平行線と線分比とは・線分比の公式
30秒でわかる平行線と線分比
平行線と線分比は、図形の中に平行な線があるとき、そこにできる相似な三角形を使って、線分の長さの比や面積を求める問題です。相似とは、形が同じで大きさだけが違うことです。相似な2つの三角形では、向きをそろえて重ねたときに同じ位置に来る辺(対応する辺)の長さの比が、どの辺でも同じになります。この比を相似比といいます。
上のような形をピラミッド形、下のような形を砂時計形と呼ぶことにします。式の中の「∥」は平行、「△」は三角形を表す記号です。
ピラミッド形(DE∥BC)
砂時計形(AB∥CD)
- ピラミッド形で、平行な2本の比 DE:BC と等しいのは、頂点Aから測った短い方と長い方の比 AD:AB です。辺を分けた部分どうしの比 AD:DB ではありません。
- 砂時計形では、交わる点Oをはさんで向かい合う頂点どうし(AとD、BとC)が対応します。
平行な2本の線に別の1本の線が交わると、その線が上の平行線とつくる角と、下の平行線とつくる角は、同じ向きのものどうしで等しくなります。だから、平行線をはさんだ2つの三角形は、3つの角がそろって相似になります。この単元の問題は、ほとんどが「相似な三角形の組を見つけて、相似比を当てはめる」ことで解けます。
面積比の基本:高さが同じ三角形は底辺の比
面積を聞かれたときに使う道具は、もう1つあります。
三角形の面積は「底辺×高さ÷2」です。頂点が共通で、底辺が同じ直線の上に並んでいる2つの三角形は、高さが同じなので、面積の比は底辺の比と同じになります。
高さが同じ三角形の面積比
試験での出方
| 国家総合職 | ★★☆ | 東京都 | ★★☆ |
|---|---|---|---|
| 国家一般職 | ★☆☆ | 特別区 | ★☆☆ |
| 国家専門職 | —ほぼ出ていない | 地方上級 | —ほぼ出ていない |
| 市役所 | —ほぼ出ていない | ||
三角形・図形の計量・円の問題でも、相似と線分比は道具としてよく使うので、ここで手順を固めておくと、ほかの図形の単元も解きやすくなります。
よく出るタイプ
平行線と線分比の問題は、次の4つのタイプに分けられます。カードを押すと、そのタイプの解き方に切り替わります。
タイプ1線分比の基本(平行線あり)
平行線と線分比の解き方(平行線あり)
見分け方:問題文に「DEとBCは平行」「AB∥DC」と書いてあるか、平行四辺形・台形のように向かい合う辺が平行な図形の中に線が引いてあります。平行線がはじめから図にある問題です。
解き方の手順
- 1
平行な2本の線を探す
問題文の「平行」「∥」のほか、平行四辺形は向かい合う2組の辺、台形は上の辺と下の辺が平行です。 - 2
ピラミッド形か砂時計形かを見る
平行な2本をそれぞれ辺に持つ三角形を2つ探します。1つの頂点を共有して重なっていればピラミッド形、交わる点をはさんで向かい合っていれば砂時計形です。 - 3
対応する辺を組にする
平行な2本どうしが1つの組です。ピラミッド形では頂点から測った短い方と長い方(ADとAB)、砂時計形では交わる点をはさんだ線分どうし(AOとOD)を組にします。 - 4
比を長さに直す
相似比を、長さが分かっている辺に当てはめます。
例で確かめる三角形の中の平行線DE
三角形ABCで、DEとBCは平行です。AD=8cm、DB=4cm、AE=10cm、BC=21cm のとき、DEとECの長さを求めます。
- 平行な2本は DE と BC で、頂点Aを共有して重なるピラミッド形です。
- 頂点Aから測った短い方と長い方の比は AD:AB=8:(8+4)=8:12=2:3 です。DE:BC も 2:3 なので、DE==14cm です。
- 辺を分けた部分どうしの比は AD:DB=8:4=2:1 です。AE:EC も 2:1 なので、EC は AE の半分で =5cm です。
平行線と線分比の問題(例題1)
自分で解いてみる平行線と線分比の例題1(平行四辺形の対角線)
選択肢を押すと、正解と解説が出ます。
正解は 2
