長文読解 大問1

本文 約816字・小問5問

00:00

次の文章を読んで、問1〜問5に答えなさい。

1
仕事の値打ちは、たいていの場合、目に見える量で測られる。いくつ作ったか、何件を片づけたか、どれだけ短い時間でやり終えたか。こうした数は誰にでも読めるうえ、ほかの人の仕事とも並べて比べられる。だから働く場の多くは、この数え方を長いあいだ物差しとして使い、人の働きぶりもそれで見比べてきた。
2
ある集合住宅に、共用の階段の掃除を受け持っている人がいる。その人は、毎朝決まったころに手すりにつかまって階段を降りてくる年配の住人がいることを知っている。そこで、その住人が降りてくる前に手すりを拭き終えられるよう、建物の中を回る順を決めている。拭いた長さも費やした時間も、順を決める前と比べて少しも変わってはいない。[ア]この仕事の急所は時計の側にあるのだ。
3
量の物差しは、誰の仕事にも同じ目盛りを当てるので、公平だと受け取られやすい。(⁠ ⁠イ⁠ ⁠)、その公平さは、手当てが誰の暮らしのどこへ届いたかを問わずにおくことで成り立っているにすぎない。先の掃除の人がわざわざ順を組みかえた理由は、目盛りのどこにも刻まれていない。物差しが写し取るのは、どれだけ手を動かしたかという分量までであり、その手がどこへ向かったかには及ばない。
4
手当てが届く先は、その一人の住人で行き止まりにはならない。拭き終えた手すりは住人の足どりを支え、離れて暮らす家族が抱く心配をやわらげ、同じ階段を使う子どもの手にも触れる。[ウ]そうした広がりは、拭いた長さや費やした時間をいくら数えても、その数のどこにも記されない。数の上では、手当ての[エ]タイショウが誰であっても、同じ一回の掃除として扱われるからだ。
5
仕事の値打ちは、その手当てが誰の暮らしのどこへ、どこまで届いているかによって定まる。窓口で書類を受け付ける仕事も、荷を運ぶ仕事も、献立を考える仕事も、その届き先を抜きにして値打ちを語ることはできない。仕事を測るとは、本来、手当てが行き着いた先の暮らしを一つずつたどり、その道筋を確かめることなのである。

問1

中級
本文中の[ア]について、筆者はどのようなことを述べているか。正しいものを、1〜5の中から選びなさい。

問2

中級
本文中の空欄(⁠ ⁠イ⁠ ⁠)に入る語として正しいものを、1〜5の中から選びなさい。

問3

中級
本文中の[ウ]の「そうした」が指す内容として正しいものを、1〜5の中から選びなさい。

問4

初級
本文中の[エ]のカタカナを漢字に直したとき、正しいものを、1〜5の中から選びなさい。

問5

上級
本文の主旨として最も適切なものを、1〜5の中から選びなさい。