三角形の性質とは・三平方の定理
30秒でわかる三角形の性質
三角形の性質の問題は、三角形の長さ・面積・角度を求める問題です。多くは補助線を1本引いて直角三角形を作り、次の道具で解きます。
三平方の定理
特別な直角三角形の辺の比
三角形の面積
斜辺は、直角の向かいにある辺で、3辺のうち一番長い辺です。三平方の定理は「直角を挟む2辺をそれぞれ2回掛けて足すと、斜辺を2回掛けた数になる」という意味で、 です。
逆も成り立ちます。3辺の長さで が成り立てば、その三角形は の向かいの角が直角です(三平方の定理の逆。タイプ4で使います)。
- ( の2乗)は のことです。 です。
- √(ルート)は「2回掛けるとその数になる正の数」です。 は約1.41、 は約1.73です。
- ∠A(角A)は頂点Aのところの角です。∠BAC は辺ABと辺ACが作る角で、真ん中の文字が頂点です。∠CAB と書いても同じ角です。
特別な直角三角形の辺の比(30°・60°・90° と 45°・45°・90°)
3つの角が30°・60°・90°の三角形と、45°・45°・90°の三角形は、角を見ただけで3辺の比が決まります。この単元で一番よく使う道具です。
- 45°・45°・90°(直角二等辺三角形):正方形を対角線で半分にした形です。1辺1の正方形の対角線は、三平方の定理で です。
- 30°・60°・90°:1辺2の正三角形を半分にした形です。斜辺は2、一番短い辺(30°の向かい)は半分の1、残りの辺は です。30°の向かいの辺は斜辺の半分と覚えます。
相似は、形が同じで大きさだけが違うことです。三角形は、3つの角がそれぞれ等しければ相似で、3辺の比も等しくなります。だから30°・60°・90°の三角形は、どんな大きさでも辺の比が です。
試験での出方
| 国家総合職 | ★★☆ | 東京都 | ★★☆ |
|---|---|---|---|
| 国家一般職 | ★☆☆ | 特別区 | ★☆☆ |
| 国家専門職 | —ほぼ出ていない | 地方上級 | —ほぼ出ていない |
| 市役所 | —ほぼ出ていない | ||
ここで使う三平方の定理と辺の比は、線分比・図形の計量・円の単元の土台になるので、図形の単元の最初に読んでおきたい単元です。
よく出るタイプ
三角形の性質の問題は、次の4つのタイプに分けられます。カードを押すと、そのタイプの解き方に切り替わります。
タイプ1三平方+垂線+方程式
三角形の性質の解き方(三平方+垂線+方程式)
見分け方:問題文に3辺の長さだけが書いてあり、高さも角度も書いてありません。それなのに面積を聞かれます(台形で4辺だけが分かっているときも、上の辺の両端から垂線を下ろせば同じ手順で解けます)。
垂線は、ある点から直線へ垂直に下ろした線です。垂線と直線が交わる点を垂線の足と呼びます。
解き方の手順
- 1
頂点から垂線を下ろす
一番長い辺を底辺にして、向かいの頂点から垂線を下ろします。三角形が2つの直角三角形に分かれます。 - 2
垂線の足までを x、高さを h とおく
底辺の左の部分を 、右の部分を「底辺の長さ 」、垂線の長さ(高さ)を とおきます。 - 3
h² を2通りに書いて等しいとおく
左と右の直角三角形で、それぞれ「斜辺の2乗 − 底の部分の2乗」で を書きます。同じ なので等しいとおくと、両辺の が消えて、 だけの式になります。 - 4
高さを出して面積に戻す
から を出し、底辺×高さ÷2 で面積にします。 や で止めないようにします。
例で確かめる3辺が10cm・17cm・21cmの三角形の面積
AB=10cm、AC=17cm、BC=21cmの三角形ABCの面積を求めます。AからBCに垂線AHを下ろします。
- BH= cm とすると、HC= cm です。
- 左の直角三角形ABHは斜辺がAB=10なので、 です。
