円と接線の計量とは・接線の2つの性質
30秒でわかる円と接線
接線は、円と1点だけで触れる直線です。触れている点を接点といいます。円と接線の計量は、次の2つの性質で直角三角形を作り、長さや面積を出す問題です。
性質1
性質2
接線の長さ(半径を r とする)
接線の長さの式は、三平方の定理から出ます。直角三角形では、斜辺(直角の向かいの辺)の長さの2乗が、ほかの2辺の長さの2乗の和に等しくなります(三角形の性質の単元で詳しく扱います)。上の図の三角形OAPは、性質1よりAが直角で、斜辺はOPです。なので となり、ここから です。
このページでは、角を「∠APB」のように書きます。真ん中の文字Pが頂点で、PAとPBがつくる角のことです。
試験での出方
| 国家専門職 | ★☆☆ | 地方上級 | ★☆☆ |
|---|---|---|---|
| 東京都 | ★☆☆ | 特別区 | ★☆☆ |
| 市役所 | ★☆☆ | 国家一般職 | —ほぼ出ていない |
| 国家総合職 | —ほぼ出ていない | ||
円と接線だけの問題は多くありません。円の面積(図形の計量の単元)や三角形の問題に混ざって出ることが多い単元です。ただ、2つの性質は図形の問題全体で使う道具なので、先に押さえておくと図形の問題が解きやすくなります。
よく出るタイプ
円と接線の計量の問題は、次の3つのタイプに分けられます。カードを押すと、そのタイプの解き方に切り替わります。
タイプ1円外の点からの接線
円と接線の計量の解き方(円外の点からの接線)
見分け方:問題文に「円の外にある点Pから接線を引き」と書いてあります。半径・中心からPまでの長さ(OP)・接線の長さ(PA)・角(2本の接線がつくる角∠APB か、中心の角∠AOB)のうち、2つが分かっています。聞かれるのは残りの長さや、中心・2つの接点・Pを結んだ四角形の面積です。
解き方の手順
- 1
中心と接点を結ぶ
中心Oと接点A・Bを結び、接点に直角の印を書きます(性質1)。中心OとPも結びます。 - 2
直角三角形を取り出す
中心O・接点A・点Pの三角形です。直角はAにあり、斜辺はOPです。 - 3
長さを出す
直角三角形の2辺が分かっていれば三平方の定理を使います。30°や60°の角が分かっていれば辺の比を使います。30°・60°・90°の直角三角形は「30°の向かいの辺:斜辺:60°の向かいの辺=1:2:」です。 - 4
面積は直角三角形の2倍
四角形OAPBは、OPで折り返すとぴったり重なる2つの直角三角形でできています。面積は直角三角形1つの2倍です。
例で確かめる半径20cmと接線21cm
半径20cmの円Oに、円の外の点Pから2本の接線PA・PBを引きます。PA=21cmのとき、OPの長さと四角形OAPBの面積を求めます。
- 中心Oと接点A・Bを結ぶと、AとBが直角になります。
- 直角三角形OAPの斜辺はOPなので、 です。 なので、OP=29cmです。
- 三角形OAPの面積は、直角をはさむOAとPAを使って cm²です。四角形OAPBはその2倍で420cm²です。
円と接線の計量の問題:円外の点からの接線
自分で解いてみる円と接線の計量の例題1(円外の点からの接線)
選択肢を押すと、正解と解説が出ます。
半径5cmの円Oがある。この円の外にある点Pから円Oに2本の接線を引き、接点をそれぞれA、Bとしたところ、∠AOB=120°であった。四角形OAPB(図の色の付いた部分)の面積はいくらか。
正解は 3
接点で半径と接線は直角なので、∠OAP=∠OBP=90°です。四角形の4つの角の和は360°なので、∠APB=360°−90°−90°−120°=60°です。
