GDPとは・三面等価
30秒でわかるGDP統計
GDP(国内総生産)は、一定期間(ふつうは1年)に国内で新しく生み出された付加価値の合計です。付加価値は、売った額(産出額)から、ほかの生産者から買った材料(中間投入)の額を引いた残りです。
生産の面
分配の面
支出の面
三面等価
付加価値は、働く人の給料や企業の利益として配られ(分配)、配られた所得は消費や投資に使われます(支出)。同じお金の流れを3か所で測るので、額がそろいます(個人企業の所得は混合所得と呼び、営業余剰と同じ欄に入れます)。表で確かめるのは「基本の図」のタブです。
試験での出方
| 地方上級 | ★★★ | 特別区Ⅰ類 | ★★ |
|---|---|---|---|
| 市役所 | ★★★ | 国家総合職 | ★ |
| 国家一般職 | ★★ | 国家専門職 | — |
定義の正誤、GDPに含まれるものの組合せ、数値の表からの集計、名目と実質の計算、ISバランス式の符号が出ます。
よく出るタイプ
GDP統計の問題は、次の4つのタイプに分けられます。カードを押すと、そのタイプの解き方に切り替わります。
基本の図三面等価の表
三面等価の表の読み方(生産・分配・支出)
木を育てる林業、木材を板にする製材所、板から家具をつくる家具工房の3者だけが生産者である小さな経済で、1年のGDPを3つの面から測ります(家計・ホテル・市役所は買い手としてだけ出てきます)。金額の単位は万円です。このページでは、この経済を「基本の経済」と呼びます。
生産の面:付加価値を足す
生産の面(万円)
| 産出額 | 中間投入 | 付加価値 | |
|---|---|---|---|
| 林業(木材) | |||
| 製材所(板) | |||
| 家具工房(家具) | |||
| 合計 |
- 林業:木材を120万円売る(製材所へ85万円、外国へ35万円)わかること買った材料は無いので、120万円すべてが付加価値
- 製材所:板を190万円売るわかること材料は国内の木材85万円と輸入した木材25万円。輸入した材料は外国で生まれた価値なので、国内の付加価値に入らない。付加価値は190−110=80万円
- 家具工房:板190万円から家具を420万円分つくるわかること付加価値は420−190=230万円
- 合計:付加価値を足すわかること120+80+230=430万円がGDP。産出額の合計730万円は、木材と板を何度も数えた額
表の見方:家具の420万円には、板の190万円がすでに入っています。産出額をそのまま足すと、板や木材を2回・3回と数えてしまいます(二重計算)。だから、各段階で新しく加わった分(付加価値)だけを足します。
分配の面:付加価値がだれに配られたか
分配の面(万円)
| 金額 | |
|---|---|
| 雇用者報酬 | |
| 営業余剰 | |
| 固定資本減耗 | |
| 税−補助金 | |
| 合計 |
- 雇用者:3者が働く人に払った給料(雇用者報酬)わかること林業60+製材所45+家具工房118=223万円
- 営業余剰:給料などを払った後に企業に残る利益わかること林業54+製材所15+家具工房62=131万円
- 減耗:機械や建物が使ってすり減った分(固定資本減耗)わかること林業12+製材所12+家具工房24=48万円
- 税:売値に上乗せされる税(生産・輸入品に課される税)34万円から、林業が受け取った補助金6万円を引くわかること28万円
- 合計:223+131+48+28わかること430万円で、生産の面と同じ
表の見方:ここでの税は、消費税や酒税のように売値に上乗せされる税です(所得税は入りません)。売値には税が上乗せされ、補助金の分だけ下がっているので、税は足し、補助金は引きます。固定資本減耗を含めた値を粗(総)、引いた値を純と呼びます。GDPは粗の値です。
支出の面:つくったものをだれが買ったか
支出の面(万円)
| 金額 | |
|---|---|
| 消費 C | |
| 投資 I | |
| 政府支出 G | |
| 輸出 X | |
| 輸入 M | |
| 合計 |
- 消費:家計が家具を250万円買うわかること消費(C)は250万円
- 投資:ホテルが客室の家具を75万円買い、家具工房に売れ残りが25万円あるわかること売れ残りも在庫投資として投資(I)に入れ、100万円
- 政府:市役所が窓口の机を70万円買うわかること政府支出(G)は70万円
- 輸出:林業が外国へ木材を35万円売るわかること国内でつくったものなので足す