- 右の直角三角形ACHは斜辺がAC=17なので、 です。 は で、かっこを外して掛け広げる(展開する)と です。これをかっこごと引いて、 です。
- 2つを等しいとおくと 。 が両辺から消えて 、 です。
- なので cm。面積は cm² です。右の三角形でも になり、合っています。
三角形の性質の問題:例題1(三辺から面積)
自分で解いてみる三角形の性質の例題1(三平方+垂線+方程式)
選択肢を押すと、正解と解説が出ます。
正解は 2
AからBCに垂線AHを下ろし、BH= cm、AH= cm とおきます。HC= cm です。
左の三角形ABHで 、右の三角形ACHで です。等しいとおくと 、、 です。
で、 なので cm です。面積は cm² です。
408cm²は2で割り忘れた値です。212.5cm²はABの25cmを、221cm²はACの26cmを高さにした値で、斜めの辺は高さではありません。
タイプ2特別角の辺の比
三角形の性質の解き方(特別角の辺の比)
見分け方:問題文や図に、30°・45°・60°・120°・135°・150°のような角が書いてあります。正方形や正三角形が出てくる問題も、45°や60°が隠れているのでこのタイプです。90°より大きい角を鈍角といいます(120°・135°・150°など)。
解き方の手順
- 1
特別な角を持つ直角三角形を作る
特別な角を挟む2辺のうち、長さの分かっている辺の端の頂点から、もう1つの辺へ垂線を下ろします。すると、長さの分かっている辺が斜辺で、特別な角を持つ直角三角形ができます。 - 2
鈍角なら外側に作る
120°・135°・150°のときは、辺を三角形の外へ延ばし(延長線)、そこへ垂線を下ろします。外側にできる角は 180°−120°=60°、180°−135°=45°、180°−150°=30° です。 - 3
辺の比で高さを出す
下の表のように、斜辺に決まった数を掛けると高さが出ます。 - 4
面積に戻す
底辺×高さ÷2 で面積にします。高さは「底辺を延ばした直線まで、垂直に測った長さ」なので、三角形の外に下ろした垂線もそのまま高さに使えます。
| 与えられた角 | 垂線でできる直角三角形 | 高さ(斜辺の何倍か) |
|---|---|---|
| 30°・150° | 30°・60°・90° | 倍 |
| 45°・135° | 45°・45°・90° | 倍(斜辺 ÷ ) |
| 60°・120° | 30°・60°・90° | 倍 |
例で確かめる60°を挟む2辺が8cmと5cm
三角形ABCで、AB=8cm、AC=5cm、∠A=60°です。面積を求めます。BからACに垂線BHを下ろします。
- 三角形ABHは ∠A=60°、∠H=90° なので、残りの∠ABHは 180°−60°−90°=30° で、30°・60°・90°の三角形です。
- 斜辺はAB=8cmです。30°の向かいの辺AHは斜辺の半分で4cm、60°の向かいの辺BHは cm です(比 の「1」が4cm)。
- ACを底辺、BHを高さとして、面積は cm² です。
三角形の性質の問題:例題2(鈍角の三角形)
自分で解いてみる三角形の性質の例題2(特別角の辺の比)
選択肢を押すと、正解と解説が出ます。
正解は 2
∠CABは鈍角なので、辺CAをAの先へ延ばし、Bからその延長線へ垂線BHを下ろします。Aのところで、延長線AHと辺ABが作る角は 180°−135°=45° です。
三角形ABHは45°・45°・90°なので、斜辺AB= を で割って、BH=AH=4cm です。CAを底辺とすると高さはBHの4cmで、面積は cm² です。
cm²はABの cmをそのまま高さにした値、28cm²は2で割り忘れた値です。 cm²は、45°の三角形に「30°の向かいの辺は斜辺の半分」を当てて、高さを cmとした値です。
タイプ3内接円と接線の性質
三角形の性質の解き方(内接円と接線)
