしたときの生産の増え方(資本の限界生産性)は、資本が多いほど小さくなります。資本1単位を1期使う費用(使用者費用=実質利子率+資本減耗率〔設備が1期使われて値打ちが減る割合〕)と等しくなる所まで資本を持つと、利潤が最大になります。利子率が上がる → 使用者費用が上がる → 限界生産性が高い(資本の少ない)所でしか釣り合わない → 望ましい資本が減る。
- 限界生産性:資本を1単位増やしたときの生産の増え方わかること資本が多いほど小さく、右下がり
- 使用者費用:資本1単位を1期使う費用は、実質利子率3%+資本減耗率2%=5%わかること交点E0の144が望ましい資本
- 利子率上昇:実質利子率が3%から4%に上がるわかること使用者費用は6%になり、望ましい資本はE1の100に減る
調整費用は、設備を一度に大きく増やすときの余分な費用(据え付けなどの手間)で、大きいと企業は資本を少しずつ増やします。
判定のしかた
- 1
新古典派
望ましい資本は「限界生産性=使用者費用」で決まり、利子率に依存します。資本と労働を置き換えられる(資本係数は一定でない)と考えます。投資は望ましい資本と今ある資本の差で決まります(大きさに比例しない)。基本形は調整費用を考えません。 - 2
ジョルゲンソン型
新古典派の望ましい資本を目標に、差を一度に埋めず毎期 の割合ずつ埋めます()。 - 3
トービンのq
= 企業の市場価値 ÷ 資本の再取得費用。1より大きければ投資します。調整費用は、それを見込んだ投資家の評価が株価に表れるので、間接に考えに入っています。 - 4
フローとストック
投資は一定期間に測るフロー、資本はある時点に測るストックです。投資のうち資本減耗の買い替えを除いた分が純投資、含めた全部が粗投資で、資本を増やすのは純投資です。
企業の市場価値は「株式の時価総額+負債」、資本の再取得費用は「今ある資本を買い直すのにかかる費用」です。
使える条件:株式市場が企業の値打ちを正しく評価していて、追加の投資も今ある資本と同じだけの値打ちを生むとき。正確には、判定に使うのは追加1単位の投資の「収益の割引現在価値(永続なら毎年の額÷利子率)÷ その費用」(限界の q)で、上の式(平均の q)とは一致するとは限りません。たとえば時価総額1,000億円・負債400億円・再取得費用1,120億円の企業なら、平均の q は です。限界の q と一致するとみてよいなら、1より大きいので投資が行われます。
望ましい資本と投資の計算
解き方の手順
- 1
- 2
使用者費用と等しくする
使用者費用は実質利子率+資本減耗率です。名目利子率(ふだん目にする利子率)なら、期待インフレ率(これから物価が上がると見込む率)を引いて実質利子率に直します。生産物と資本財(機械など)の価格が別にあれば「生産物の価格 × 限界生産性 = 資本財の価格 × 使用者費用」とおきます。 - 3
差に λ を掛ける
純投資 = ×(望ましい資本 − 前期末の資本)。新古典派の基本形は です。 - 4
粗投資なら資本減耗を足す
上の式の資本減耗を足します( は掛けません)。
例で確かめる生産関数 Y=1.2√K の企業の粗投資
実質利子率3%・資本減耗率2%、前期末の資本50、調整係数0.5とします。限界生産性は で、これを使用者費用0.05と等しくすると 、望ましい資本は です(上の「望ましい資本が減る理由」の図の点E0)。
| 項目 | 計算 | 値 |
|---|---|---|
| 純投資 | 47 | |
| 資本減耗(更新投資) | 1 | |
| 粗投資 | 48 |
の新古典派の基本形なら、純投資は94、粗投資は95です。
投資理論の比較の例題
自分で解いてみる投資理論の比較の例題(新古典派・ジョルゲンソン型・トービンのq)
選択肢を押すと、正解と解説が出ます。
正解は 2
2は正しい文です(上の「望ましい資本が減る理由」の図で、使用者費用が5%から6%に上がると望ましい資本が144から100に減ります)。正解は2です。
| 選択肢 | 正しくはこう |
|---|---|
| 1 | q は市場価値÷再取得費用。1を上回ると投資する(分子と分母、向きの両方が逆) |
| 3 | 差を毎期 の割合ずつ埋める。全部埋めるのは新古典派の基本形 |
| 4 | 加速度原理は調整費用を考えず、1期で全部埋める |
| 5 | 資本ストックの増加分は純投資。粗投資=純投資+資本減耗 |
まとめ覚えることと間違いやすい点
覚えることの表(投資理論の比較)
| 理論 | 投資を決めるもの | 利子率 |
|---|---|---|
| ケインズ(限界効率) | 限界効率が利子率を上回る案の合計 | 依存する(下がると増える) |
| 加速度原理 | 所得の変化分 × 資本係数 | 依存しない |
| 資本ストック調整原理 | (望ましい資本 − 前期末の資本)× | 依存しない |
| 新古典派 | 望ましい資本(限界生産性=使用者費用)と今ある資本の差 | 依存する(上がると減る) |
| ジョルゲンソン型 | 新古典派の差 × | 依存する |
| トービンの q | 市場価値 ÷ 再取得費用 が1より大きいか | 依存する(上がると株価が下がり、q が下がって減る) |
資本係数と調整費用の扱いです。
| 理論 | 資本係数(一定=資本と労働を置き換えない) | 調整費用・調整の速さ |
|---|---|---|
| 加速度原理 | 一定 | 考えない。差を1期で全部埋める |
| 資本ストック調整原理 | 一定 | 据え付けに時間や費用がかかるので、差を一度に埋めない( なら加速度原理) |
| 新古典派(基本形) | 一定でない | 考えない |
| ジョルゲンソン型 | 一定でない | 差を一部ずつ埋める |
| トービンの q | — | 株価を通じて間接に考える |
よくある間違い
| 誤りの文 | 正しくはこう |
|---|---|
| 限界効率が利子率を下回るときに投資する | 上回るときに投資する |
| 2年後の収益も(1+利子率)で1回だけ割る | 受け取るまでの年数の回数だけ割る |
| 期末に払う費用を期首の費用に足す | 同じ時点の収益から引いてから割る |
| 利子率が上がると、永久債の価格も上がる | 価格=利子÷利子率なので下がる |
| 利子率が下がると、限界効率表が右へシフトする | 表の上の動き。表を動かすのは予想の変化 |
| 加速度原理では、投資は所得の水準に比例する | 所得の変化分に比例する |
| 調整係数 は資本係数に等しい | は差のうち今期に埋める割合。別のもの |
| 新古典派では、投資は望ましい資本の大きさに比例する | 望ましい資本と今ある資本の差で決まる |
| 望ましい資本は平均生産性(Y÷K)=使用者費用で決まる | 限界生産性=使用者費用で決まる |
| q=再取得費用÷市場価値。q<1なら投資する | q=市場価値÷再取得費用。q>1なら投資する |
| q の分子は株式の時価総額だけ | 負債も足した市場価値 |
| 投資はストック、資本はフロー | 投資はフロー、資本はストック |
| 粗投資が資本ストックの増加分 | 増加分は純投資(粗投資−資本減耗) |
次にやること
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