OPで折り返すと、2つの直角三角形OAPとOBPはぴったり重なります(OA=OB、PA=PB、OPは共通)。なので∠APOは60°の半分の30°です。直角三角形OAPは30°・60°・90°の三角形で、30°の向かいのOA:斜辺OP:60°の向かいのPA=1:2: です。OA=5cmなので、OP=10cm、PA= cmです。
三角形OAPの面積は cm²で、四角形OAPBはその2倍の cm²です。
選択肢1は2倍を忘れた値です。選択肢4は、OPの10cmを接線の長さと取り違えた値()です。選択肢5は三角形の面積の を忘れた値、選択肢2はPAを半径と同じ5cmとした値です。
タイプ22円の共通接線
円と接線の計量の解き方(2円の共通接線)
2つの円の両方に接する直線を共通接線といいます。2つの円が直線の同じ側にあるものを共通外接線、2つの円の間を通るものを共通内接線といいます。
見分け方:問題文に円が2つ出てきて、「共通外接線」「2つの円に接する直線」と書いてあります。「2つの円が外側で接している」と書いてあるか、2つの中心の間の長さが書いてあります。聞かれるのは2つの接点の間の長さです。
解き方の手順
- 1
中心と接点を結ぶ
小さい円の中心をO、大きい円の中心をO'(オーダッシュと読みます)とし、共通接線との接点をそれぞれP、Qとします。OPとO'Qは、どちらも接線PQと直角です。 - 2
中心どうしを結ぶ
外側で接していれば、中心の間OO'は2つの半径の和です。 - 3
小さい円の中心から垂線を下ろす
垂線は、点から直線へ直角に下ろした線です。Oから半径O'Qへ垂線OHを下ろすと、四角形OPQHはP・Q・Hの3つの角が直角なので長方形になります。なので OH=PQ、QH=OP(小さい円の半径)です。 - 4
三平方の定理
直角三角形OHO'の斜辺はOO'、HO'は2つの半径の差です。 で出します。
例で確かめる外側で接する2つの円の半径
半径16cmの円Oと、それより大きい円O'が、外側で接しています。共通外接線が円Oと点P、円O'と点Qで接し、PQ=40cmです。円O'の半径を求めます。
- 円O'の半径を cmとおきます(O'Q= cm)。
- 円O'のほうが大きいので、O'Q= cmのうち、QH=OP=16cmを除いた残りが HO'= cmです。また OH=PQ=40cmです。外側で接しているので、OO'= cmです。
- 直角三角形OHO'で、 です。かっこを外すと で、、 です。円O'の半径は25cmです。
外側で接している2つの円(大きいほうの半径を cm、小さいほうを cm とします)なら、直角三角形OHO'の斜辺OO'が 、HO'が なので、 となり、PQ= でも出ます()。離れている円では中心の間が ではないので使えません。
円と接線の計量の問題:2円の共通接線
自分で解いてみる円と接線の計量の例題2(2円の共通接線)
選択肢を押すと、正解と解説が出ます。
半径4cmの円Oと半径16cmの円O'があり、中心Oと中心O'の間の長さは37cmである。2つの円の共通外接線の1本が、円Oと点Pで、円O'と点Qで接している。線分PQの長さはいくらか。
正解は 4
中心と接点を結び、Oから半径O'Qへ垂線OHを下ろします。四角形OPQHは長方形なので、PQ=OH、QH=OP=4cmで、HO'=16−4=12cmです。
直角三角形OHO'の斜辺はOO'=37cmなので、 です。 なので、PQ=OH=35cmです。
選択肢5は、中心の間をそのまま接点の間とした値です。選択肢3は、半径の差ではなく和の20cmを引いた値()で、これは2つの円の間を通る共通内接線の長さです。選択肢1は、外側で接するときの近道 を、離れている円に当てはめた値です。選択肢2は、37から12を引いただけの値です。
タイプ3接線の等長でつなぐ
円と接線の計量の解き方(接線の等長でつなぐ)
三角形の3つの辺すべてに接する円を内接円といいます。