見分け方:問題文に「3辺すべてに内側から接する円」「円が内接している」と書いてあり、円の半径が与えられます。多くは直角三角形です。
円と直線が1点だけで触れていることを接するといい、その直線を接線、触れている点を接点と呼びます。三角形の3辺すべてに接する円が内接円です。使う性質は2つです。
直角三角形の内接円では、直角の頂点・2つの接点・円の中心でできる四角形を見ます。直角の頂点の角は90°、接点の2つの角は「接点を通る半径は接線と垂直」から90°、残りの角も90°です。となり合う2辺がどちらも半径なので、この四角形は正方形です。だから、直角の頂点から2つの接点までは、どちらも半径と同じ長さです。
解き方の手順
- 1
接点で辺を区切る
3辺をそれぞれ接点で2つに分けます。直角の頂点から接点までは、半径と同じ長さです。 - 2
等しい接線に同じ数・文字を書く
1つの頂点から出る2本の接線は同じ長さなので、同じ数を書きます。分からない長さは とおきます(接線の長さでも斜辺でもかまいません)。 - 3
三平方の定理か周の長さで式を立てる
3辺を数と で表して三平方の定理に入れます。斜辺と半径が分かっていれば、直角を挟む2辺の和=半径+半径+斜辺 です。 - 4
面積は「半径×周÷2」でも出る
中心から3つの頂点へ線を引くと、三角形は3つに分かれます。どれも元の辺を底辺にすると、高さは接点までの半径です(半径は辺と垂直なので)。3つを足すと 半径×(3辺の合計)÷2 で、3辺の合計を周の長さといいます。
例で確かめる半径4cm、ABが9cmの直角三角形
∠A=90°の直角三角形ABCに、半径4cmの円が内接しています。AB=9cmのとき、斜辺BC・辺ACと面積を求めます。接点は、AB上をD、AC上をE、BC上をFとし、斜辺BCを cm とおきます。
- 直角の頂点Aから接点D・Eまでは半径と同じ4cmです。DB=9−4=5cm です。
- Bから引いた2本の接線BDとBFは等しいので、BF=5cm です。斜辺は cm なので、CF= cm です。
- Cから引いた2本の接線CFとCEも等しいので、CE= cm。AC=AE+EC= cm です。
- 三平方の定理から 。展開すると で、 が消えて 、 です。
- 斜辺BC=41cm、AC=40cm( の組)で、面積は cm² です。
三角形の性質の問題:例題3(内接円の半径と斜辺)
自分で解いてみる三角形の性質の例題3(内接円と接線の性質)
選択肢を押すと、正解と解説が出ます。
正解は 3
接点を、AB上をD、AC上をE、BC上をFとします。直角の頂点Aから接点までは半径と同じなので、AD=AE=6cm です。
接線の長さは等しいので BD=BF、CE=CF です。だから AB+AC=(6+BD)+(6+CE)=12+(BF+CF)=12+29=41cm です。周は cm で、面積は 半径×周÷2= cm² です(2辺は20cmと21cmで、 と一致します)。
174cm²は、AB+AC を出すときに半径2つ分の12cmを足し忘れ、AB+AC を斜辺と同じ29cm(周58cm)とした値です。420cm²は2で割り忘れた値です。
タイプ4格子上の角度
三角形の性質の解き方(格子上の角度)
見分け方:問題文に「同じ大きさの正方形を並べたマス目」があり、マス目の線が交わる点(格子点)を結んでできた2つの角の和を聞かれます。1つずつは半端な大きさに見える角です。
形も大きさも同じ図形を合同といいます。三角形をずらしても(平行移動)、回しても、角の大きさは変わりません。
解き方の手順
- 1
片方の三角形を、もう片方の角の隣へずらす
片方の三角形と合同な三角形を、マス目に沿ってずらしてかき、2つの角が同じ頂点で隣り合うようにします。マス目に沿ってずらせば、頂点は格子点に乗ります。 - 2
合わせた角を含む三角形を作る
合わせた角の両側の線の端の点(下の例ではCとG)を結び、三角形を作ります。 - 3
辺の長さを三平方の定理で出す
