IS曲線・LM曲線とは(IS-LM分析)
30秒でわかるIS・LM曲線
縦軸に利子率(r)、横軸に国民所得(Y)をとった図で、2本の曲線の交点から所得と利子率が一緒に決まることを見るのが IS-LM 分析です。物価(P)は一定とする短期の分析です。
IS 曲線
LM 曲線
動かし方
先に読む論点均衡国民所得とギャップ貨幣需要
次の経済を「このページのモデル」と呼び、図と例で使います。財市場の式 から IS 曲線 、貨幣市場の式から LM 曲線 が出て(導き方はタイプ1・2)、2本を連立すると所得450・利子率3%で釣り合います(連立の解き方はマクロで使う計算)。
| 項目 | 式・値 |
|---|---|
| 消費(C) | (25は基礎消費、限界消費性向 c は0.5。 は可処分所得=所得から税を引いた額) |
| 租税(T) | (定額税) |
| 投資(I) | (r は利子率〔%〕。180は利子率と関係ない独立投資) |
| 政府支出(G) | |
| 貨幣市場 | (左辺は貨幣供給 を物価 で割った実質の貨幣供給〔買える物の量で測った貨幣〕、右辺は貨幣需要。貨幣需要は所得が大きいほど増え、利子率が高いほど減る) |
モデルの前提(ここが選択肢になる)
- 物価が一定の短期の分析です。交点の所得が完全雇用国民所得(。働きたい人がみな雇われるときの所得)に一致する保証はありません。物価が動く場合は「総需要・総供給」で。
- 市場は財・貨幣・債券の3つです(資産を貨幣か利子のつく債券で持つので、貨幣市場の裏に債券市場がある)。ワルラス法則(3つのうち2つが均衡すれば残る1つも均衡する)により、交点では債券市場も均衡しています。
試験での出方
| 地方上級 | ★★★ | 特別区Ⅰ類 | ★★★ |
|---|---|---|---|
| 市役所 | ★★ | 国家総合職 | ★★★ |
| 国家一般職 | ★★★ | 国家専門職 | ★★★ |
曲線の導き方・傾き・シフトの文の正誤と、図の点の超過需要・超過供給を選ぶ問題が中心で、計算も出ます。
よく出るタイプ
IS・LM曲線の問題は、次の5つのタイプに分けられます。カードを押すと、そのタイプの解き方に切り替わります。
基本の図IS曲線とLM曲線
IS-LM分析の図の読み方
- 軸:横軸は国民所得、縦軸は利子率わかること図の1点が「所得と利子率の組」を表す
- IS曲線:財市場が均衡する組を結んだ線わかること利子率が低いほど投資が多く、均衡する所得が大きいので右下がり
- LM曲線:貨幣市場が均衡する組を結んだ線わかること所得が大きいほど取引に使う貨幣が多く要り、均衡する利子率が高いので右上がり
- 交点E:2つの市場が同時に均衡するわかること所得450・利子率3%が一緒に決まる
図の見方:交点 E では、消費 、投資 で、 と総需要が所得に一致し、財市場が釣り合っています。
曲線の上の移動と、曲線そのものの移動(シフト)
- 最初:IS0 の上の点A(所得400・利子率4%)
- 上の移動:利子率が4%から2%に下がるわかること投資が増えて所得は500へ。IS0 の上を点Aから点Bへ動くだけで、曲線は動かない
- シフト:政府支出が30増えるわかること同じ利子率2%でも所得は560(点C)。IS そのものが右へ60動く(IS0 から IS1)
図の見方
- 曲線の上の移動:軸の利子率や所得が変わっただけなら、点が曲線に沿って動くだけです(IS0 の上の点A→点B)。
- シフト:軸に無いもの(政府支出・税・独立投資・貨幣供給・物価など)が変わると、同じ利子率で均衡する所得が変わり、曲線そのものが動きます。政府支出が30増えると、利子率2%のままでも所得は乗数(需要が1増えると所得が何倍増えるか。ここでは )倍の60増えて560(点C)になり、IS0 が IS1 へ右に60動きます。