- 輸入:製材所が外国の木材を25万円買うわかること国内でつくっていないので引く
- 合計:250+100+70+35−25わかること430万円で、3つの面が同じ額になる(三面等価)
表の見方:家具工房がつくった420万円は、家計250+ホテル75+市役所70+売れ残り25=420万円と、全部だれかに買われたことになります。売れ残りは「企業が自分で買った」とみなして在庫投資に入れるので、つくった額と買われた額がいつもそろいます。輸入した木材25万円は家具の値段に入って家計などに買われているので、最後に引きます。
マクロ経済学のモデルの政府支出(G)は、政府の消費と公共投資を合わせたものです。統計の項目名では、市役所の机のような設備の購入は総固定資本形成(公的固定資本形成)、行政サービスは政府最終消費支出に入ります。
GDPから国民所得・GNIへ(系列の表)
GDPの「国内」は場所、GNIの「国民」は人のことで、国籍ではなく、その国に住んで経済活動の拠点がある人や企業(居住者)を指します。基本の経済の居住者が、外国から利子や配当などの所得を18万円受け取り、外国へ6万円支払ったとします(海外からの所得の純受取は18−6=12万円)。
売値のままで測った値を市場価格表示、売値から税−補助金を除き、働いた人と企業が受け取った分(労働や資本などの生産要素への支払い)だけで測った値を要素費用表示と呼びます。
GDPから国民所得まで(万円)
| 足し引き | 金額 | |
|---|---|---|
| GDP | ||
| NDP | ||
| GNI | ||
| NNI | ||
| 国民所得 |
- GDP:国内総生産。国内で生み出された付加価値(粗・市場価格表示)わかること430万円
- NDP:国内純生産。粗から純へわかることGDPから固定資本減耗48万円を引き、382万円
- GNI:国民総所得。国内から国民へわかることGDPに海外からの所得の純受取12万円を足し、442万円
- NNI:国民純所得(市場価格表示の国民所得)わかることGNIから固定資本減耗48万円を引き、394万円
- 国民所得:要素費用表示の国民所得。市場価格から要素費用へわかることNNIから税−補助金の28万円を引き、366万円
表の見方:1回の足し引きで動く物差しは1つだけです。
| 物差し | 動かすと | 足し引きするもの |
|---|---|---|
| 粗 → 純 | GDP → NDP、GNI → NNI | 固定資本減耗を引く |
| 国内 → 国民 | GDP → GNI | 海外からの所得の純受取を足す |
| 市場価格 → 要素費用 | NNI → 国民所得 | 税−補助金を引く |
国民所得(要素費用表示)は、居住者が受け取る雇用者報酬・利子や配当などの財産所得・企業の利益の合計で、基本の経済なら雇用者報酬223+営業余剰131+純受取12=366万円と、表の最後の値に一致します。以前は国民総生産(GNP)がよく使われましたが、今の国民経済計算(SNA)ではGNPに当たる指標を国民総所得(GNI)と呼び、GDPが中心です。
タイプ1GDPに含まれるか
GDPに含まれるもの・含まれないものの判定
見分け方:「次のア〜オのうち、GDPに含まれる(計上される)ものの組合せ」「いくつあるか」と、中古品・株・土地・家事・持ち家・行政サービスのような項目が並びます。
なぜそうなるか中古品の代金は含まれず、手数料は含まれる理由
中古品は、つくられた年にその年のGDPにもう入っています。
- つくられた年:新品として売れた額がその年のGDPに入る
- 中古で売れた年:持ち主が替わるだけで、新しく生み出したものは無い → もう一度数えると二重計算
- 売買を取り次いだ業者の手数料:その年に新しく提供された仲介のサービス → その年のGDPに入る
株や土地の値上がり益も同じで、持っている資産(ストック)の値段が変わっただけです。GDPが数えるのは、その期間に生まれた量(フロー)です。
判定のしかた
- 1
見る点1:その期間の新しい生産か
中古品の代金・土地の代金・株や債券の購入額・資産の値上がり益は含まれません。仲介の手数料や、その年につくられて売れ残った製品(在庫投資)は含まれます。 - 2
見る点2:市場を通るか
通らないものは3つに分かれます。持ち家の住宅サービス(帰属家賃)と農家の自家消費は、市場価格で見積もって含めます(帰属計算)。政府の行政サービスは、市場価格が無いので費用(職員の給料など)で評価して含めます。家族が無償で行う家事・育児は含めません。 - 3