1ますを1とします。横に3ます・縦に2ます進む線は、横3・縦2を直角を挟む2辺とする直角三角形の斜辺なので、長さは です。 - 4
直角二等辺三角形なら45°
2辺が等しく、その2乗の和が残りの辺の2乗と等しければ、直角二等辺三角形です(三平方の定理の逆)。合わせた角は45°です。
例で確かめる∠BACと∠EDFの和
下のマス目で、∠BAC と ∠EDF を足すと何度になるかを調べます。
- 三角形DEFを、Dが点Aに重なるように下へ4ますずらします。Fは辺AB上の点H(Aから右へ4ます)、Eは点G(Hの真下へ3ます)にきます。ずらしても角の大きさは変わらないので、∠HAG=∠EDF です。∠HAGは∠BACのすぐ下に並ぶので、2つの角の和は∠CAGです。
- 三角形AGCの辺を出します。AGは横4ます・縦3ますで 、GCは横3ます・縦4ますで 、ACは横7ます・縦1ますで です。
- なので、三平方の定理の逆から ∠AGC=90° です。AG=GC でもあるので三角形AGCは直角二等辺三角形で、∠CAG=45° です。
三角形の性質の問題:例題4(格子上の角の和)
自分で解いてみる三角形の性質の例題4(格子上の角度)
選択肢を押すと、正解と解説が出ます。
正解は 2
三角形DEFを、Dが点Aに重なるように左へ1ます・下へ5ますずらすと、Fは辺AB上の点H(Aから右へ4ます)、Eは点G(Hの真下へ1ます)にきます。∠HAG=∠EDF なので、∠BAC+∠EDF=∠CAG です。
AGは横4ます・縦1ますで 、GCは横1ます・縦4ますで 、ACは横5ます・縦3ますで です。 なので ∠AGC=90°、AG=GC なので三角形AGCは直角二等辺三角形で、∠CAG=45° です。
90°は三角形AGCの直角(∠AGC)を答えた値です。60°は、AG=GC だけを見て三角形AGCを3辺の等しい正三角形と思い込んだ値で、ACは なので長さが違います。
まとめ間違いやすい点
よくある間違い
斜辺と、直角を挟む辺を取り違える
直角を挟む2辺が6cmと8cmなら、斜辺は cm です。斜辺が10cmで1辺が8cmなら、残りの辺は cm で、 ではありません。
√2・√3 を付ける辺を間違える
が付くのは45°・45°・90°の斜辺、 は30°・60°・90°の60°の向かいの辺です(はじめにの図)。45°・45°・90°で斜辺が6cmなら、直角を挟む辺は です。分母と分子に を掛けると cm になります( だからです)。30°・60°・90°で斜辺が10cmなら、短い辺は半分の5cm、長い辺は cm です。
鈍角の三角形に、そのまま辺の比を当てる
鈍角は直角三角形の中の角になれないので、辺を延ばして外側に60°・45°・30°の直角三角形を作ります(タイプ2の例題)。
かっこを付けずに引いて、符号を間違える
は です。かっこを付けずに とすると、反対側の と消し合わず、式が解けなくなります。 が両辺で消えないときは、展開を見直す合図です。
図の見た目で角度や長さを決める
試験の図は正確とは限りません。格子の角も、見た目で45°と決めず、辺の長さを三平方の定理で出して確かめます。
時間と捨てる判断
- 特別な直角三角形の辺の比だけで済む問題や、三平方の定理を1回使うだけの問題は、1〜2分で取りたい問題です。
- 垂線を下ろして方程式を立てる問題・内接円の問題・格子の角の問題は、式や補助線が見えれば2〜3分で解けます。2分ほど考えても補助線が決まらなければ、後回しにする手もあります。
- 選択肢に√が無ければ、、、 のような3辺が整数の直角三角形を疑うと、方程式を解く前に見当が付くことがあります。
- 迷ったら「どこに垂線を下ろせば直角三角形ができるか」に戻りましょう。どのタイプもここから始まります。
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