- 右へ動く=同じ利子率で所得が大きくなる、です。右下がりの IS では「右へ」と「上へ」、右上がりの LM では「右へ」と「下へ」が同じ動きです。
タイプ1IS 曲線の導き方と傾き
IS曲線の導き方と傾き(投資の利子弾力性)
見分け方:「IS 曲線が右下がりになる理由」「投資の利子弾力性が大きいほど IS 曲線は」のような文か、消費関数と投資関数が与えられて「IS 曲線の傾きはいくらか」と聞かれます。
なぜそうなるかIS が右下がりで、投資がよく反応するほど緩やかな理由
利子率が下がる →(財市場)投資が増える →(財市場)乗数の分だけ所得が増える。だから利子率が低いほど均衡の所得が大きく、IS は右下がりです。
投資の利子弾力性(利子率の変化への投資の反応の大きさ)が大きいほど所得も大きく増えるので、IS は緩やかです。限界消費性向(c)が大きく乗数 が大きいときも緩やかです。
- 出発点:点E(所得450・利子率3%)わかることここから利子率を1%に下げる
- 反応が小さい:投資は10しか増えないわかること所得は乗数2倍の20だけ増えて470(点S)。IS は急
- 反応が大きい:投資は50増えるわかること所得は100増えて550(点G)。IS は緩やか
使える条件:縦軸が利子率で、、 の直線のとき(b は投資の式の r の係数)。b が無限大なら水平、0 なら垂直です。
解き方の手順
- 1
財市場の式を作る
に消費関数・投資関数・政府支出を代入します。 - 2
r について解く
縦軸が r なので、「」の形にします。Y について解いた式()の係数は傾きではありません。 - 3
Y の係数を読む
なら傾きは です。
例で確かめるこのページのモデルで IS を導く
を整理すると 、r について解くと です。
上の45度線の図の D0・D1 は、総需要(消費・投資・政府支出の合計)を所得ごとに表した線です。
- 最初:利子率4%で投資は80わかること総需要の線 D0(200+0.5Y)と45度線の交点 E0 で所得400。下の図に点A(所得400・利子率4%)
- 利子率:4%から2%に下がるわかること投資が80から130へ、50増える
- 総需要:増えた投資の50だけ総需要の線が上へわかることD0 から D1(250+0.5Y)へ
- 所得:新しい交点 E1 で所得500わかること増えた投資50の2倍(乗数)だけ所得が増える
- IS曲線:下の図に点B(所得500・利子率2%)わかること点Aと点Bを結ぶと右下がりの IS 曲線
| 利子率 | 投資 | 総需要の線 | 均衡の所得 |
|---|---|---|---|
| 4% | D0: | 400 | |
| 2% | D1: | 500 |
投資の増加50に乗数2を掛けた100だけ所得が増えます(乗数の分母はマクロで使う計算)。2つの組(400, 4)と(500, 2)を結んだ線が IS です。
IS曲線の傾きの例題
自分で解いてみるIS曲線の傾きの求め方の例題
選択肢を押すと、正解と解説が出ます。
正解は 2
より です。r について解くと 、 で、傾きは です。正解は2です。
1は Y について解いた の係数、3は の代わりに を2で割った値、4は投資の係数2で割り忘れた値、5は符号を落とした値(IS は右下がり)です。
タイプ2LM 曲線の導き方と傾き
LM曲線の導き方と傾き(貨幣需要の利子弾力性・流動性のわな)
見分け方:「貨幣需要の利子弾力性が大きいほど LM 曲線は」「流動性のわな」「LM 曲線が垂直(水平)になるのは」のような文が並びます。
なぜそうなるかLM が右上がりで、貨幣需要が利子率によく反応するほど緩やかな理由