見る点3:国内か国民か
GDPは国内で生み出されたもの、GNIは居住者が受け取った所得です。日本の居住者が外国から受け取った配当はGDPに入らずGNIに入ります。
例で確かめる6つの項目に見る点を当てる
| 項目 | どの見る点で | GDPに |
|---|---|---|
| 持ち主が古い絵画を別の人に売った代金 | 1:過去の生産で、持ち主が替わるだけ | 含まれない |
| その売買を取り次いだ画廊の手数料 | 1:その年の仲介サービス | 含まれる |
| 果樹園の家族が、自分の園のりんごを食べた分 | 2:帰属計算(市場価格で) | 含まれる |
| 公立中学校の授業 | 2:費用で評価 | 含まれる |
| 親が無償で子の宿題を見る | 2:家事と同じく生産に入れない | 含まれない |
| 外国に住む人が、日本で3か月働いて得た賃金 | 3:国内での生産 | 含まれる(日本のGNIには含まれない) |
最後の項目は、日本で生み出された付加価値なのでGDPに入ります。外国人は日本に6か月以上住むと日本の居住者になりますが、3か月だけ働きに来た人は居住者ではないので、その賃金は「海外への所得の支払」になり、GNIからは外れます。
GDPに含まれるものの例題
自分で解いてみるGDPに含まれるものの例題(中古品・帰属計算)
選択肢を押すと、正解と解説が出ます。
正解は 3
含まれるのはイ・エ・オで、正解は3です。
| 項目 | 見る点 | GDPに |
|---|---|---|
| ア 中古車の代金 | 1:5年前の生産で、持ち主が替わるだけ | 含まれない |
| イ 宿泊料 | 3:日本のホテルが国内で提供したサービス | 含まれる |
| ウ 家族の料理 | 2:無償の家事 | 含まれない |
| エ 図書館 | 2:費用で評価 | 含まれる |
| オ 持ち家 | 2:帰属計算(帰属家賃) | 含まれる |
イは払ったのが外国に住む人でも、サービスを生み出したのは国内のホテルなので含まれます(統計ではサービスの輸出に当たります)。1は中古車の代金も入れた組、2は外国に住む人の支払いを国内の生産でないとして外した組、4は市場価格の無い図書館を外した組、5は家事も市場の料金で見積もって入れた組です。
タイプ2GDP系列の集計
GDP・国民所得の求め方(付加価値と系列の集計)
見分け方:生産者ごとの産出額と中間投入の表か、消費・輸出・固定資本減耗・税などが混ざった表があり、「GDPはいくらか」「国民所得はいくらか」と聞かれます。
なぜそうなるか表の項目を振り分けてから足す理由
表には、支出の面の項目・分配の面の項目・どちらにも入らない項目(株や土地の購入額、中古品の代金)が混ぜてあります。同じGDPを測る式でも、使う項目は面ごとに別です。統計の項目名は次のように C・I・G に当たります。
- 支出の面で使う:消費 C=民間最終消費支出、投資 I=総固定資本形成(機械・建物・住宅を新しく買う支出)+在庫変動(基本の図の在庫投資)、政府支出 G=政府最終消費支出(と公的固定資本形成)、輸出 X、輸入 M
- 分配の面で使う:雇用者報酬・営業余剰・混合所得・固定資本減耗・税・補助金
- GDPの後で使う:海外からの所得(国内 → 国民)
固定資本減耗を支出の面に足すと、総固定資本形成にすでに入っている分を二重に数えます。
使える条件:統計上の不突合が0のとき。理屈の上では3つの面は同じ額ですが、実際の統計は面ごとに別の資料から集めるので少しずれます。このずれを統計上の不突合と呼び、試験ではふつう0とします。2本目の国民所得は要素費用表示です。ここでの税は生産・輸入品に課される税、純受取は海外からの所得の純受取(受取 − 支払)です。生産者の表なら、GDPは産出額 − 中間投入の合計で、雇用者報酬は引きません(付加価値の中から払われる分だからです)。
解き方の手順
- 1
項目を振り分ける
表の各項目に「支出」「分配」「海外」「使わない」の印を付けます。 - 2
GDPを出す
支出の面なら輸入を引き、分配の面なら税を足して補助金を引きます。 - 3
1段ずつ動かす
聞かれた指標まで、基本の図の系列の表の順に、物差しを1つずつ動かします。
例で確かめる使わない項目が混ざった表から国民所得を出す