平行四辺形では AD と BC が平行なので、AD の一部の AE も BC と平行です。AE と BC をそれぞれ辺に持つ三角形FAE と三角形FCB は、Fをはさんで向かい合う砂時計形です(AとC、EとBが対応します)。
AE は AD を5つに分けたうちの4つ分で、平行四辺形の AD と BC は同じ長さなので、AE:CB=4:5 です。よって AF:FC=4:5 で、AF==20cm です。正解は2です。
36cm は、AE:ED=4:1 をそのまま AF:FC にした値()です。25cm は FC の長さで、求める線分を取り違えると選んでしまいます。
タイプ2平行線を引いて線分比を作る
平行線と線分比の解き方(補助の平行線を引く)
見分け方:三角形の2つの辺に比で分ける点があり、頂点から引いた2本の線が三角形の中で交わっています。問題文では「AF:FD はどれか」のように、交わる点で分けられた比を聞かれます。図に平行線は1本もありません。
このタイプでは、自分で図に書き足す線(補助線)として、平行線を1本引きます。
解き方の手順
- 1
求めたい線の端から平行線を引く
(記号は下の「例で確かめる」の図のものです)求めたい比の線(AD)の、辺の上にある端(D)を通り、もう1本の線(BE)に平行な線を引きます。辺ACと交わる点に名前を付けます(G)。 - 2
1つ目のピラミッド形で比を移す
頂点Cのピラミッド形で、辺BCの上の比 CD:DB が、辺ACの上の比 CG:GE に移ります。 - 3
同じ辺の上の比をそろえる
AE:EC と CG:GE は、どちらも辺ACの上の比です。A から C に向かって AE、EG、GC と並べ直し、EC(=EG+GC)にあたる数をそろえて、AE:EG:GC の1本の比にまとめます。 - 4
2つ目のピラミッド形で答える
頂点Aのピラミッド形で、AF:FD=AE:EG です。
例で確かめるBD:DC=3:2、EはACの真ん中
三角形ABCで、辺BC上に BD:DC=3:2 となる点D、辺ACの真ん中の点(中点)Eをとります。ADとBEの交点をFとするとき、AF:FD を求めます。
- Dを通り BE に平行な線を引き、AC と交わる点を G とします。
- 頂点Cのピラミッド形(三角形CBE の中に、BE と平行な DG)で、CG:GE=CD:DB=2:3 です。
- E は AC の中点なので AE:EC=1:1 です。EC は EG と GC を合わせて 3+2=5 なので、AE も 5 にそろえます。AE:EG:GC=5:3:2 です。
- 頂点Aのピラミッド形(三角形ADG の中に、DG と平行な FE)で、AF:FD=AE:EG=5:3 です。
平行線と線分比の問題(例題2)
自分で解いてみる平行線と線分比の例題2(補助の平行線を引く)
選択肢を押すと、正解と解説が出ます。
正解は 4
Dを通り BE に平行な線を引き、AC と交わる点を G とします。頂点Cのピラミッド形で、CG:GE=CD:DB=2:1 です。
EC は EG と GC を合わせて 1+2=3 で、問題文の AE:EC=2:3 の EC の 3 とそろっています。よって AE:EG:GC=2:1:2 です。頂点Aのピラミッド形で、AF:FD=AE:EG=2:1 です。正解は4です。
3の 2:3 は、AE:EC をそのまま答えにした値です。2の 1:1 は、CG:GE を CD:DB ではなく DB:CD=1:2 と逆にとり、EG を 2 にしてしまった値です。
タイプ3延長して相似を作る
平行線と線分比の解き方(辺を延長して相似を作る)
見分け方:長方形・正方形・平行四辺形の中で、2つの頂点から引いた2本の線が交わっていて、その交わる点を頂点に持つ三角形の面積を聞かれます。交わる点で線がどんな比に分かれるかが分からないと面積が出せず、しかもその点をはさむ平行線の組が、そのままでは見つかりません。
解き方の手順
- 1
線を延ばして交わる点を作る