所得が増える →(貨幣市場)取引のための貨幣需要(取引需要)が増える → 貨幣の量は同じなので足りなくなる →(貨幣市場)利子率が上がり、債券で持つほうが得になって、利子率に反応する貨幣需要(投機的需要)が減る → 釣り合う。だから所得が大きいほど均衡の利子率が高く、LM は右上がりです。
貨幣需要の利子弾力性が大きいと、少しの利子率の上昇で投機的需要が大きく減って釣り合うので、LM は緩やかです。取引需要が所得に大きく反応するほど、所得が少し増えただけで貨幣が大きく足りず、大きな利子率の上昇が要るので LM は急です。
- 最初:所得450のときわかること貨幣需要の線 L0(L は貨幣需要の記号)と貨幣供給の線の交点 E0 で利子率3%
- 所得:450から550に増えるわかること取引に使う貨幣が多く要り、どの利子率でも貨幣需要が増える。線が右へ(L0 から L1)
- 利子率:貨幣供給は75のままわかること均衡の利子率は3%から4%に上がる(E1)
判定のしかた
- 1
どの曲線の弾力性かを決める
投資なら IS、貨幣需要なら LM の傾きです。 - 2
大きいほど緩やか
貨幣需要の利子弾力性が大きいほど LM は緩やか、小さいほど急です。 - 3
両端を延ばす
無限大なら水平(流動性のわな)、ゼロなら垂直です。 - 4
式なら r について解く
貨幣需要を (k は所得への反応、h は利子率への反応の大きさ)とおき、 を r について解くと 、傾きは です。
例で確かめるこのページのモデルで LM を導く
貨幣市場の式 を r について解くと 、 です。上の貨幣市場の図で出した2つの組を、所得と利子率の図に打ちます。
- 点J:所得450・利子率3%わかること貨幣市場が均衡する組
- 点K:所得550・利子率4%わかることこれも貨幣市場が均衡する組
- LM曲線:均衡する組を結ぶわかること所得が大きいほど利子率が高い、右上がりの線
所得450なら利子率3%、550なら4%で貨幣需要が75になります()。このモデルは k=0.5・h=50 なので、傾きは です。
LM曲線の3つの部分(流動性のわな・右上がり・垂直)
- LM曲線:3つの部分がある1本の線
- 水平:貨幣需要の利子弾力性が無限大(流動性のわな)わかること所得が増えても利子率は1%のまま
- 右上がり:所得が増えると取引需要が増え、利子率が上がって投機的需要が減ることで釣り合う
- 垂直:貨幣需要の利子弾力性がゼロ(古典派の貨幣数量説の考え方)わかること貨幣市場を均衡させる所得は600の1つだけ
流動性のわな(利子率がこれ以上下がらず、増えた貨幣がすべて手元に持たれる状態)では、貨幣供給を増やしても LM はわなの水準より下へ動きません。
LM曲線の傾きの例題
自分で解いてみるLM曲線の傾きと利子弾力性の例題
選択肢を押すと、正解と解説が出ます。
正解は 4
利子率が貨幣需要に効かないと、貨幣市場は所得だけで釣り合うので、均衡する所得は1つです。正解は4です。
- 1:弾力性が大きいほど小さな利子率の上昇で釣り合い、LM は緩やかです(向きを逆にした文)。
- 2:流動性のわなは弾力性が無限大です(ゼロと無限大を入れ替えた文)。
- 3:所得への反応が大きいほど大きな利子率の上昇が要り、急になります(反応の相手を区別しなかった文)。
- 5:所得が増えると取引需要は増え、利子率が上がるので右上がりです。
タイプ3出来事で動く曲線と向き
IS曲線・LM曲線のシフト(出来事で動く曲線と向き)
見分け方:「増税を行うと」「買いオペレーションを行うと」「物価が上昇すると」のような出来事で、どの曲線がどちらへ動くかを問います。買いオペレーション(買いオペ)は中央銀行が市場から国債などを買ってお金を出す操作で、貨幣供給が増えます。売りオペはその逆で、貨幣供給が減ります。
なぜそうなるか増税で IS は左へ動くが、LM は動かない理由