ある国の表(兆円):民間最終消費支出280、総固定資本形成90、在庫変動5、政府最終消費支出100、財・サービスの輸出70、財・サービスの輸入65、固定資本減耗85、生産・輸入品に課される税40、補助金4、海外からの所得の純受取15、土地の購入額30。
| 段 | 計算 | 値 |
|---|---|---|
| GDP(支出の面) | 280+90+5+100+70−65 | 480兆円 |
| GNI | 480+15 | 495兆円 |
| NNI | 495−85 | 410兆円 |
| 国民所得(要素費用表示) | 410−(40−4) | 374兆円 |
土地の購入額は、土地が生産されたものではないので使いません。NDPを聞かれたら 兆円です。
GDP系列の例題
自分で解いてみる国民純所得(NNI)の求め方の例題
選択肢を押すと、正解と解説が出ます。
正解は 2
GDPは 兆円、純受取は 兆円です。
| 段 | 計算 | 値 |
|---|---|---|
| GDP | 支出の面の合計 | 531兆円 |
| GNI | 531+25 | 556兆円 |
| NNI | 556−100 | 456兆円 |
正解は2です。1の431兆円は純受取を足し忘れた国内純生産(NDP)、3の471兆円は受取40兆円だけを足して支払を引き忘れた値、4の551兆円は輸入を引かずに出した値、5の556兆円は固定資本減耗を引く前のGNIです。
タイプ3名目と実質・物価指数
実質GDPとGDPデフレーターの求め方(物価指数)
見分け方:基準年と比較年の価格・数量の表か、名目GDP・実質GDP・GDPデフレーターの数が出てきます。「ラスパイレス」「パーシェ」「実質成長率」の語があれば、このタイプです。
名目GDPはその年の価格で測った額、実質GDPは基準年の価格で測り直した額(物価が変わらなかったとした額)です。物価の水準を基準年=100で表した数を物価指数と呼びます。名目GDPを実質GDPで割って100を掛けた数をGDPデフレーターと呼びます。GDPに入るすべての品目の物価指数で、基準年は名目=実質なので100です。なお、三面等価は名目の値の関係で、実質の値では成り立ちません(外国との取引の価格の比〔交易条件〕が変わると、所得の面の実質値が実質GDPと交易利得の分だけずれるためです)。
なぜそうなるかGDPデフレーターがパーシェ型になる理由
物価指数は、品目ごとの値上がりを、それぞれ何個分として数えるか(重み)を決めて合計し、比べたものです。どの年の数量を重みに使うかで、名前が変わります。
- 名目GDP:比較年の価格 × 比較年の数量
- 実質GDP:基準年の価格 × 比較年の数量
- 割ると:数量は比較年のままで、価格だけを比べた比 → 比較年の数量で重みをつけるパーシェ型(基準年を固定して実質GDPを計算する場合。日本の公表値は前年を基準につなぐ連鎖方式)
消費者物価指数や企業物価指数(企業どうしが取引するモノの物価)は逆に、基準年の品目と数量を固定するラスパイレス型です。値上がりした品から別の品への切り替えを映さないので、上がり方を大きめに測りがちです。パーシェ型は切り替えた後の数量で測るので、小さめに出がちです。
記号の は価格、 は数量で、添字の0が基準年、1が比較年です。(シグマ)は「すべての品目について足す」という意味で、たとえば は「比較年の価格と基準年の数量の積」を品目ごとに出して足した額です。3本目は変化率の足し算です(くわしくはマクロで使う計算)。2つの数の積の変化率は、それぞれの変化率の和で近似でき(商なら差)、名目=物価 × 実質なので、実質の伸び ≒ 名目の伸び − 物価の伸びです。使える条件:変化率が数%程度と小さいとき(大きいほど近似はずれます)。
解き方の手順
- 1
固定する数量を決める
実質GDPとパーシェは比較年の数量、ラスパイレスは基準年の数量です。 - 2
価格だけを入れ替える
分子は比較年の価格、分母は基準年の価格で、数量は同じ年のものを使います。品目ごとに価格と数量を掛けて足します。 - 3
成長率は変化率どうしを引く
変化率は前年の値を分母にします。指数のポイントの差(126−120=6など)は変化率ではないので、前年の指数で割り直します。
例で確かめるコーヒーとサンドイッチだけの経済
| 基準年 | 比較年 | |
|---|---|---|
| コーヒーの価格 | 200円 | 300円 |
| コーヒーの数量 | 60杯 | 60杯 |
| サンドイッチの価格 | 400円 | 400円 |