(記号は下の「例で確かめる」の図のものです)交わる2本のうち、片方の線(AE)の端Eが乗っている辺(BC)を見ます。その辺と平行な向かいの辺(AD)を延ばし、もう片方の線(BF)も延ばして、交わる点に名前を付けます(Q)。こうすると、交わる点Pをはさんで平行な2本(AQ と EB)ができます。 - 2
1つ目の相似で延ばした長さを出す
延ばしてできた小さい砂時計形(Fをはさむ三角形)で、延ばした部分の長さ(DQ)を出します。 - 3
2つ目の相似で交点の比を出す
はじめの2本の線が交わる点Pをはさむ砂時計形で、線がPで分かれる比(AP:PE)を出します。 - 4
底辺の比で面積を分ける
Pで分かれた2つの三角形は、頂点が共通で底辺が同じ直線の上にあるので、面積を AP:PE で分けます。
例で確かめる正方形の中で交わる2本の線
1辺12cmの正方形ABCDで、辺BC上に BE=9cm となる点E、辺CD上に CF=8cm となる点Fをとります。AEとBFの交点をPとするとき、三角形ABPの面積を求めます。
- AE の端Eは辺BCの上にあるので、BCと平行な辺ADをDの先へ延ばします。BFもFの先へ延ばし、交わる点をQとします。
- Fをはさむ砂時計形(三角形FDQ と三角形FCB)で、DQ:CB=FD:FC=4:8=1:2 です。DQ==6cm、AQ=12+6=18cm です。
- Pをはさむ砂時計形(三角形PAQ と三角形PEB)で、AP:PE=AQ:EB=18:9=2:1 です。
- 三角形ABE の面積は =54cm² です。三角形ABP と三角形PBE は頂点Bが共通で、底辺 AP と PE が同じ直線の上にあるので、面積の比は 2:1 です。三角形ABP==36cm² です。
平行線と線分比の問題(例題3)
自分で解いてみる平行線と線分比の例題3(延長して相似を作る)
選択肢を押すと、正解と解説が出ます。
正解は 2
DF を Fの先へ、辺CB を Bの先へ延ばし、交わる点を Q とします。
Fをはさむ砂時計形(三角形FAD と三角形FBQ)で、AD:BQ=AF:FB=3:2 です。AD(BC と同じ長さ)を 3 とおくと、BQ は 2 です。BE は BC の なので 1 です。EQ は EB と BQ を合わせた長さなので、EQ=1+2=3 です。
Pをはさむ砂時計形(三角形PAD と三角形PEQ)で、AP:PE=AD:EQ=3:3=1:1 です。
三角形AED は、底辺が AD、高さが平行四辺形と同じなので、面積は平行四辺形の半分の60cm²です。三角形APD は、その中で頂点Dが共通、底辺が AP:AE=1:2 なので、=30cm² です。正解は2です。
60cm² は、三角形AED のまま分け忘れた値です。45cm² は、Q を作らずに AP:PE=AD:BE=3:1 としてしまった値()です。
タイプ4面積比と比の掛け算
面積比の解き方(高さが同じ三角形と比の掛け算)
見分け方:問題文に「三角形ABFの面積は、平行四辺形ABCDの面積の何倍か」のように全体に対する割合を聞かれるか、全体の面積だけが与えられて一部の面積を聞かれます。比で分ける点は辺の上にだけあり、求める三角形の頂点も、辺の上の点や図形の頂点です(台形の対角線の交わる点のように、平行線をはさんで比がすぐ分かる点は含みます)。
解き方の手順
- 1
全体の面積を決める
全体を1(または問題の面積)とおきます。分数が続くときは、いちばん小さい三角形を整数でおいて積み上げてもかまいません。 - 2
頂点が共通の三角形の組を探す
求める三角形と面積の分かる三角形で、頂点が共通、底辺が同じ直線の上にある組を探します。無ければ、辺の上の点(例ではE)と別の頂点(B)を結ぶ補助線を1本引いて、そういう組を作ります。 - 3
1段ずつ底辺の比を掛ける
全体から求める三角形まで、底辺の比を1段ずつ掛けていきます。 - 4
向きを確かめる
「求める三角形 ÷ 全体」の向きになっているか、最後に確かめます。
例で確かめる面積60cm²の三角形の一部
面積60cm²の三角形ABCで、辺AB上に AD:DB=3:2 となる点D、辺AC上に AE:EC=1:2 となる点Eをとります。三角形ADE の面積を求めます。