増税 →(財市場)可処分所得が減って消費が減る → 同じ利子率で均衡する所得が小さくなる → IS が左へ。
そのあと所得が減って取引需要が減り、利子率が下がりますが、これはLM の上の移動です。貨幣供給も貨幣需要の式も変わらないので、LM そのものは動きません。
- 最初:IS0 と LM の交点 E0(所得450・利子率3%)
- 増税:税が60増えるわかること可処分所得が減って消費が30減り、乗数2倍で同じ利子率の所得が60小さくなる。IS が左へ
- 新しい交点:IS1 と LM の交点 E1わかること所得410・利子率2.6%
- LMの上:所得が減って取引需要が減り利子率が下がるわかることこれは LM の上の移動で、LM 曲線そのものは動かない
判定のしかた
- 1
出来事を市場に振り分ける
財の需要(消費・投資・政府支出・輸出)を変えるなら IS、貨幣の供給か貨幣需要の式を変えるなら LM です。 - 2
同じ利子率で比べて向きを決める
同じ利子率で均衡の所得が増えるなら右、減るなら左です。 - 3
新しい交点を読む
動いた曲線と、動かない曲線の交点が新しい均衡です。 - 4
交点の動きは上の移動
そこで起きる所得・利子率の変化は、動かない曲線の上の移動です。それだけで曲線は動きません。
例で確かめる物価が1から1.25に上がる(LM が左へ)
名目の貨幣供給 M は75のままでも、実質の貨幣供給 は に減ります。同じ利子率3%なら より所得は420でしか釣り合わず、LM は左へ30動きます。
- 最初:IS と LM0 の交点 E0(所得450・利子率3%)
- 物価上昇:物価 P が1から1.25に上がるわかること実質の貨幣供給 M/P が75から60に減る
- LMが左へ:同じ利子率では、少ない貨幣で釣り合う小さい所得でないと均衡しないわかることLM0 から LM1 へ左に30
- 新しい交点:E1 で所得440・利子率3.2%わかること物価が高いほど所得が小さい(総需要曲線が右下がりになる理由)
新しい LM は で、IS と連立すると交点は所得440・利子率3.2%です。物価が高いほど所得が小さいことが、右下がりの総需要曲線(「総需要・総供給」)のもとです。
| 出来事 | 動く曲線 | 向き |
|---|---|---|
| 政府支出の増加・減税・独立投資や基礎消費の増加・輸出の増加 | IS | 右 |
| 増税・独立投資の減少・所得と関係なく増える輸入の増加 | IS | 左 |
| 貨幣供給の増加(買いオペ・中央銀行引受) | LM | 右(下) |
| 物価の上昇・貨幣需要そのものの増加(同じ所得・利子率でも貨幣を多く持ちたくなる) | LM | 左(上) |
| 利子率・所得の変化だけ | どれも動かない | 曲線の上の移動 |
曲線のシフトの例題
自分で解いてみるIS曲線・LM曲線のシフトの例題
選択肢を押すと、正解と解説が出ます。
正解は 3
基礎消費が減ると財の需要が減るので、同じ利子率で均衡する所得が小さくなり、IS は左へ動きます。正解は3です。
- 1:物価が下がると実質の貨幣供給 は増え、LM は右へ動きます(向きを逆にした文)。
- 2:IS が右へ動くのは正しいですが、所得の増加で取引需要が増えるのは LM の上の移動です(上の移動とシフトを混同した文)。
- 4:同じ利子率なら大きな所得で釣り合うので、LM は右へ動きます。
- 5:利子率は縦軸の変数なので、IS の上を右下へ動くだけです。
タイプ4財源で動く曲線
財源で動く曲線(均衡予算・市中消化・中央銀行引受)
見分け方:「政府支出と同額の増税を行うと」「公債を市中消化すると」「中央銀行に引き受けさせると」のように、政府支出の財源が書かれています。公債の資産効果(このタブの下で説明)もこのタイプです。
なぜそうなるか同額の増税でも IS が右へ動く理由