| サンドイッチの数量 | 20個 | 30個 |
| 指標 | 計算 | 値 |
|---|---|---|
| 名目GDP(基準年) | 200×60+400×20 | 20,000円 |
| 名目GDP(比較年) | 300×60+400×30 | 30,000円 |
| 実質GDP(比較年) | 200×60+400×30 | 24,000円 |
| GDPデフレーター | 30,000÷24,000×100 | 125 |
| ラスパイレス物価指数 | (300×60+400×20)÷20,000×100 | 130 |
値上がりしたのはコーヒーだけで、比較年はサンドイッチを20個から30個に増やしています。パーシェ(=GDPデフレーター)は比較年の数量を重みにするので、値上がりしていないサンドイッチの割合が大きくなり、全体の値上がりは小さく出ます(125)。ラスパイレスは基準年の少ない数量のままなので、コーヒーの値上がりが大きく効きます(130)。
名目GDPは20,000円から30,000円へ 倍で、伸びは50%です。基準年のデフレーターは100なので、比較年の125まで物価の伸びは25%です。近似では実質の伸びは % ですが、実質GDPは20,000円(基準年は名目と同じ)から24,000円へ 倍なので、正しくは20%増です。変化が大きいと近似はずれます。
GDPデフレーターの例題
自分で解いてみるGDPデフレーターの求め方の例題(成長率の近似)
選択肢を押すと、正解と解説が出ます。
正解は 5
名目成長率は で3%です。物価上昇率 ≒ 名目成長率 − 実質成長率 = % なので、当年のデフレーターは です。正解は5です。
| 項目 | 前年 | 当年 | 変化率 |
|---|---|---|---|
| 名目GDP | 400兆円 | 412兆円 | 3% |
| 実質GDP | −2% | ||
| GDPデフレーター | 120 | 126 | 5% |
1は引く向きを逆にして(%) とした値、2は実質成長率を足して(%) とした値、3は実質成長率を使わず、名目の伸び3%をそのまま物価の伸びとした値、4は5%を5ポイントと取り違えて とした値です。
タイプ4ISバランス式と国際収支
ISバランス式と国際収支の恒等式
見分け方:民間の貯蓄(S)と投資(I)、租税(T)と政府支出(G)、輸出(X)と輸入(M)のうち2つの部門の収支から、残りの部門の収支や符号を聞かれます。「金融収支」「資本移転等収支」の語があれば国際収支の恒等式です。
なぜそうなるかISバランス式が所得の使い道と支出の面から出る理由
ここでは海外からの所得・固定資本減耗・税−補助金の違いを無視して、GDPと国民所得を同じ とみなします(マクロ経済学のモデルではふつうこう扱います)。
- 所得の使い道(総供給の側):(所得は消費・貯蓄・税に分かれる)
- 支出の面:
- 2つの右辺が等しく、消費 が両方にある → 消すと
- 移項すると
左から、民間の貯蓄超過・財政収支・経常収支で、どれも黒字(受け取りが多い)をプラスと読みます。どちらの側で測っても は同じ額なので、この式は景気にかかわらずいつも成り立つ恒等式です。
使える条件:経常収支のうち、輸出−輸入(純輸出 )以外の部分(海外との所得のやり取り)が無いとき。問題文に「経常収支は財・サービスの純輸出に等しい」のような断りがあります。
国際収支は、今の統計では経常収支・資本移転等収支・金融収支に分けます。経常収支は、モノの輸出入(貿易収支)、旅行や輸送などのサービスの輸出入(サービス収支)、外国との利子・配当・賃金のやり取り(第一次所得収支)、見返りの無い送金や援助(第二次所得収支)の合計です。資本移転等収支は、道路や港の建設への無償の援助などです。誤差脱漏は、統計の集め漏れを埋める調整の項目です。金融収支は居住者の対外資産の純増から対外負債の純増を引いたもので、資産が増えるとプラスです。
経常収支の黒字で受け取った代金は、外国の預金や債券のような対外資産として持つことになるので、経常収支の黒字と金融収支のプラスはおおむね見合います。
判定のしかた
- 1
向きをそろえる
・・ は、どれも黒字(貯蓄超過)がプラスです。 や の形で書かれていたら、符号を逆にしてから入れます。 - 2
2つから残りを出す
2つの部門の値か符号が分かれば、残りが決まります。片方だけで「黒字になる」とは言えません。 - 3
金融収支は資産か負債か