- 三角形ADE と三角形ABC は、底辺 AD と AB は同じ直線の上にありますが、向かい側の頂点が E と C で違うので、高さが違います。1回では比べられません。
- そこで B と E を結びます。1段目:Bを頂点、AC の上を底辺として見ると、三角形ABE:三角形ABC=AE:AC=1:3 なので、三角形ABE==20cm² です。
- 2段目:Eを頂点、AB の上を底辺として見ると、三角形ADE:三角形ABE=AD:AB=3:5 なので、三角形ADE==12cm² です。
- まとめると =12cm² で、底辺の比を順に掛けています。
面積比の問題(例題4)
自分で解いてみる平行線と線分比の例題4(台形の面積比)
選択肢を押すと、正解と解説が出ます。
正解は 3
AD と BC は平行なので、三角形OAD と三角形OCB は砂時計形で、AO:OC=DO:OB=AD:CB=3:4 です。
全体から割っていくと分数が続くので、手順1のとおり、いちばん小さい三角形AOD から積み上げます。このあと 3:4 の比を2回使って を2回掛けるので、割り切れるように三角形AOD の面積を =9つ分とおきます。「1つ分」が何cm²かは、最後に台形全体の面積から決めます。
- 三角形AOD と三角形AOB は、頂点Aが共通で、底辺 DO と OB が同じ直線の上にあるので、面積の比は 3:4 です。三角形AOB は =12つ分です。
- 三角形AOB と三角形COB は、頂点Bが共通で、底辺 AO と OC が同じ直線の上にあるので、面積の比は 3:4 です。三角形COB は =16つ分です。
- 三角形AOD と三角形DOC は、頂点Dが共通で、底辺 AO と OC が同じ直線の上にあるので、面積の比は 3:4 です。三角形DOC は =12つ分で、三角形AOB と同じです。
台形全体は 9+12+16+12=49つ分で、これが98cm²なので、1つ分は2cm²です。三角形AOB は =24cm² です。正解は3です。
42cm² は、台形全体を AO:OC=3:4 で分けた値()です。18cm² は三角形AOD の面積です。
まとめ間違いやすい点
よくある間違い
部分どうしの比を、平行な2本の比に使う
三角形ABCで DE∥BC、AD:DB=3:1、BC=16cm のとき、DE:BC は AD:AB=3:4 と同じなので、DE=12cm です。3:1 をそのまま使うと DE=48cm になり、BC より長くなってしまいます。DE は BC より短いはず、と確かめるくせをつけましょう。
相似比を、そのまま面積比にする
相似な三角形の面積の比は、相似比を2回掛けた比です。タイプ4の例題の台形では、三角形AOD と三角形COB の相似比は 3:4 でした。面積は18cm²と32cm²で、どちらも2で割ると 9:16 です。これは相似比 3:4 を2回掛けた と同じです。
相似比と面積の比(タイプ4の例題の台形)
| 三角形AOD | 三角形COB | |
|---|---|---|
| 相似比 | 3 | 4 |
| 面積 | 18cm² | 32cm² |
| 面積の比 | 9 | 16 |
時間と捨てる判断
- 平行線が図にある基本の問題(タイプ1)は、相似な三角形の組を見つければ1〜2分で解けることが多い問題です。取りこぼさないようにしましょう。
- 補助の平行線(タイプ2)や延長(タイプ3)は、線を引く場所が決まれば短く済みます。2分ほど考えても引く場所が決まらなければ、後回しにする手もあります。
- 面積の比の掛け算(タイプ4)は手順が長くても、1段ずつ機械的に進められます。段ごとに「どの頂点が共通か」「底辺はどこか」を書き出すと、掛け忘れが減ります。
- 迷ったら「平行な2本の線はどこか」に戻りましょう。どのタイプも、平行線をはさんだ相似な三角形から式が立ちます。
次にやること
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