政府支出を90増やす →(財市場)需要が90増える。同時に90増税する →(財市場)可処分所得が90減るが、減る消費は限界消費性向0.5の分の45だけ。差し引き需要は45増え、乗数2倍で同じ利子率の所得が90大きくなるので、IS は右へ動きます。
- 最初:IS0 と LM の交点 E0(所得450・利子率3%)
- 支出と増税:政府支出90・増税90わかること需要は90増えて消費が45減り、差し引き45。乗数2倍で同じ利子率の所得が90大きい。IS が右へ90
- 新しい交点:利子率が3.6%に上がり投資が減るわかること所得は60増えて510(E1)
使える条件:閉鎖経済で定額税のとき(政府支出と同額の増税を行ったときの乗数=均衡予算乗数が1)。シフト幅は利子率一定のときの所得の増加で、LM が右上がりなら利子率が上がって投資が減るので、交点の所得の増加はそれより小さくなります。
判定のしかた
- 1
政府支出 → IS が右へ
どの財源でも財の需要が増え、IS は右へ動きます。 - 2
増税なら幅が小さい
同額の増税は消費を減らすので、シフト幅が小さくなります。 - 3
貨幣が増えるか → LM
市中消化(民間が新しい公債を買う)では民間のお金が政府を通って民間へ戻るだけなので、公債の資産効果を考えなければ LM は動きません。中央銀行引受(中央銀行が公債を買い、新しくお金を出す)では貨幣供給が増え、LM も右へ動きます。 - 4
交点で比べる
LM が右上がりなら、所得は 中央銀行引受 > 市中消化 > 同額の増税。利子率は2本のシフト幅しだいで、中央銀行引受でも必ず下がるとはいえません。
例で確かめるこのページのモデルで政府支出を90増やし、財源を比べる
中央銀行引受では、引き受けた90がマネタリーベース(中央銀行が直接出すお金)になり、銀行の貸し出しを通じて1.5倍の貨幣供給になる(貨幣乗数1.5)とします。貨幣供給は135増え、同じ利子率なら所得が 大きくても釣り合うので、LM は右へ270動きます。
- 最初:IS0 と LM0 の交点 E0(所得450・利子率3%)
- 政府支出:90増えるわかることどの財源でも財の需要が増えるので、IS が右へ180(IS0 から IS1)
- 市中消化:民間のお金が政府を通って民間へ戻るだけで、貨幣の量は変わらないわかることLM0 のまま。交点 E1(所得570・利子率4.2%)
- 中央銀行引受:中央銀行が新しくお金を出し、貨幣供給が135増えるわかることLM も右へ270(LM0 から LM1)。交点 E2(所得660・利子率2.4%)
| 財源 | 動く曲線 | 所得 | 利子率 |
|---|---|---|---|
| 同額の増税 | IS が右へ90 | 510 | 3.6% |
| 市中消化 | IS が右へ180 | 570 | 4.2% |
| 中央銀行引受 | IS が右へ180・LM が右へ270 | 660 | 2.4% |
この数値では中央銀行引受で利子率が下がりましたが、貨幣供給が60しか増えなければ(所得610・利子率3.4%)3%より上がります。境目は貨幣供給の増加90です。
公債の資産効果(ラーナー効果・ポートフォリオ効果)
民間が持つ公債を自分の資産とみなすと、公債の残高が増えることで次の2つが起きると考えます。
| 名前 | 効く市場 | 何が増える | 動く曲線 |
|---|---|---|---|
| ラーナー効果 | 財市場 | 消費 | IS が右へ |
| ポートフォリオ効果 | 貨幣市場 | 貨幣需要 | LM が左へ |
どちらも利子率を上げますが、所得への効き方は逆なので、所得の増減は2つの大きさしだいです。
財源と国民所得の例題
自分で解いてみる市中消化での国民所得の増加の例題
選択肢を押すと、正解と解説が出ます。
正解は 4