居住者が外国の株や債券を買えば対外資産が増えてプラス、非居住者(外国に住む人や企業)が日本の国債を買えば対外負債が増えてマイナスの向きです。保有資産の値上がりは取引ではないので入りません。
例で確かめるISバランスと金融収支を数で確かめる
国民所得450兆円、消費280兆円、租税70兆円、民間投資85兆円、政府支出80兆円の国では、民間貯蓄は 兆円です。
| 部門 | 計算 | 収支 |
|---|---|---|
| 民間 | 100−85 | 15兆円の貯蓄超過 |
| 政府 | 70−80 | 10兆円の赤字 |
| 経常収支 | 15+(−10) | 5兆円の黒字 |
国際収支なら、貿易収支+6、サービス収支−4、第一次所得収支+25、第二次所得収支−3(兆円)の国の経常収支は 兆円です。恒等式の金融収支を右辺に移すと「金融収支 = 経常収支 + 資本移転等収支 + 誤差脱漏」になるので、資本移転等収支が−2、誤差脱漏が+3なら、金融収支 = 兆円(プラス=対外資産が増えた)です。
ISバランス式の例題
自分で解いてみるISバランス式の例題(経常収支)
選択肢を押すと、正解と解説が出ます。
正解は 4
で、10兆円の黒字です。正解は4です。
| 部門 | 収支 |
|---|---|
| 民間 | +30兆円 |
| 政府 | −20兆円 |
| 経常収支 | +10兆円 |
1は民間を の逆向きで入れた値()、2は民間部門を落として財政収支だけを答えた値、3は両方の向きを逆にした値()、5は財政を の向きで入れた値()です。
まとめ覚えることと間違いやすい点
覚えることの表
GDPに含まれるか:含まれないのは中古品・土地・株の代金と値上がり益、家族の無償の家事。含まれるのは仲介手数料、帰属計算する持ち家の住宅サービス・農家の自家消費、費用で評価する行政サービス、家事代行業者への料金です。
指標と物差し
| 指標 | 粗か純か | 国内か国民か | 表示 |
|---|---|---|---|
| GDP | 粗 | 国内 | 市場価格 |
| NDP | 純 | 国内 | 市場価格 |
| GNI | 粗 | 国民 | 市場価格 |
| NNI | 純 | 国民 | 市場価格 |
| 国民所得 | 純 | 国民 | 要素費用 |
物価指数(基準年を固定して計算するとき)
| 指数 | 重みの数量 | 型 | 偏り |
|---|---|---|---|
| 消費者物価指数・企業物価指数 | 基準年 | ラスパイレス | 上がり方を大きめに測りがち |
| GDPデフレーター | 比較年 | パーシェ | 上がり方を小さめに測りがち |
よくある間違い
| 誤りの文 | 正しくはこう |
|---|---|
| GDPは各生産者の産出額の合計 | 付加価値(産出額 − 中間投入)の合計。産出額を足すと二重計算 |
| 付加価値を出すとき、雇用者報酬も引く | 引くのは中間投入だけ。雇用者報酬は付加価値の一部 |
| 中古品の売買は、仲介の手数料も含めてGDPに入らない | 代金は入らないが、手数料は入る |
| 持ち家や行政サービスは、代金を払わないので含まれない | 持ち家は帰属計算、行政サービスは費用で評価して含める |
| 家事労働も、家事代行の料金で見積もって含める | 家族の無償の家事は含めない。業者に払えば含める |
| 分配の面で、補助金を足し、税を引く | 税を足し、補助金を引く |
| GNIは、GDPから海外からの所得の純受取を引いたもの | 足したもの。純受取が正ならGNIのほうが大きい |
| 外国籍の人の賃金は日本のGNIに入らない | 国籍でなく居住者かどうかで決まる |
| 実質GDPは、比較年の価格に基準年の数量を掛ける | 基準年の価格に比較年の数量を掛ける |
| GDPデフレーターはラスパイレス型 | 名目÷実質で求まるパーシェ型(基準年を固定する場合) |
| 実質成長率 ≒ 名目成長率 + 物価上昇率 | 名目成長率 − 物価上昇率 |
| 実質のGDPでも三面等価が成り立つ | 実質では成り立たない。所得の面の実質値は、交易利得の分だけ実質GDPとずれる |
| 財政が赤字なら経常収支も赤字 | 民間の貯蓄超過が赤字より大きければ経常収支は黒字 |
| 居住者が外国の株を買うと、資本が流出するので金融収支はマイナス | 対外資産が増えるのでプラス。流出をマイナスとするのは見直し前(2014年より前)の資本収支の約束 |