見分け方:円に接する直線が3本以上あり、問題文に「内接円」「4つの辺がすべて円に接している」「さらに別の接線を引く」と書いてあります。聞かれるのは、辺の一部の長さや周の長さです。
解き方の手順
- 1
接点を書く
辺と円が触れる点を、すべて図に書き込みます。 - 2
同じ点から出る2本に同じ印
性質2より、1つの頂点から両どなりの接点までの2本は、等しい長さです。 - 3
辺を2つの部分の和で書く
辺の長さ=両端の頂点からの部分の和です。分からない部分を などとおきます。 - 4
式を足して、まとめて消す
式を足すと、分からない部分がまとまることが多いです。
たとえば、円の外の点Pから接線PA・PBを引き、その間にもう1本、円に接する直線を引きます。PAとの交点をC、PBとの交点をD、円との接点をTとします。性質2より、Cから引いた2本で CA=CT、Dから引いた2本で DB=DT です。なので三角形PCDの周 PC+CT+TD+DP は、PC+CA+DB+DP=PA+PB になります。
例で確かめる三角形の内接円
AB=7cm、BC=8cm、CA=9cmの三角形ABCに、内接円があります。各頂点から接点までの長さを求めます。
- 頂点Aから2つの接点までを cm、Bからを cm、Cからを cmとおきます(同じ頂点からの2本は等しい)。
- 辺は2つの部分の和なので、、、 です。
- 3つを足すと なので、 です。ここから1つずつ引いて、、、 です。
円と接線の計量の問題:接線の等長でつなぐ
自分で解いてみる円と接線の計量の例題3(接線の等長でつなぐ)
選択肢を押すと、正解と解説が出ます。
四角形ABCDの4つの辺が、すべて円Oに接している。AB=9cm、BC=13cm、CD=11cmのとき、辺DAの長さはいくらか。
正解は 2
4つの頂点それぞれから、両どなりの接点までの2本は等しい長さです(図の同じ本数の印)。ABとCDを足すと、A・B・C・Dの4つの頂点からの部分が1つずつ入ります。BCとDAを足しても、同じ4つが1つずつ入ります。
なので AB+CD=BC+DA で、DA= cmです。各頂点から接点までの長さは1つずつは分からなくても、この関係だけでDAが出ます。
選択肢4は、向かい合う辺どうしが等しいと考えた値(DA=BC)です。選択肢5は、隣り合う辺の和が等しいと考えて、AB+DA=BC+CD から出した値です。選択肢3は、CDと等しいと考えた値です。選択肢1は、CDを足し忘れて AB+DA=BC とし、 とした値です。
まとめ間違いやすい点
よくある間違い
接点で直角を立てない
円と接線の図では、まず中心と接点を結びます。直角が見えないと、三平方の定理も辺の比も使えません。いちばん多いつまずきです。
中心の間を、接点の間の長さにしてしまう
タイプ2の例では、中心の間OO'は41cm、接点の間PQは40cmです。中心の間OO'は直角三角形OHO'の斜辺で、接点の間PQは、それと等しいOH(直角をはさむ辺)です。斜辺がいちばん長いので、PQはOO'より短くなります。
2つの円が外側で接するか内側で接するかで、半径の和と差を取り違える
四角形の面積で、2倍を忘れる
中心・2つの接点・円の外の点を結んだ四角形は、直角三角形2つ分です。タイプ1の例題では、1つ分の cm²で止めると誤りです。
接線の長さの式で、引く向きを逆にする
です。いちばん長いのは斜辺のOPなので、OPの2乗から半径の2乗を引きます。
時間と捨てる判断
- 中心と接点を結んで直角三角形ができれば、1〜2分で解けることが多いです。タイプ1・2の基本の形は取りにいきたい問題です。
- 内接円で文字を3つおく問題や、小さい円がいくつも接して並ぶ問題は時間がかかりやすいです。3分たっても式が立たなければ、後回しにする手もあります。
- 迷ったら「中心と接点を結んだか」「同じ点から出る2本に印を付けたか」に戻りましょう。