市中消化なので貨幣供給は50のまま、IS だけが から へ動きます。LM を代入して解くと、所得は800(利子率5)から860(利子率6)へ。増加は60、正解は4です。
5の100は利子率を一定とした値()、3の40は利子率が1上がって減った投資4の乗数10倍(押しのけられた分)、2の10は乗数の掛け忘れ、1の6は、消費を可処分所得 の関数として、同額の増税でまかなった場合の値です。
タイプ5領域の判定
IS・LMで区切られた領域の判定(超過需要・超過供給)
見分け方:IS と LM(と BP)の図に点がいくつか打たれ、「財市場が超過需要で、貨幣市場が超過供給である点はどれか」と聞かれます。超過需要は需要が供給を上回る状態、超過供給はその逆です。
BP 曲線は、国際収支(経常収支と、外貨準備を除く資本の流入・流出の合計)が均衡する所得と利子率の組を結んだ線です。資本移動は、利子の高い債券を求めてお金が国境を越えて動くことで、国内の利子率が上がると外国からお金が入ります(資本の流入)。資本移動が不完全なら BP は右上がり(所得が増えて増える輸入を、資本の流入で埋める)、資本移動が無ければ垂直です。
なぜそうなるかIS の上は財が売れ残り、LM の右は貨幣が足りない理由
点が曲線のどちら側かは、真上・真下で比べても真横で比べても同じ答えになります。このページでは IS は真上・真下(利子率の高低)、LM は真横(所得の大小)で比べます。
- IS より上の点は、IS 曲線上の点と同じ所得なのに利子率が高く、投資が少ないので、財の需要が所得に届かず売れ残ります。財市場は超過供給、下は超過需要です。
- LM より右の点は、LM 曲線上の点と同じ利子率なのに所得が大きく、取引需要が多いので貨幣が足りません。貨幣市場は超過需要、左は超過供給です。
- 2本の線:IS と LM が点Eで交わり、図を4つに分ける
- 上:IS より上は利子率が高く投資が少ないわかること財は超過供給。LM より左は所得が小さく貨幣が余る → 貨幣も超過供給
- 下:IS より下は利子率が低く投資が多いわかること財は超過需要。LM より右は所得が大きく貨幣が足りない → 貨幣も超過需要
- 左:IS より下なので財は超過需要わかることLM より左で貨幣が余るので、貨幣は超過供給
- 右:IS より上なので財は超過供給わかることLM より右で貨幣が足りないので、貨幣は超過需要
判定のしかた
- 1
点から線を引く
右下がりの IS・右上がりや水平の BP へは真上か真下へ、LM と垂直な BP へは真横へ線を引き、当たった所と比べます。 - 2
IS:上なら財は超過供給
IS より上(真下に IS)は財が超過供給、下は超過需要です。 - 3
LM:左なら貨幣は超過供給
LM より左(真横の右に LM)は貨幣が超過供給、右は超過需要です。 - 4
BP:上なら国際収支は黒字
右上がり・水平の BP は、上(利子率が高く資本が流入する側)が黒字。垂直の BP は左(所得が小さく輸入が少ない側)が黒字です。
例で確かめる点F(所得320・利子率2.6%)を3本の曲線と比べる
右上がりの BP は とします。
- 点F:所得320・利子率2.6%わかること3本の曲線と1本ずつ比べる
- IS:真上に線を引くと利子率5.6%で IS に当たるわかること点Fは IS より下。利子率が低く投資が多いので財は超過需要
- LM:真横に線を引くと所得410で LM に当たるわかること点Fは LM より左。所得が小さく貨幣が余るので貨幣は超過供給
- BP:真下に線を引くと利子率1.85%で BP に当たるわかること点Fは BP より上。利子率が高く資本が流入するので国際収支は黒字
領域の判定の例題
自分で解いてみるIS・LM・BPの領域の判定の例題
選択肢を押すと、正解と解説が出ます。
