長文読解 大問3

本文 約824字・小問5問

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次の文章を読んで、問1〜問5に答えなさい。

1
乗り物が速くなるにつれて、同じ道のりを行くのにかかる時間は短くなってきた。遠くの町へも、以前よりずっと気軽に、日帰りで出かけられるようになっている。こうした変化は、ふつう、移動が便利になったこととして語られる。待つ時間が減り、そのぶんを別のことに回せるようになったという見方である。乗り物を選ぶときに、どれだけ早く着くかが真っ先に比べられるのも、その表れだろう。だが、速さが増すにつれて、移動の中でしだいに細っていくものがある。
2
たとえば、隣町までの同じ道を、歩き、自転車、車と乗り方を変えて行ってみるとよい。歩いて行けば、店先の人に声をかけられて足をゆるめ、畑の作物の育ち具合もずいぶん細かなところまで見て取れる。自転車では、声をかけられることはほとんどなくなるが、畑ごとに色が違うことはまだはっきり分かる。車になると、畑は窓の外で一続きの緑の帯になり、一枚一枚の区別もつかなくなる。道のりは同じでも、速くするたびに、目も足も止めずに過ぎる場所が一段ずつ増えていく。
3
同じことは、隣町への一度きりの道のりに限らず、毎日の通勤や買い物の行き来でも起きている。速い乗り物に乗る人にとって、途中の土地は、名前も様子も知らないまま過ぎていく区間になりやすい。何度そこを通っても、その区間に何があるのかを確かめる機会は、ほとんど訪れない。乗る人はその区間を、着くまでの時間をやり過ごしながら過ごすことになる。[ア]道のりの途中が、地図の上の空白に近づいていくのである。
4
速い乗り物の中では、窓の外の何かに目が留まっても、確かめ直すころにはもう見えなくなっている。(⁠ ⁠イ⁠ ⁠)、乗る人はしだいに、途中の景色に目を向けること自体をしなくなる。窓の外のあちこちに向いていた注意は、着いてから何をするかという一つの事柄へ[ウ]収束していく。こうして、移動が速くなるほど、道中は、何かに出会う経験としての厚みを少しずつ失っていく。速さが一段増すたびに、その痩せ方もまた一段ずつ進んでいくのである。

問1

中級
本文中の[ア]について、筆者はどのようなことを述べているか。正しいものを、1〜5の中から選びなさい。

問2

初級
本文中の空欄(⁠ ⁠イ⁠ ⁠)に入る語として正しいものを、1〜5の中から選びなさい。

問3

中級
本文の内容と一致するものを、1〜5の中から選びなさい。

問4

中級
本文中の[ウ]の語句は、ここではどのような意味で使われているか。正しいものを、1〜5の中から選びなさい。

問5

上級
本文の主旨として最も適切なものを、1〜5の中から選びなさい。