正解は 3
資本移動がないので、国際収支は純輸出(輸出−輸入)だけで決まり、BP より右(輸入が多い側)が赤字です。3つの条件がそろうのは点Cで、正解は3です。
| 点 | 財市場 | 貨幣市場 | 国際収支 |
|---|---|---|---|
| A | 下:超過需要 | 右:超過需要 | 右:赤字 |
| B | 上:超過供給 | 左:超過供給 | 左:黒字 |
| C | 上:超過供給 | 左:超過供給 | 右:赤字 |
| D | 上:超過供給 | 右:超過需要 | 右:赤字 |
| E | 下:超過需要 | 左:超過供給 | 左:黒字 |
表の上・下は IS に対する位置、左・右は LM・BP に対する位置です。
Aは2つの市場をどちらも逆に、Bは BP の左右を逆に(垂直な BP は交点ではなく BP の所得と比べます)、Dは LM の左右を逆に、Eは IS の上下と BP の左右を逆に読んだ答えです。
まとめ覚えることと間違いやすい点
覚えることの表
物価が一定の短期の閉鎖経済で、IS は右下がり、LM は右上がりのときです。財源の表は公債の資産効果を考えないときです。
| 曲線 | 均衡する市場 | 傾きを決めるもの | 両端 |
|---|---|---|---|
| IS | 財市場 | 投資の利子弾力性・限界消費性向(大きいほど緩やか) | 弾力性 ∞ で水平、0 で垂直 |
| LM | 貨幣市場 | 貨幣需要の利子弾力性(大きいほど緩やか) | ∞ で水平(流動性のわな)、0 で垂直(古典派) |
| 財源(政府支出を増やす) | IS | LM | 所得の大きさ |
|---|---|---|---|
| 同額の増税 | 右(幅は小さい) | 動かない | 3つで最も小さい |
| 公債の市中消化 | 右 | 動かない | 中 |
| 公債の中央銀行引受 | 右 | 右 | 3つで最も大きい |
| 領域 | 財市場 | 貨幣市場 |
|---|---|---|
| 上(IS より上・LM より左) | 超過供給 | 超過供給 |
| 下(IS より下・LM より右) | 超過需要 | 超過需要 |
| 左(IS より下・LM より左) | 超過需要 | 超過供給 |
| 右(IS より上・LM より右) | 超過供給 | 超過需要 |
モデルの前提は「はじめに」のタブにあります。
モデルの前提の必修の1問を解くよくある間違い
| 誤りの文 | 正しくはこう |
|---|---|
| 増税で所得が減ると、LM も左へ動く | LM の上の移動。LM は動かない |
| 物価が上がると実質貨幣供給が増え、LM は右へ | M/P が減り、LM は左へ |
| 売りオペで利子率が上がり、IS が左へ | 動くのは LM(左へ)。投資の減少は IS の上の移動 |
| 均衡予算では効果が打ち消し合い、所得は変わらない | IS は右へ ΔG 動き、所得は増える |
| 市中消化でも貨幣が増え、LM が右へ | 貨幣の量は変わらず LM は動かない(公債の資産効果を考えないとき) |
| 日本銀行の国債引受けはいかなる場合も不可 | 財政法第5条は原則禁止。特別の事由があり国会の議決を経た金額の範囲では認める |
| IS 曲線上では貨幣市場も均衡している | 均衡するのは財市場だけ。所得と利子率は2つの市場で一緒に決まる |
| 貨幣市場が超過供給なら債券市場も超過供給 | 逆。資産を貨幣と債券の2つで持つなら、貨幣が余る人は債券を買いたいので債券は超過需要 |
| 国際収支は経常収支と資本収支の和 | 今の統計は経常収支・資本移転等収支・金融収支。金融収支は資産の増加をプラス、負債の増加(資本の流入)をマイナスとする。BP では「資本が流入すると黒字」と読む |











